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50冊多読チャレンジ 達成者インタビュー

50冊多読チャレンジ 達成者インタビュー
畑田亜美(はただ あみ)さん
文学部歴史文化学科 3年次生

 2021年11月18日に『多読チャレンジ』50冊を達成されました。
 1・2年生次に引き続き、今回で3度目の達成となります!

 就職活動の試験に英語の長文読解問題があるため英文速読に慣れておこうと思い、3度目の『多読チャレンジ』に挑戦されました。

 ファンタジーの物語を中心に読まれたそうです。また、図書館の新着図書コーナーにも、表紙を見て興味が湧いた本があるそうです。

 『多読チャレンジ』に挑戦中は、就寝前に二時間程度読書の時間を設けて、一日一冊のペースで読んでいたとお話しされていました。

 以下は、ご本人のアンケートによるものです。


○『多読チャレンジ』達成の感想を教えてください。または、『多読チャレンジ』達成の為に工夫した事を教えてください。

―― シリーズ本を読むこと。
   手軽なものも混じえること。

○『多読チャレンジ』を終えて実感した効果を教えてください。

―― 英文を読む速度低下を緩める。
   問題として取り組むときの抵抗の減少。

○チャレンジする図書はどのように選びましたか?

―― シリーズを読んでいる時はその続き、シリーズを読み終わったらBook Reviewから借りたり、背表紙で気になったものを手に取ったりした。

○現在チャレンジ中の『多読チャレンジャー』へメッセージをお願いします。

―― 段々と今年度の締切が近付いてきているので、時間が足りなくなってきたら本棚の下の方にある絵本を選ぶと進めやすいと思います。


 甲南大学図書館では、多読チャレンジャーを随時募集中です。
 英語多読学習に興味のある方は図書館1階カウンターでエントリーしてみてください!
 達成すればKONANライブラリサーティフィケイトの2級以上の要件にも適用されます!

[藤棚ONLINE]フロンティアサイエンス学部・川内敬子先生 推薦『「細胞力」を高める』

図書館報『藤棚ONLINE』
フロンティアサイエンス学部・川内敬子先生 推薦
『「細胞力」を高める : 「身心一体科学」から健康寿命を延ばす 』

跡見順子(著)
論創社, 2018

 日本は世界一の長寿国ですが、自律した生活を送れる期間である健康寿命は、平均寿命より約10年短いことがわかっています。心身ともに健康であり続けるために、健康寿命を延ばす努力が重要です。わたしたち人の身体は37兆個の細胞からできていると考えられていますが、健康寿命を考える上で、細胞を知る必要があります。本書には、身体を構成する細胞の行動原理と適応原理に基づいた身体制御についてわかりやすく読み解かれており、健康寿命を延ばすコツだけでなくその背景となるメカニズムが紹介されています。

11/3文化の日、今年も兵庫県高等学校ビブリオバトル大会を開催!

 11月3日(水祝)、文化の日に兵庫県高等学校ビブリオバトル大会を開催しました。
 今年も 活字文化推進会議および読売新聞社様の後援をいただき、甲南大学独自で兵庫県大会を開催しました。ただし全国大会については、現在実施の可能性について検討中とのこと。無事開催できるといいなと祈っています。
 感染者数は少し落ち着いてきていますが、感染症対策は昨年同様に行い、来場者数の制限、キャンパス入構時の検温、全員のマスク着用、手指消毒・手洗いの徹底といった対策を講じての開催となりました。

今年も最初に笹倉館長にご挨拶いただきました。

 参加校は今年も2校増え、発表者は大幅増の33名、観戦者は感染症対策のため 発表者1名につき2名までと制限させていただき、あわせて約90名での開催となりました。Youtubeライブ限定配信も行い、当日お越しいただけなかった関係者の皆様にも発表の様子を見ていただけるよう手配しました。

 高校生たちの発表は今年も素晴らしく、接戦を繰り広げるなか、チャンプに輝いたのは『プリンス・チャーミングと呼ばれた王子たち』(クリストファー・ヒーリー著)を紹介した、 兵庫県立須磨友が丘高等学校 の 安川穂夏 さんでした!

 発表者、観戦者の皆さんのおかげをもちまして、今年も無事大盛況のうちに終えることができました。感染症対策として多数ご不便、ご面倒をおかけいたしましたが、皆さん笑顔でご協力くださり、運営側としても大変感謝しております。
 ご参加ありがとうございました!

 また、今年はKONANライブラリサーティフィケイトのエントリー学生によるボランティア以外に、予選や決勝の司会を甲南大学文化会KSWL放送部門KBCの皆さんにご協力いただきました。
 その素晴らしい司会ぶりはスタッフにも参加者の皆さんにも大好評!
 コロナ禍で課外活動も縮小せざるを得ないなか、それでも精力的に活動されている学生さんたちに元気をもらいました。
 ぜひまた来年もご協力をお願いしたいところです!ありがとうございました!

