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『古記録による16世紀の天候記録』

水越允治編『古記録による16世紀の天候記録』東京堂出版, 2004.4
図書館 4階書庫大型(和) 451.916//2006

公文書や貴族が書いた日記などに記録されていた、天気に関する情報を抜き出して一覧表にまとめた本です。
中世のお天気(主に近畿地方)を、日付から調べることができます。
11世紀から16世紀まで、計6冊あります。

16世紀といえば、戦国時代。
たとえば「本能寺の変」が起きた天正10年(1582年)6月2日を調べてみると、『言経卿記』に「晴陰」とiいう記載があるとわかります。
続く15日頃まで梅雨らしい雨の日が多かったようです。ということは、秀吉軍はだいぶ足元の悪い道を京都まで戻ったのではないでしょうか・・・。
(ちょうど大河ドラマが、今「本能寺の変」ですね。ドラマ中では、お天気はどうでしょう。)

ちなみに「晴陰」がどんな天気かを調べるには、インターネットで調べてもいいのですが、辞書データベースを使うと面白いです。
甲南大学図書館ホームページ>情報検索データベース>百科事典・辞書から『JapanKnowledge』が利用できます。
学内のPCルームや図書館のパソコンなどからしか利用できないのですが、百科事典や専門事典、言語事典などを一度に検索できる便利なデータベースです。(詳しい接続方法は、甲南大学図書館ホームページを見て下さい。)
検索窓の左側プルダウンメニューを「全文」に切り替えると、本文も検索対象になるので、「晴陰」という言葉がどのように使われているか、ということも調べることができます。

図書館には、「読む」だけではなく、「調べる」ための本やデータベースもあります。
想像以上にいろいろな事を調べることができますよ。
使い方や調べ方がわからないときは、2階の『ヘルプデスク』におたずねください!

(konno)

杉本鉞子著『武士の娘』

杉本鉞子著『武士の娘』(筑摩叢書97) 
1階一般開架 081.6/97/21

明治6年、越後長岡藩の家老の家系に生まれた「エツ」こと杉本 鉞子(すぎもと えつこ)が自身の半生を書いた自伝です。
初版は1925年にアメリカで『A Daughter of the Samurai』というタイトルで出版されました。

越後長岡藩は、戊辰戦争では幕府側で戦った藩です。
没落した家でのつつましい生活でしたが、「エツ」は母や祖母からは伝来の作法通りに、武士の娘としての教育を受けて育ちます。

父が亡くなって、アメリカから帰国した兄が家を継いだ後、エツは14歳で在米の日本人と婚約。
渡米に備えて越後から東京に出て女学校で英語を学び、25歳でアメリカへ。

・・・と、ここまでにして、『武士の娘』には書かれなかった後日談を少し。

シングルマザーになった「エツ」はニューヨークに移り住み、二人の娘を育てるために、文筆家として生計をたてることを目指します。
友人の助けを得ながら、苦心して生み出されたのが『武士の娘』でした。
『武士の娘』はベストセラーになり、杉本鉞子は日本人初のコロンビア大学講師となります。

経済的にも文化的にも変化していく時代を、「矜持」をもって生き抜いた一人の女性は、「世界に通用する淑女」ではないでしょうか。

古い本ですがとても読みやすいです。
古き、良き、美しい日本語で書かれた文章もぜひ味わってください。

(Konno)

『大学生が狙われる50の危険』

『大学生が狙われる50の危険』 三菱総合研究所、全国大学生活協同組合連合会、全国大学生協共済生活協同組合連合会
図書館 2階中山文庫一般 377/D

  自分は大丈夫!と思っている人ほど要注意

   ・サークルやボランティアに見せかけた悪徳宗教団体の勧誘パターン
   ・「スマホ」から、住所・電話番号・連絡帳がダダ漏れに
   ・「交流サイト」「ネットゲーム」・・・18歳制限が外れることで起こる大問題
   ・「ストーカー」被害にあわないポイント
   ・訪問、送りつけ、電話、架空請求・・・大学生を狙う新手の詐欺手口

