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西岡壱誠著 『頭がいい人は○○が違う : 偏差値35から東大に合格してわかった』

 

 

知能情報学部 4年生 Kさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 頭がいい人は○○が違う : 偏差値35から東大に合格してわかった 
著者 : 西岡壱誠著
出版社:日経BP
出版年:2023年

多くの人がよく「私は頭が悪いから…」と言うが、これには、「頭のよさとは先天的なものである」という前提が見え隠れしていると考えられる。つまり、後天的に「頭をよくする」なんてことは無理と考えているのであろう。高校まで勉強がまったくできなかった筆者は、偏差値35から2浪して東大に合格している。つまり、「頭のよさ」はある程度自分の意思と努力で作れると考えられる。また、筆者は「頭がいい人とそれ以外のひとでは、何が違うのだろう?」という問いに対する答えを自分なりに出すために執筆している。

そもそも、「頭がいい」というのは、頭の使い方、つまり、思考法が優れているとも言える。頭がいいとされる人間の頭の使い方として、課題や目標を分解する、頻繁になぜかと問う、調べればわかることはすぐに調べる、自分の弱みをよく探す、合格体験記を熟読する、丸暗記を避けるなどがある。つまり、「分からない」という状態を嫌う傾向にあるといえるだろう。

思考を変えるためには、まずは行動から見直すとよい。ルールを守る、上手に手を抜き仕組みを活用して頑張りすぎない、スケジュールを立てずにやることリストを作る、「小テストの満点」にこだわる、最新ツールを試す、努力の限界を見極めて早い段階であきらめるなどの行動に変化させるとよいだろう。「心」を変えることもまた、思考と行動を劇的に変える。素直な心を持つことで、情報の吸収が早くなる。新しい情報を吸収することで、「行動」も変わりやすくなる。

このように、頭がいいとされる人間の思考や行動、心をマネすることで、後天的に「頭をよくする」ことができる可能性が見込まれる。全てを同時にマネするのは難しいと考えられるので、まずは自分がマネしやすい部分から順にマネするとよいのではないだろうか。

最後に、筆者の問いに対する答えは、「自責思考」なのか「他責思考」なのかという違いだ。頭のいい人は自責思考である傾向にある。

細田高広著 『コンセプトの教科書 : あたらしい価値のつくりかた』

 

 

知能情報学部 4年生 Kさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : コンセプトの教科書 : あたらしい価値のつくりかた
著者 : 細田高広著
出版社:ダイヤモンド社
出版年:2023年

本書籍は、コンセプトを「つくる」ために書かれた。どのように発想し、構想を膨らませ、言語に落とし込むのか。最初の一手から仕上げまでの一連の流れひとつの体系にまとめられている。「コンセプト」という単語は、「全体を貫く新しい観点」と説明する辞書が多い。ビジネスシーンでのコンセプトの構成は、判断基準になること、一貫性を与えること、対価の理由になることの3つと言える。

また、最初の一手で重要なこととして、コンセプトメイキングがある。「新しい意味の創造」を意味し、コンセプトメイキングは問いからはじまるが、意味のある問いでなければ意味がない。意味のある問いから意味のあるコンセプトが生まれるからだ。

問いの良し悪しは「自由度」(問いが誘発する答えの幅)と「インパクト」(答えることで生まれる社会や生活への影響力)で決まる。良い問いは受け手の発想に自由を与え、決定的な答えを導く。設計には、顧客目線で設計する「インサイト型ストーリー」と、未来目線で設計する「ビジョン型ストーリー」の2種類がある。「インサイト型ストーリー」は、顧客を救済するもので、4つのC(Customer:顧客、Competitor:競合、Company:会社、Concept:コンセプト)から構成される。

コンセプトの設計ができたならば、1行化(ワンフレーズ化)しなければならない。ここではまず、3点整理法を用いて意味を整理する。次に、目的か役割かに応じて情報を削ぎ落し、最後に2単語ルールに則って言葉を磨き上げる。コンセプトに役立つ10の構文も存在するので、それを用いるとより良いコンセプトに仕上がるだろう。

ここまで到達すれば、試作品を作成すると良い。製品の開発コンセプトであれば、1枚の紙にまとめる、マーケティングコンセプトであれば、1文にまとめることが効果的だ。

このように、この本はコンセプトのつくり方を最初から最後まで懇切丁寧にまとめられている。

森見登美彦著 『四畳半神話大系』

 

