伊東浩司先生(スポーツ・健康科学教育研究センター)「想像の翼をひろげよう」–藤棚vol.32より

☆新入生向けの図書案内 
 新入生の皆さん、大学入学おめでとうございます。大学生活は、授業はもちろん、課外活動やサークルなど皆さんにとって新しい生活が待っています。それと同時に、多くの自由な時間を得ることが出来ます。今は、ネットから多くの情報を得られる時代ですが、少し時間が出来た時には, 本を読んでみてはいかがでしょうか。
 私の専門は、スポーツ(陸上競技)です。スポーツの世界で成功する人は、知らないこと・出来ないことを理解してから物事に取り組む人だと言われています。そのスポーツに関する本には、本格的に競技を取り組む現場で必要とされている最先端の情報が書かれているスポーツ医科学の専門書から、初めてスポーツに取り組もうとしている人むけの入門書まで幅広くあります。また、スポーツビジネスやスポーツ心理学など、学部で学ぶ内容ともリンクするものも多くあります。もちろん、そのようなジャンルの本を読むことも大切だと思いますが、私自身がお勧めするのが、オリンピックなどで金メダルをとった選手やチームなどが書かれている本です。なぜ、勧めるかというと、そこには、我々が想像することが出来ない練習や人間ドラマ、そして、人としての成長過程が詳しく書かれていることが多くあります。近年の本になると最先端の医科学などの取り組みが書かれていて大変興味深いものもありますが、少し時代を過去に遡ったものになると、スポーツ医科学が進んでおらず、人としての頑張り(根性)や発想などが多く書かれています。とんでもない発想が、今の最先端の取り組みと似ていることや今、当たり前にスポーツの現場で行われていることの出発点はここだったのかなど、驚いたり、勉強になることが多く、読んでいて楽しくなっていきます。
 昨年(2014 年)秋まで放送されていたNHK連続テレビ小説「花子とアン」の番組内でのフレーズになりますが、本を読むことで想像の翼をどんどんひろげて、立派な甲南生になって行って欲しいと思います。
甲南大学図書館報 藤棚(Vol.32 2015) より