  大学をやむなく中退する学生は毎年5万人います。
  このようなトラブルがきっかけとなった人も少なくありません。
  新入生には是非、読んで気をつけてほしいです。

最相葉月『セラピスト』

『セラピスト』最相葉月著
図書館 1階開架一般 146.8//2595

   心の病いは、どのように治るのか。
   『絶対音感』『星新一』の著者が問う、心の治療の在り方。
   うつ病患者100万人突破のいま、必読のノンフィクション。
   二人の巨星、故河合隼雄の箱庭療法の意義を問い、
   精神科医の中井久夫と対話を重ね、セラピストとは何かを探る。

 この本の中で、甲南大学カウンセリングセンターや、木村晴子先生、
 高石恭子先生などが登場します。
 心理学を勉強されている方、必見です!

『長谷川三郎 : 日本抽象のパイオニア』

『長谷川三郎 : 日本抽象のパイオニア』明石市立文化博物館編
図書館 3階書庫一般 723.1//2063

  洋画家、長谷川三郎を知っていますか?
  世界に誇る前衛美術の先駆的画家です。
  そして、長谷川三郎は、甲南中学校に入学、
  大正15年、甲南高等学校第一回生として卒業するまでの8年間を
  甲南生として過ごし、個性尊重の校風のなかで、自ら美術への知性、
  感性、意欲を育み磨き始めました。
  その作品が、甲南高等学校に寄贈され、「長谷川三郎記念ギャラリー」として
  開設されています。

  この本は、長谷川三郎の作品が紹介されています。
  甲南にゆかりのある美術家の作品をながめてみてください。

デーヴ・グロスマン『戦争における「人殺し」の心理学』

何か面白い本を読みたいなぁと思った時には、図書館で探すことをお勧めします。
本棚をよーく見てください。
たくさんの人が読んだ本は、ボロボロになっています。
特に、はじめから最後まで何度も読まれた跡がある本にハズレはありません。
商業的な企みは何もなく、みなさんの先輩方が「面白い」と思って読むのをやめられなかった本です。

今回は、そんなボロボロになった1冊をご紹介します。
(でも、修理できない状態になってしまったので、新しい本を購入しました。)

デーヴ・グロスマン著『戦争における「人殺し」の心理学』(ちくま学芸文庫)
3階書庫小型 S081.6/ク8/79

*書庫の本ですので、2階カウンターで利用を申し込んでください。

兵士が人を殺すことは仕事です。
ですが、簡単にできる仕事ではありません。
人は、本能的に同種を殺すことに強烈な抵抗感を持っています。
仕事であっても、人を殺すことで自らも傷つき、社会も深手を負います。

軍(国)としては、兵士にはできるだけ効率的に人殺しをしてもらわなくてはならない。
けれど、兵士の上司・同僚としては、部下や友達が傷つくことに、痛みを感じないわけがない。

この問題に正面から取り組んだのが、著者のデーヴ・グロスマンです。
20年以上アメリカ陸軍に所属した心理学・社会学者で、兵士の心のケアにもあたってきました。

グロスマンの研究テーマは、いかに心に負担をかけずに人殺しを実行させるか、ではなく、人間の心の仕組みを科学的に理解することから、戦争を見直すということです。
そのため、この本は、戦争を肯定する本でも、否定する本でもありません。

グロスマンは、この本の「第1部 殺人と抵抗感の存在」を次の文章で締めています。

「殺人への抵抗が存在することは疑いをいれない。そしてそれが、本能的、理性的、環境的、遺伝的、文化的、社会的要因の強力な組み合わせの結果として存在することもまちがいない。まぎれもなく存在するその力の確かさが、人類にはやはり希望が残っていると信じさせてくれる。」P096-097

(konno)