 

知能情報学部 4年生 Oさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 四畳半神話大系
著者 : 森見登美彦著
出版社:太田出版
出版年:2005年

主人公私と小津の友情物語であると言うならば、正解ではあるのだろう。複雑に入り組んだように思えた四畳半は四畳半なのだからよく考えればきれいな正方形なのである。四畳半を移動すれば、小津との新しい物語が生まれる。選択肢は無数にあるのに小津との運命からは逃げられないのだ。

私の物語を読んで涙も出なければ、腹の底から笑うこともない。てっきり明石さんとの恋物語が始まるのかと思った自分がどれだけの間抜けなのかと痛感した。私は阿呆でもあり間抜けでもある。だから小津の手のひらで転がされることしかできないのだ。妖怪占い師に揚げ足を取られているやつが華やかな学生生活を送れるはずもない。どの四畳半に転がり込んでも、根本的には同じだ。コロッセオ、モチグマン、蛾、猫ラーメン、小津。選択肢を変えても運命の黒い糸で結ばれたものはそうやすやすと運命の変更を認めてくれるわけがない。もしかすると神はそこまで手が回らないのかもしれない。もしかすると神ごとの役割を全うしているだけかもしれない。明石さんと結ばれるのは私と決まったのだからこれ以上のことはない。きっかけを作るために神は蛾の大群を送り込んだのかどうかは知る由もない。ただ目の前の好機を逃さないことだ。

好機というのは良い機会ということです。好機というのは掴まえにくいものであります。好機のように見えないものが実は好機であることもありまして、好機だと思われたものが好機ではないこともあるのです。目印はコロッセオです。もしこの本が見えたならそこにコロッセオがあるのです。いや、コロッセオがあるときこの本が開いているのかもしれせん。

ですが好機を逃しても焦る必要はありません。立派なみなさんはいずれは四畳半を覗くことができるのですから。

湊かなえ著 『白ゆき姫殺人事件』

 

 

知能情報学部 4年生 Oさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 白ゆき姫殺人事件
著者 : 湊かなえ著
出版社:集英社
出版年:2012年

本書は2014年に映画化もされた、『告白』『夜行観覧車』などの代表作をもつ湊かなえによるミステリー小説である。著者は『告白』のヒットとともに読んだ後に嫌な気分になるミステリー、通称イヤミスというジャンルを広めた。もちろん本書もイヤミスとなっている。

ある日、化粧品会社に勤める美人OL社員が殺害されるという事件が起きる。その事件の手がかりをつかんだフリー記者、赤星が独自に調査を始めるところから物語は始まる。本書は5章に分かれており、第1章から第4章までは赤星目線の取材にまつわる物語が展開され、第5章では、事件の容疑者である城野美姫目線の話となる。

本書では真犯人が誰かということではなく、人間の醜さやSNSの怖さに注目してほしい。赤星の取材内容には多くの登場人物が出てくるが、全員が微妙に違う証言をする。それは曖昧な記憶であったり、自分に都合の良いように塗り替えられた記憶を語っているからだ。時には自分を守るために意図的に嘘の証言をする者もいる。赤星も記事を面白くするため、無実の城野美姫を犯人だと勘違いさせるような誇張した記事を掲載する。SNSではこのミスリードのせいで、城野美姫はますます社会に戻ることが難しくなっていく様子が描かれている。

人生において噂話を他人に話した経験は少なからず誰にでもあるだろう。ただ事実は当事者にしかわからず、その当事者が真実を話してくれる確証もない。誰も本当のことはわからないのである。その中でも噂話が絶えることはない。無責任な発言により苦しめられる人がいるということを理解しなければならない。「白ゆき姫殺人事件」はこのネット社会に生きる現代人の私たちにとって自己を見直せるきっかけとなる一冊となるだろう。

和本の修理を行いました(2/19,3/6)

2月19日と3月6日、KONANライブラリーサーティフィケイト活動の一環として、和本の修理を行いました。今回は文学部1回生のNさんと法学部2回生のTさんにお手伝いいただきました。
午前中は和本の仕組みを理解していただくために、好きな紙を使ってミニ和本を作ります。せっかく和本を作るので定規もセンチではなく尺の目盛がある曲尺を使います!