→KSWL放送部門KBCさんのツイッターはこちら。

今年も甲南大学生協書籍部様のご協力により、発表本の展示・販売コーナーを設置していただきました。発表者が増えた結果、本も増えて設営も大変に……本当にありがとうございました!

[藤棚ONLINE]マネジメント創造学部・中村聡一先生 推薦『教養としてのギリシャ・ローマ』

図書館報『藤棚ONLINE』
マネジメント創造学部・ 中村聡一 先生 推薦
『 教養としてのギリシャ・ローマ~名門コロンビア大学で学んだリベラルアーツの真髄 』

甲南大学の皆さん
はじめまして、中村聡一と申します。西宮キャンパスで教えてます。

簡単に経歴を申します。私は、元々は東京の桜田倶楽部出身のテニス選手でした。松岡修造君は一緒に汗を流した後輩です。その後アメリカに留学してから、国際会計事務所KPMGに勤務しました。FAとして数々のM&A案件に助言をしてきました。そして今は実務家教員として甲南で教えてます。テニスプロ資格はまだ保有しています。シニア世界大会を目指しています。ファイナンシャル・アドバイザーの仕事もまだ現役でやりたいと思ってます。そして、いつか、趣味の料理の本を出版するのが夢です。

そんな私が長年研究してきたリベラルアーツの本を出版しました。

『教養としてのギリシャ・ローマ~名門コロンビア大学で学んだリベラルアーツの真髄』(東洋経済新報社)

”リベラルアーツ”というと、耳にしたことはあるけど、具体的な内容はよくわからない。そんな皆さんのために書いた本です。私が留学したニューヨーク・マンハッタンのリベラルアーツの総本山といわれるコロンビア大学の教育内容をわかりやすく記しました。

さて、リベラルアーツというと付き物なのは”正義”という概念です。甲南・平生精神にも大いに通ずる”徳”の一つでもありましょう。

皆さんは、これがなんだかわかりますか?かなりわかりにくいのではないでしょうか。
じつは、それもそのはず。理由があるのです。

日本語では「正義」は一つの言葉でしかありません。英語ではこれが二つの異なる単語で表記されるのです。
つまり、日本語での”正義”という概念は、最初から言葉自体が曖昧なんです。だから皆さんにとって大いにわかりにくのは当たり前なんです。

英語での定義を見てみます。

まず、”Righteousness”という言葉があります。
Righteousness is the quality of being virtuous, honorable, or morally right. I t can also refer to such behavior.
Righteousness is the noun form of the adjective righteous. Being righteous mea ns doing what is right – obeying the law or adhering to morals. Both righteous  and righteousness are often used in a religious context.

英語が苦手な方も頑張って読んでみましょう。”美徳”や”道徳””法”などに照らして”正しい”ということを指し示すことがわかると思います。

次に、”Justice”という言葉が思い浮かびます。これはどういうことでしょうか。辞書を調べてみましょう。

1.the quality of being just; righteousness, equitableness, or moral rightness: to uphold the justice of a cause.
2.rightfulness or lawfulness, as of a claim or title; justness of ground or reason: to complain with justice.
3.the moral principle determining just conduct.
4.conformity to this principle, as manifested in conduct; just conduct, deal ing, or treatment: Victims of rape and sexual assault have the right to the ev idence they need to seek justice.
5.just treatment of all members of society with regard to a specified public  issue, including equitable distribution of resources and participation in dec ision-making.
6.the administering of deserved punishment or reward.

(※https://www.dictionary.com/より)

以上の6つに分けて記されてますが、共通するのは、すべてが英語”Just”や”Equitable”という言葉に関連するようです。つまり、「公平性」とか「公正さ」とかを意味するのです。

“rigteousness”は、”Justice”と比べると、より広範な”正しさ”や”美徳””善”という概念を包括します。
対して、”Justice”は、他の人たちとの関係において、”対他的な物事”についての”正しさ”を表す言葉だといえるでしょう。

そしてここが重要なんですが、日本語では、両方とも「正義」です。私たちの住む日本語世界では、区分けが明確でないのです。

このことを出発点に”リベラルアーツ”を学ぶのが良いかも知れません。同じ「正義」でも、”Righteousness”と、”Justice”と、二つの異なる単語にて表記されるのは、そもそもなんでだろう?なにか日本とは異なる歴史的な背景があるのでないか?

