櫻井智章(法学部)『判例で読む憲法 第3版』

■『判例で読む憲法 第3版
北樹出版 , 2024.10
■ ISBN  978-4-7793-0761-4

■ 請求記号 323.14//2691
■ 配架場所 図書館 .1Fシラバス
■ 編著者 櫻井智章(法学部)著

<自著紹介>
 甲南大学法学部の授業をもとに誕生したのが本書である。幸いにして多くの読者に恵まれ、法改正や新たな判例などの情報を補うことを目的として版を改めることとなった。
 本書は、重要な憲法判例を読むことを通じて憲法の基礎的な知識や基本的な考え方を身に付けることを目指している。本書に掲載した憲法判例はどれも重要・有名なものばかりなので、是非ともじっくりと読んでいただきたい。

エントランス展示「社史の中の平生釟三郎」

 「社史」という資料をご存知でしょうか。各会社が発行するその会社の「歴史書」で、多くがその創業からの節目の年に「○○社100年史」といったタイトルで発行されています。
 市販されることが少ないので本屋さんでは見かけませんが、 甲南大学図書館にも、特別に収集したりご寄贈いただくなどして、たくさんの会社の社史があります。重厚なものが多く、取り扱いしにくいためにいつも書庫に配置しているので、存在を知っていただこうと展示のテーマとして取り上げることにしました。

 甲南大学図書館にも数百社の社史があるため、 今回は、甲南学園の創立者・平生釟三郎が登場する社史を選びました。平生釟三郎は、教育者であると同時に、さまざまな会社に貢献した財界人・経済人でもあるため、多様な会社の社史に登場しています。そのため、平生釟三郎に絞っても、全てを展示することはできませんでした。

 そこで、平生釟三郎がどれほどの会社や学校・団体に関わっていたのか、「社史」によくある役員の年表を真似て、平生釟三郎が務めた企業・学校・公職の年表を作成してみました。団体が多すぎて、文字がすごく小さくなってしまいましたが、平生釟三郎の人生が3つの時代に分かれていることをビジュアルでご確認いただけます。

 「平生フィロソフィ」の一つである「人生三分論」とは、人生を3つの時期に分ける考え方です。第一期を「自己教育の時代」、第二期を「自己の社会的基礎を確立する時代」、第三期を「社会奉仕」の時代に分け、それぞれの時期をその目標のために費やすことで、より意義のある人生を送る方法です。平生はこの考え方を、旅の途上で偶然読んだエドワード・ボックの本から学びました。
 今回特別に、その「人生三分論」が記された、平生釟三郎旧蔵のエドワード・ボックの “The Americanization of Edward Bok : the autobiography of a Dutch boy fifty years after” も展示しています。おそらく平生釟三郎本人が、感銘を受けた場所に下線を引いたり書き込みをした本です。

 一冊の本との出会いが、人生を変え、世界を変えることがあるのです。皆様にもよい出会いがありますよう、図書館はいつもおそばにあります。

岩井学(文学部)『D.H. Lawrence and ambivalence in the age of modernity』

■『 D.H. Lawrence and ambivalence in the age of modernity : rereading midlands novels and wartime writings in social and political contexts
Routledge , 2024.5
■ ISBN  978-1-0326-7566-4

■ 請求記号 930.278//4018
■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 編著者 岩井学(文学部)著

<自著紹介>
 D・H・ロレンスは今から約100年前のイギリスの作家です。西洋文明に対する痛烈な批判や過激な性描写で知られ、発禁処分も受けました。しかし一見ラディカルに見える彼のテクストにも、実は当時の保守的な言説が刻み込まれています。本書は、同時代の様々なテクストを参照しながら、ロレンスの作品が、反体制的な言説と反動的な言説がせめぎ合う、ダイナミックで“ambivalent”なテクストであることを論じました。

マネジメント創造学部 前田 正子先生へのインタビュー

マネジメント創造学部4生 塩谷 瑠緋さんが、マネジメント創造学部 前田 正子先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

 

 

行動経済学の処方箋 : 働き方から日常生活の悩みまで
■  大竹文雄著, 東京 : 中央公論新社 , 2022.11

■ 請求記号 S081.6/2724/29
■ 配架場所  CUBEメディアセンター 教員コーナー・図書館1階 開架小型

 

 

Q.この本を勧めてくださった理由を教えてください。

この本は行動経済学について誰でもわかりやすいよう丁寧に書いてくれています。本来行動経済学というのは難しいものではなく、とても単純なことなのですが、学生の多くは行動経済学と聞くと難しいイメージを持ちがちです。しかし行動経済学は私たちの身の回りにも常に存在しています。ですから、この本を読むことによって経済学や行動経済学に対する苦手意識を払拭し、普段の講義や研究プロジェクトに役立てていただきたいと思い、勧めました。

 

Q.この本の面白いポイントは何でしょうか?