半紙を折って、紙縒りを縒って、穴を開け、糸で綴じる。慣れない作業と慣れない目盛に四苦八苦しながらも見事に和本が完成しました!

午後からはいよいよ和本の修理です!図書館の書庫には糸がきれてしまった和本がたくさんあります。そのままにしておくと表紙と中身がバラバラになってしまうため、元通り四つ目で綴じる作業をしていただきます。
Nさんは最初はマニュアルを見ながら綴じ方を確認していましたが、すぐに四つ目綴じをマスターしたようです! 午後からの作業はすいすい進みます。 午前中は余裕がなくてとても静かだったのですが、午後からは感想などを話しながら楽しく作業を進めてくれました。
一方、Tさんは「裁縫は正直苦手です」と語っていた通り、一本道の途中何度も迷子になってしまいます。それでもわからないときはちゃんとマニュアルを確認し、スタッフに質問し、間違えないよう慎重に作業をしてくれました。わからなければ確認する、これはとても大事なことです。

結果、時間内に予定していた冊数の和本の綴じなおしが完了しました。Nさんは「本を糸で縫うということが初体験でとても面白かった」Tさんは「図書館の役に立つことができてとてもうれしかった」 との感想をいただきました。 お二人とも達成感に満ち溢れていました…。
また機会がありましたら次は四つ目綴じ以外の綴じ方で和本を作りましょう!お手伝いどうもありがとうございました。

KONAN ライブラリ サーティフィケイトでは、本を読む以外にも、ボランティアなど図書館でしか経験できないイベントにもご参加いただきます。今回のように普段触れることのできない貴重な資料を扱うこともあります。
自分も参加したい!と思った方、ちょっと興味あるかなと思った方、一緒に活動しませんか。
ご参加をお待ちしています!

KONANライブラリーサーティフィケイト

ライブラリサーティフィケイト1級取得予定者との面談を行いました

 

ライブラリサーティフィケイトでは、1級取得予定者に活動の振り返りをかねて、図書館長と面談をしていただきます。
といっても堅苦しいものではなく、ゆったりまったりとお話をしていただくものです。

先日、1級取得予定者の文学部 4年生のKさんが面談を行いましたので感想をご紹介します。
楽しい時間の中でも、ご自身の課題を見つけられたそうです。非常に有意義な時間であったことが窺えますね。

ぜひライブラリサーティフィケイトご参加のみなさんにも、そうでない方にも、たくさんの方に読んでいただきたいなと思います!

 

 

以下、Kさんからの感想です。

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杉本先生との面談は、穏やかで心地のよいものでした。面談の経験は、中高での進路に関するものしか経験がなかったため、面談前は一方的に質問ばかりされるのではないかと緊張していました。しかし、杉本先生もご自身の考えを話してくださり、どちらかというと会話のような雰囲気で、話しやすかったです。

面談内容は、本の選び方や本を読んでいて印象に残った言葉、図書館への要望といった読書や図書館に関することはもちろん、私の卒業論文の内容や私が言葉を選ぶ際に気をつけていることなど多岐にわたりました。もともと読書家ではない私が話しやすいように、配慮してくださったのだろうと思います。また、私に関心があることを示すことで、話しやすい雰囲気を作ろうともしてくださったのではないかと思います。

今回の面談でとくに印象的だったお話は、読書は必須ではないけれど、読書をする人に厚みをもたらし、最後にその人を支えるものなのではないかという杉本先生のお話です。このお話を聞いたときに、去る者は追わず来る者は拒まず、豊かな時間を抱えたまま、静かに読者に寄り添う本のイメージが思い浮かび、それが私の読書のイメージと一致していたためです。「読書は良いもの」、「漫画より本」といった社会のイメージに囲まれながら、甲南大学入学前は課題図書などで強制される以外に本を読む機会がなかった私は、読書に対して厳かで脅迫的なイメージがありました。また、従来の私の読書は感想文を求められるものばかりだったので、読書から何かを得なければいけないという固定観念ももっていました。しかし、大学在学中に自分のペースで目についた本を少しずつ読んでいくうちに、飽きれば読むのをやめてもよいし、大した感想をもてなくても問題ないと思えるようになりました。また、読書によって知らなかったことを知ったり、新しいことについて考えるきっかけを得たりもしました。そして、読書を中断して、その新しいことを考えることに没頭してもよいし、その考えの良し悪しを誰かから評価される恐れはないのだと思えるようになりました。これらの読書経験から、本は色々な読み方を受け入れてくれる寛大なものだと思うようになり、読書に対するイメージが前述したものに変わりました。

