朝日新聞社編 『ほんとうの教育者はと問われて 』

経済学部   1年生  Kさんからのおすすめ本です。

書名 : ほんとうの教育者はと問われて
著者 : 朝日新聞社編
出版社:朝日新聞社
出版年:1975年

 私は教員の職務とは、子どもの人格の育成だと考える。学校教育法第37条11項によると、「教諭は、児童の教育をつかさどる」と教諭の職務権限が定められている。教育基本法第1条には、教育の目的は、「人格の育成を目指し」と示している。また、教育基本法第2条第2項には、教育の目標は、「自主、自立の精神を養う」と明記されている。私は、「児童の教育をつかさどる」ためには、学習指導要領に合わせた科目別の授業以外にも、部活動や特別活動の時間を活用して、子どもの人物教育に力を入れなければならないと思う。教員は、子どもの教育を通して、自分の人格を確立させることにより、自分に誇りを持たなくてはならない。そうなることで、人からの指示だけではなく、自分で考えて行動する子どもの育成が実現できると考える。

 この本を読んで、私は、教員の資質で必要なものは、豊かな人間性だと思った。特に、いじめに対する指導において必要ではないだろうか。今日、子どものいじめの件数が年々増えている。文部科学省によると、平成30年度の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校のいじめの件数は、50万を超えているそうだ。子どもの心が未成熟であるために、自己中心的で、善悪の判断に基づいた行動や言動ができなく、自分の欲求を制御できないことが問題視されている。

 私は、トライやるウィークで、自分の母校を訪ねたが、その期間中に出会った子どもたちの間で起きたトラブルの大部分は、自分が十分に考える前に行動することが原因であると感じた。つまり、相手の立場になって物事を考えていないため、トラブルを生じさせている。子どもたちが、相手を思いやり自分の気持ちを制御する自律心を育てることができれば、いじめの原因になるようなトラブルを減らせるのではないかと思った。

 私は、教員が子どもたちの自律心を育むためには、「自己への問いかけ」を促すことが必要であると思う。例えば、友達同士で喧嘩が起きた時は、なぜだめなのか、自分がされたらどう思うかを指導したい。その結果、子どもたちが自分自身を深く見つめ直す機会が増え、自律心を養うことができると考える。

 子どものいじめの件数が増えているような現代社会では心の教育が必要であるが、心の教育は法令や学習指導要領に頼ることができない。そのため、教員には、豊かな人間性が求められていると考える。