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【第8回 甲南大学書評対決】 中村俊輔著 『察知力』

4月24日(木)に開催された第8回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

 

知能情報学部講師 奥村 真善美 先生からのおすすめ本です。

書名 :察知力
著者 : 中村俊輔
出版社:幻冬舎
出版年:2008年

奥村先生1冊目のおすすめ本です。お好きな本を紹介していただきました。

 

以下、先生の書評です。

 

サッカー日本代表や海外リーグ等で数々の偉業を成し遂げた中村俊輔選手による自伝。
「壁があるときは、まだましだ。それを乗り越えればいいだけ」や「壁から逃げなければ得るものが大きい」はいまでも中々解けない問題に出会った時などに反芻します。その他にも中村選手の考え方は種目を越え、もはや業種を越え通ずるものがあると思います。

一見すると無駄に見える、失敗に見えることでも、プラスへ持っていく努力をする、そして、体験を未来にどう活かすかを分析し、足りないところは補い、できたことはさらに磨くことで「引き出し」を増やしていく。この考え方はどの分野においても大切な考え方です。また、中村選手は本書で何度か安定や満足感に対しても危機感を感じると記しており、こういった考えが、中村選手をサッカー小僧たらしめる所以なのではと感じています。

自分自身も危機感をもって常に数学とともにある研究者になれたらと思います。

 

第8回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中! | 甲南大学図書館ブログ (konan-u.ac.jp)も合わせてご覧ください!

【第8回 甲南大学書評対決】 矢崎成俊著 『実験数学読本3:やりたくなる実験から考えたくなる数学へ』

4月24日(木)に開催された第8回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

 

知能情報学部講師 奥村 真善美 先生からのおすすめ本です。

書名 :実験数学読本3:やりたくなる実験から考えたくなる数学へ
著者 :  矢崎成俊
出版社:日本評論社
出版年:2020年

奥村先生2冊目のおすすめ本です。数学について熱く語っていただきました。

 

以下、先生の書評です。

 

「数学って何の役に立つのだろう?」や「数学ってどういうところに応用されているのだろう?」といった疑問に対する一つの回答や示唆を与えてくれる一冊です。題材によっては小学生でも分かる or できる身近な現象や実験から、数学を応用したり、創り出したり、見出したりできる本となっており、例えば、独楽作りや紙で正四面体・正八面体を作るなど、単に実験・工作をするだけでも楽しめるのではないかと思います。個人的には対数とケプラーの第3法則についての内容が気に入っています。

この「実験数学読本」は第3弾まであり、第1弾とこの第3弾はゼミ生にも輪読してもらいました。複数人でワイワイ議論しながら読み進めていくのがおすすめです。

 

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【第8回 甲南大学書評対決】 サイモン・シン著 『フェルマーの最終定理』

4月24日(木)に開催された第8回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

知能情報学部講師 奥村 真善美 先生からのおすすめ本です。

書名 :フェルマーの最終定理
著者 : サイモン・シン
出版社:新潮社
出版年:2006年

奥村先生3冊目のおすすめ本です。自分とも通ずるところがあるとのことです。

 

以下、先生の書評です。

 

フェルマーの時代から300年あまり、偉大な数学者たちがその証明を試み、敗れていった「フェルマーの最終定理」。アンドリュー・ワイルズによってこの未解決問題は解決されるのですが、その解決に至るまでのワイルズの努力、苦悩、挫折といった人間ドラマがこの本には記されています。

一度発表した照明に致命的な誤りが見つかり、ワイルズは追い詰められますが、信頼のおけるかつての教え子の協力も経て突破口を見出します。

この場面を読み返したとき、「現代科学における諸問題はかつてのように一人の天才が解決するのではなく、一人ひとりが共同でチームとして取り組み、解決していくものだ」という恩師の言葉を思い出しました。ワイルズはフェルマーの最終定理の証明という、子供時代からの夢を実現しました。私も生涯をかけて取り組み、自他共に良い仕事と言えるような研究を進められたらと願うとともに、日々精進していきたく思います。

 

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南地伸昭(経営学部)『巡礼の科学-聖なる旅が綾なす経験価値』

巡礼の科学-聖なる旅が綾なす経験価値
弘文堂, 2024.2
■ ISBN 978-4-335-16108-7
■ 請求記号 186.91//2002
■ 配架場所 図書館1階・教員著作コーナー
■ 著者(所属) 南地伸昭(経営学部・特任教授)

<自著紹介>
神仏への祈りを基本とする伝統的な巡礼は、宗教権威の後退等を背景に、経済財である巡礼ツーリズムとして商品化されるようになった。ツーリストが神聖な時空に身を委ね、自分探しを行いつつ巡礼ツーリズムを経験消費する過程は、思い出として記憶に残る経験価値を内包していると考えられる。本書では、巡礼ツーリズムの多彩な魅力を定量的に捕捉するための測定尺度モデルを開発し、日本の代表的巡礼ツーリズムの経験価値の構成要素を明らかにする。

松下豊久(卒業生)『平生釟三郎の栄光と苦悩』

平生釟三郎の栄光と苦悩 』
■ 松下豊久著, 甲南大学出版会, 2024.3
■ ISBN 978-4-9912975-1-9
■ 請求記号  289.1//3532
■ 配架場所 図書館   2F 甲南サロン
■ 著者所属  松下豊久(卒業生・元甲南小学校事務長)