今回の面談は、楽しい面談ではありましたが、自身の課題を再確認する面談でもありました。その課題とは、自身の考えを整理して伝えることです。とくに会話のように瞬発的に発言を求められることは、なおさら苦手だと痛感しました。実際に今回の面談では、言葉が途切れ途切れになってしまったり、「わからないですね」と質問に対して答えを出せなかったり、面談終了後に違う意見や新しい意見が思いついたりしました。それでも杉本先生は、言葉が出るまで待ってくださったり、私の答え一つ一つに対して丁寧に反応して、受け止めてくださったり、とても温かな雰囲気で対応してくださりました。そのおかげで、不格好ではありますが、安心感があり楽しいと思えた面談になりました。

また、今回の面談で気づいたことがあります。それは、お話の楽しい人は自身の考えをもち、それを適切に言語化し、相手に伝えられる人なのではないかということです。私の回答に合わせて臨機応変にご自身の考えを伝え、話を深めてくださった杉本先生との面談は楽しいものでした。また、今回の面談で質問をされる立場になって、以前させていただいた教員インタビューを思い出したのですが、そちらも楽しかったです。そして、インタビューを受けてくださった先生方には、質問に対して、その場でご自身の考えをわかりやすく伝えてくださったという共通点がありました。加えて、どの先生方も、私が話した際には、私の話を受け止め、広げてくださりました。このことで、会話が相互的になり、いっそう楽しいものになったのではないかと思います。

以上の気づきから、読書をはじめとする、自分の心を動かしたり、考えを広げたりする経験をたくさんして、それらを言語化する練習を積み重ねたいと思いました。そうすることで、ライブラリサーティフィケイトをきっかけに関わってくださった先生方のように、自身の意見を持ちつつも、相手の意見をくみ取り、受け止められる引き出しを持て、そして、それらを相手にわかりやすく伝えられるようになるのではないかと思ったためです。また、このような人間像は杉本先生がおっしゃっていた読書によって得られる人としての厚みと関連しているようにも思います。

今回の面談は、大学在学中の読書経験やライブラリサーティフィケイトでの活動を振り返るよい機会になりました。何よりも楽しいと思える時間を過ごすことができました。

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また、図書館長の杉本 喜美子先生からも面談の感想をいただきました。

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今回の面談の前に、読書記録を読ませていただき、非常に論理的なこと、だけど全く冷たさを感じない、むしろ読むだけで心に触れられるような鮮やかさを持つ文章に圧倒されました。実際にお会いしたら、ひと言ひと言を熟考して紡ぎだす、言葉を大事にする方なのだと感じました。高校時代は決して本好きとは言えなかったが、大学で100冊を読破し、ライブラリサーティフィケイトの申請が終わった今もその習慣は続いていると語るKさんから、本を読むことそのものが人をより豊かに育てるのだなと実感しています。

100冊の中で一番心に残った言葉は「幸せは足し算できるもののように、わたしには思えます。先にどんな不幸があっても、足したものは引かれることはない、そう感じます」だそうです。どの本の言葉かは、みなさん探してみてください。人生の指針となりうる言葉に出会われたこと、心から素敵だなと思いました。みなさんも、そんな言葉に出会ってみませんか?

図書館は「そこにあればいい。受け止めてくれていると感じられるから」とKさんは話してくれました。図書館を支えてくださっている職員のみなさんも私も、それを聞いてほんとうにうれしく思います。図書館はこれからも、みなさんの心の支えでありたい。ライブラリサーティフィケイトを一つのきっかけに、ぜひ、みなさんを支える言葉に出会ってくださいね。

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ライブラリサーティフィケイトは4年間かけて一歩ずつ1級取得を目指して進めていくこともできますし、1年で1級の取得を目指すこともできるので、ご自身のペースで進めていくことができます。

その中でビビッとくる本や言葉に出会い、「この本おもしろかったです!」「この言い回しが印象的でした」「この先生のインタビューおもしろかったです」とお話してくれることが私たちの喜びであり、みなさんが出会ってきたものが、今後の人生に繋がっていくことを願っています。

 

ライブラリサーティフィケイトは、いつでもみなさんのことをお待ちしています!