横井軍平, 牧野武文著 『横井軍平ゲーム館 : 「世界の任天堂」を築いた発想力 』

知能情報学部  4年生  Hさんからのおすすめ本です。

書名 : 横井軍平ゲーム館 : 「世界の任天堂」を築いた発想力
著者 : 横井軍平, 牧野武文著
出版社:筑摩書房
出版年:2015年

 「任天堂」は今や誰もが名前を知っている有名なゲームメーカーだろう。しかし初めから今のようにテレビゲームを作っていたわけではない。はじめは花札といったアナログなおもちゃを作る会社であった。本書では、そんなアナログ時代の開発とデジタル時代の開発の両方を経験した横井軍平さんのインタビューから構成されている。「ウルトラハンド」、「ゲーム&ウオッチ」、「ゲームボーイ」といったヒット商品の開発経緯を知ることができ、レトロゲーム好きな人はその内容だけでも楽しむことができるだろう。しかしこの本はそれだけではとどまらない。本書には「枯れた技術の水平思考」というキーワードがしばしば登場する。先端技術ではなく、使い古された技術の使い道を変えてみることによって、まったく新しい商品が生まれるという考え方である。余っていて誰も使っていないもの、値段が安く大量に流通しているものから新しいヒット商品を作り出すストーリーは興味深い。今や毎日のように新しい技術は生まれているが、古いものに一度焦点を当てる考え方はすごく良い刺激だった。

 ゲームでもおもちゃでも、今から何か新しいものを作り出そうとしている人にはぜひ一度手にとってもらいたい本である。20年以上も前の本だが内容は現代の開発に通じるところがたくさんあり、未来のクリエイターにはぜひオススメしたい一冊である。