この本の一番面白いところは、行動経済学が扱う範囲が広がっているということを知ることができる点だと思います。今まで人間は合理的な行動をとる存在だとして行動経済学内にて定義づけられてきましたが、そうではないことが近年わかってきました。そして行動経済学の対象が人だけではなく、「人々がごみを捨てるにはどうすればいいか」など、日常の行動での問題も対象になってきました。

この本を読めば、どのようにすれば人間の行動や考え方が変わるのかというのを考えながら、行動経済学の扱う範囲が広がってきていることも感じることができると思います。

また、この本の著者である大竹先生は、緊急事態宣言時に政府のコロナ政策をどのようにして動かしていけばよいかを決める権限を持っていたんです。どうしてコロナの時に○○なことが起こったのか、なぜ大勢の人が○○な行動をとったのかということを調べていたそうです。つい一昨年に起こったことの裏側がわかるので、そこも面白いポイントですね。今後いろいろな仕事をしていくにおいて、すごく役に立つと思うから是非参考にしてみてください。

 

Q.最後に学生に向けて一言!

経済学とはなにか、行動経済学とは何かということを、誰でも簡単に学びながら読める本なので、ぜひ読んでみてください!

 

インタビュー後の感想

私は今まで経済学に対してあまり良いイメージを持っていませんでしたが、この教員インタビューを通して、経済学というのが身近に存在していて、正確な知識を身につけることによって社会に存在している様々な問題の解決につなげることができるということを学びました。実際に今回前田先生に紹介していただいた本を読んでみようと考えています。

 

(インタビュアー: マネジメント創造学部4生 塩谷 瑠緋さん

トライやる・ウィーク活動報告

 9/9(月)~9/13(金)の間、神戸市立本山南中学校2年生1名による『トライやる・ウィーク』(職場体験)が本学図書館にて実施されました。

 本の貸出や返却、配架といった目に見える業務だけでなく、普段見ることができない目録や受入、還流や除籍といった図書館のバックヤード作業も体験していただきました。また、自身がオススメする本の展示やポップアップとブックカバーの作成なども行いました。当初は慣れない作業に戸惑っていましたが、とても呑み込みが早く後半はテキパキと作業しており頼もしく感じました。本が到着してから利用者の手に渡るまで、図書館の仕事の全体像を体験する貴重な機会となりました。

 中学生がオススメする本と作成したポップアップ、ブックカバーは1Fカウンター前および語学学習室内(本とポップアップのみ)に展示しています。展示期間は10/12(土)までです。
 ぜひ手に取ってご覧ください。

平井健介(経済学部)『日本統治下の台湾 : 開発・植民地主義・主体性 』

■『 日本統治下の台湾 : 開発・植民地主義・主体性  
名古屋大学出版会, 2024.6
■ ISBN  978 -4-8158-1158-7

■ 請求記号 332.224//2012

■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 編著者 平井健介(経済学部)著

<自著紹介>
 本書は、「日本植民地の経済成長は「日本のおかげ」であったのか」を問題関心として研究してきた私が、日本統治時代の台湾経済を概説した通史です。日本統治時代の台湾を概説する書籍は、これまでに何冊も刊行されていますが、それらは主に政治の視点から叙述されていました。しかし、植民地統治の最大の目的は、その資源を開発し利用することにありますから、経済の視点からも叙述される必要があります。1895~1945年の51年間、総督府はどのような動機から台湾を開発し、それは台湾社会にどのような影響をもたらしたのでしょうか。台湾の人びとは開発にどのように関わったのでしょうか。台湾の開発は日本以外の地域、特にアジアの経済とどのような関係にあったのでしょうか。本書はこうした問いに答えるために書かれた、経済面から叙述したものとしては初の概説書です。

【図書館より】
第37回 和辻哲郎文化賞を受賞されました! おめでとうございます。
以下、 姫路文学館 に掲載されている詳細を是非ご覧ください。
http://www.himejibungakukan.jp/watuji/jyusyoushiki/ 

以下は紀伊国屋書店がBook Web Proで本書の刊行記念フェア を行った際に作成されたパンフレットです。
https://www.unp.or.jp/shared/img/1158_pamphlet.pdf
平井先生によるさらに詳しい本書の紹介と、「 日本統治下の台湾 」の理解度を高めるための本、台湾や経済史に関連する入門書など、さらに深く学べる本が紹介されています。
是非合わせてご確認ください。