まずは、こんなことを問題意識に私の本を読んでもらえればと思います。

また本書には、西洋社会をかたづくってきた綺羅星のごとくの歴史的な名著をそれらの時代背景に照らしあわせて紹介しています。本書をきっかけにそのような書籍に皆さんが触れるようになれば良いなとも思います。

興味ある皆さんは、まずは、私のAmazonの著者ページをご覧くださいね。以下にリンクを貼っておきます。

http://www.amazon.co.jp/%25E4%25B8%25AD%25E6%259D%2591-%25E8%2581%25A1%25E4%25B8%2580/e/B004LS58Q8%3Fref=dbs_a_mng_rwt_scns_share

それでは、キャンパスのどこかで見かけたら気軽に声をかけてください。

<参考>

 「正義」についてのより厳格な定義を持つ西洋社会の文化的な土壌を背景にして、米国の一流大学では、それだけを考察する授業すらあるのです。
 その世界的な権威であるマイケル・サンデル氏(ハーバード大学)の授業”Justice”のリンクを以下に貼付します。

 この授業を書籍にまとめた同氏の著作は世界的なベストセラーになりました。ぜひ視聴してみてください。

※余談ですが、私の著作も発売4ヶ月の時点で、日本語版にくわえ、海外3言語での翻訳版が発売されることが決まっています。

【エントランス展示中!】知の巨人~南方熊楠~

 南方熊楠、という名前を偉人伝などで見たことがある方は多いと思いますが、ではどういった功績や逸話を残した人物なのか、ということを語れる方は意外に少ないのではと思います。

 南方熊楠の凄さを語りにくい理由の一つには、その多才さにあるかもしれません。圧倒的な記憶力、語学堪能(22か国語を理解したとも)で、植物学、民俗学、考古学、文化人類学、宗教学など幅広く探求し、かの柳田國男から「日本人の可能性の極限」と評価されています。
 8歳で『和漢三才図会』の筆写を始め、19歳で渡米、大英博物館に出入りし26歳で総合科学雑誌『Nature』に天文学の論文を寄稿。Natureへの論文掲載数は研究者歴代最多といわれる51本!しばしばレオナルド・ダ・ヴィンチと比較される、まさに知の巨人です。

 今年、2021年は南方熊楠没後80年ということで、10月のエントランス展示は「知の巨人~南方熊楠~」と題して行うことにしました。現在図書館エントランスにて展示中です。
 今回の展示にあたり、本学図書館の所蔵する関連図書を展示するとともに、南方熊楠顕彰館様(https://www.minakata.org/)にご協力いただき、許諾のもと貴重な画像も印刷展示していますので、ぜひ図書館にお立ち寄りください。
 南方熊楠顕彰館様のサイトにはまだまだ貴重な資料が掲載されていますので、興味を持った方はぜひ閲覧してみてください!

[藤棚ONLINE]知能情報学部・田村祐一先生 推薦『ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち』

図書館報『藤棚ONLINE』
知能情報学部・田村祐一先生 推薦
『 ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち : 子どもが社会から孤立しないために 』

まず,はじめにお伝えしておくことがあります.本ブログがどのあたりの層に最も読まれているのか十分に把握しておりませんが,学生の方よりも教職員,特に中高生のこどもがいる方に最適な本です.

学生でも保護者からの干渉が強く,ゲーム・インターネットの利用についてことあるごとに色々と言ってくるという状況の方は知識として知っておいてもいいかもしれません.

さて,書評を始めます.はじめにこの本のタイトルからどんな印象をうけましたか?

私が最初にタイトルを見たときには,よくある「ゲームのやりすぎは良くない」「インターネット中毒」という内容の本かと思いました.(多分,そのような内容の本であれば読みませんでした.)

確かに,本書の中にはそのような内容もみられます.一方で,著者(児童精神科の医師です.)は豊富なデータとそのデータを考察し,客観的な見解を述べています.
例えば,巷でよく言われる「ゲーム脳」,「スマホ中毒」がそもそも明確に定義されていないことに驚くかと思います.

内容についてですが,9章構成になっていて,1~3章は若い世代とICTの関わりをSNSやゲームを題材として述べられています.

この部分が特に若い人の親世代が理解しづらいところかもしれません.一方でICTを利用している側からすると,知っていることばかりなので,すでに使っている人からすると,少し退屈な内容です.

4, 5, 6章は「発達障害とゲーム,子供」というような章になりますが,定型発達の人でも発達具合には個人差がある(発達障害と定型発達は地続きなのです)ため,「発達障害の人と自分とは別」と思わないで読むと,自分にも当てはまる部分があり,はっとさせられます.

6, 7章は使いすぎを防ぎ,使い方を身につける方法,さらにはもしも依存症になった場合にどうするのかについて,医師の立場から書かれています.

この部分はいわゆる「ゲームをやめる方法,スマホを使わずに済む方法」といったICT機器との関わりを0にする方法を説明しているのではなく,そもそも依存症とはどのような状況なのかの説明がされています.現代社会は長時間のインターネットの利用を「ネット依存」とすぐに決めつけ過ぎであり,ある時期に依存性があるように見えても,数年でそのような傾向がなくなるという記述もあり,スマホを取り上げるといった行動の危険性についても述べられています.

最後に,この書評で十分に本書の内容を述べらたと思いませんので,特に育児中の皆さん,さらにはZ世代と呼ばれる保護者のもとにいる皆さんが上の世代からはどのように見えるのかを知るために,一度手にとって読んでいただければと思います.