知る人ぞ知る戦前・戦中の政財界第一級のリーダー
「人類共存」と「報国尽忠」を信条に明治・大正・昭和の時代を駆け抜けた生涯
その壮絶な人生を描いた新しい伝記

平生釟三郎は、甲南学園や甲南病院の創立者であると共に、東京海上専務、川崎造船所社長、日本製鉄会長などを歴任した実業家であり、文部大臣や大日本産業報国会会長にも就任した戦前日本を代表する指導者の一人である。
しかし他方では、日露戦争から第一次大戦そして満州事変から昭和20年の敗戦に至るまで、戦争の時代と真摯に向き合って格闘した人物でもあった。
本書は、その時代背景を詳しく辿るとともに平生釟三郎の苦悩と揺れ動く心の動きにも迫った画期的な伝記であり、戦前戦中の日本を多方面に知るためにも、是非とも多くの方々に読んで頂きたい一冊である。

<松下豊久氏から学生皆様へ>
 私は、甲南大学経済学部を卒業後民間企業に勤務していた者で、学者や教員ではありませんが、会社を退職後、平生釟三郎先生のことをあらためて勉強してこのような本を出すことが出来ました。
 皆様方もいつまでも学び続けて挑戦するという気持ちを持ち続けて下さい。
平生先生は、一流の財界人であり甲南学園の創立者でありますが、それだけではなく、日中戦争
から太平洋戦争へと向かう難しい時代に、様々な要職に就いて戦争の終結を願い苦悩した人でした。
そのことに焦点を当てた平生先生の新しい伝記を是非とも読んで下さいませ。

松下豊久 (まつした・とよひさ)
1949年生まれ。兵庫県在住。
甲南大学経済学部卒業後、三菱銀行に入社、大阪、ニューヨーク、東京で勤務。その後繊維商社を経て、2015年から2018年まで学校法人甲南学園甲南小学校の事務長を務める。

第一部 生い立ちから東京海上で活躍するまで
第一章 生い立ち・就学・就業
第二章 東京海上時代の釟三郎
第三章 釟三郎の転機

第二部 釟三郎の教育事業
第四章 拾芳会の設立と発展
第五章 甲南小学校の設立 参加から経営へ
第六章 旧制甲南中学校・高等学校の設立
第七章 釟三郎の教育理念

第三部 社会への関心の広がりと社会事業の開始
第八章 政治的・社会的関心への広がり
第九章 甲南病院の設立

第四部 政治経済活動の展開と多方面での活躍
第十章 釟三郎の政治的活動
第十一章 川崎造船所社長
第十二章 ブラジル移住者支援と貿易の拡大
第十三章 貴族院議員と文部大臣

第五部 戦時体制下での苦闘
第十四章 北支最高経済顧問
第十五章 日本製鉄会長・社長、鉄鋼統制会会長
第十六章 大日本産業報国会会長
第十七章 釟三郎の大東亜共栄圏観と戦争拡大回避の努力
第十八章 日米開戦後の釟三郎
第十九章 釟三郎の晩年
終章 釟三郎が残した事業 その後

★本書は、神戸新聞総合出版センターから発売されています。

藤本建夫(名誉教授)『実業家平生釟三郎の社会奉仕の理念 』

実業家平生釟三郎の社会奉仕の理念 : 画一主義教育の弊害と産業・貿易の保護干渉からの解放
■ 藤本建夫著, 甲南大学出版会, 2024.3
■ ISBN 978-4-9912975-2-6
■ 請求記号  289.1//3531
■ 配架場所 図書館   2F 甲南サロン
■ 著者所属  藤本建夫(名誉教授・元経済学部教授)

大正から終戦までの日本社会の実像を平生日記で読み解く――

<序章より抜粋>
私はこの書物を通してまさにこの時代を生き抜いた実業家平生釟三郎という一人の人物の生き様を多方面に描くことによって、彼が身を以て生きた時代そのものを明らかにして見たい。その作業を行う上で格好の極めて重要な資料を彼は後世の我々に残している。それは彼が日々の出来事を克明に書き記した日記である。彼は大正2(1913)年10月7日に筆を起こし、昭和20(1945)年10月12日に筆を擱くまで、この激動の32年間を彼が実際に体験し、見たまま、感じたままをこの日記に記していて、今我々はこれを通して、通常の歴史書や偏った思想書とは違った興味深い生き生きとした事実や人物に接することができる。その意味でこの日記は日本の近現代史にとって第一級の史料であると言っても過言ではないだろう。

第1部 消滅する武士道精神と商道徳の退廃
第1章 第一次大戦前夜の軍部の疑獄事件
第2章 第一次世界大戦と成金の叢生
第3章 商道徳の退廃と誤った金融政策が大正9年の大恐慌を誘発する
第4章 関東大震災と火災保険問題
第5章 昭和金融恐慌 ―万策尽きた神戸の雄傑金子直吉と松方幸次郎―

第2部 平生釟三郎、日本社会をliberateする
第1章 学校教育を官僚的干渉よりliberateする
第2章 労働・社会運動と購買組合
第3章 療病を営利的医術よりliberateする
第4章 産業・貿易をliberateする
第5章 川崎造船所をliberateし、労使協調体制を実現する
第6章 訪伯経済使節団の成功と日伯貿易の増大
第7章 文部大臣として国字を漢字の禍害からliberateする

第3部 戦争責任を皇室に転嫁する軍部とその軍部に翻弄される平生釟三郎
第1章 満州国の建設と国際社会からの孤立
第2章 北支方面軍司令官最高経済顧問平生釟三郎
第3章 日本製鉄株式会社のフューラー(Fȕhrer)平生釟三郎
第4章 「日満一如の精神」とは平生にとって何だったのか
第5章 日米軍事力格差の現実と太平洋戦争への道
終章 敗戦と平生の「日記じまい」

★本書は、神戸新聞総合出版センターから発売されています。