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尾原宏之(法学部)『公正の遍歴 : 近代日本の地域と国家』

 

<教員自著紹介>

本書は『公正から問う近代日本史』の続編です。人間は誰しも最低限「公正」に扱われることを求めます。

明治以降の日本においても、全国各地で参政権、公務員試験、都市開発、社会保障などをめぐって数多くの「公正」の要求があり、模索が重ねられてきました。その歴史を知ることは現代に生きる我々が直面している問題を考えるために必須の作業になっています。

公正の遍歴 : 近代日本の地域と国家
■  佐藤健太郎, 荻山正浩編著 ; 中西啓太 [ほか執筆], 吉田書店 , 2022.8

■ 請求記号 210.6//2266
■ 配架場所  図書館   1F 教員著作
■ 著者所属  尾原宏之(法学部)

甲南大学全学共通教育センター「正志く強く朗らかに : 躍動する甲南人の軌跡2023」

甲南大学全学共通教育センター「正志く強く朗らかに : 躍動する甲南人の軌跡2023
同文舘出版 , 2023.3

2019年3月の第一弾、2021年3月の第二弾に続く刊行です。

創立100年を超える伝統校、甲南大学。これまでに多くの卒業生を輩出してきました。彼らが学生だった時代、甲南大学にはどんな学びがあり、どんな人物になったのでしょうか。

本書では、約50名の卒業生にご協力いただき、大学時代を振り返っていただきながら、現在のお仕事や社会でのご活躍、そして、それぞれの人生について語っていただいています。

甲南大学を巣立った卒業生が、社会の幅広い分野でご活躍されている様子を垣間見ることができ、頼もしく、誇らしく感じました。現役学生のみならず、若手社会人の皆様にとっても勇気づけられる1冊です。

時代に合わせて変わったこともありますが、甲南人としての変わらない思いを引き継いでいくために、本書は1年次生対象の導入共通科目用の参考書として指定され、4年間の学びの道標として活用されているとのこと。

甲南大学の卒業生の活躍は、以下のサイトからもご覧いただけます。こちらも是非、ご高覧ください。
https://www.konan-u.ac.jp/closeup-alumni/

松村真宏著 『仕掛学 : 人を動かすアイデアのつくり方』

フロンティアサイエンス学部 2年生 島村大地さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 仕掛学 : 人を動かすアイデアのつくり方 
著者 : 松村真宏著
出版社:東洋経済新報社
出版年:2016年

日々見ている場所や景色には、工夫をして面白いや楽しいを引き出すことができるコンテンツがいくつかある。例えば、チラシの上に鏡をおいて、その鏡でみた人は、鏡で自分の髪をなおしたりするが、その後下のチラシに気づき手に取ってくれることが鏡を置かないよりも多くなったのだ。これは有効な仕掛けともいえるだろう。そういった日常の仕掛けに重点を置いたのがこの仕掛学である。

自分も、子供の頃から影遊びだったり、コインスライダーの募金箱だったりと自分の今まで生きた中で仕掛けに触れることが多々あったな、と本を読みながら共感することが多々あった。そもそも、この本の内容で紹介されている仕掛けというのは、罠のような良くないものではなく、人々の行動を増やすことを表している。

行動を増やすことはより良い自分に合った選択肢を選ぶことができる。仕掛けには色々なものがあり、その上で分類がある。それは、仕掛けをさせられて、人々の喜びは多いか少ないか、また、その仕掛けを作ることに対する負担が大きいか小さいかの計4つに分けられる。これらはどこの場所にどのようにおくのかによって決めることがよいと考えられる。また、仕掛けの思考としては、人々の心理的と物理的のトリガーの二つの大分類から人々の感覚まで、どこに作用させていきたいのかが重要である。ただ、どのような仕掛けであっても慣れてしまう事がある。そういった時に新しいものを生み出すか、また、人々が飽きないような仕組みをつくるのが手であると考えられる。

もし自分が実際に仕掛けというのを作ろうとしたら、FIRSTで心理的にポジティブ影響を与えるような、そういう仕掛けを作っていきたいと感じる。そのためにはこの本の内容を活かしながら試作品を作っていきたいと感じた。

第6回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

甲南大学生協の書籍部にて、第6回 甲南大学書評対決  実施中です。

書評対決とは・・・甲南学園および甲南大学の教職員と学生団体がそれぞれ”おすすめの3冊”の書評を執筆・発表し、BOOKCAFE(iCommons4階)、Books&Support(学友会館北館)、The CUBE SHOP(西宮キャンパス)、FIRST SHOP(ポートアイランドキャンパス)で展示販売し、その売上冊数によって勝敗を競う企画です

 今回は、甲南大学体育会バレーボール部の文学部3年 池田千音さん、マネジメント創造学部2年 浜野峻綺さん、法学部2年 池田怜史さんと、理工学部機能分子化学科教授の山本雅博先生の対決です!

 

 

 4月27日(木)に、各チームによる本のプレゼンが行われました。発表前には選書した本の著者や出版社の方からの応援メッセージもあり、みなさんとっても喜んでおられました。また、会場にはたくさんの観覧者が集まり、あたたかい歓声に包まれておおいに盛り上がりました。

 

プレゼン対決では、バレーボール部チームの学生3名が勝利しました!
🎊おめでとうございます🎊

 バレーボール部チームは、学生でも読みやすいもの、時間がない中でも読めるものを選んでくれました。2冊でひとつの物語になっている小説や、20代に向けた自己啓発本、たくさんの短編集が掲載されていて時間がない中でも読める小説など、それぞれの思う読んでほしい本をプレゼンしました。

どれも読んでみたいな、と思わせてくれる素晴らしいプレゼンをしてくれました👏

 山本先生は、小説や学芸書など幅広いジャンルの本を紹介されました。先生の研究室にはたくさんの本が置いてあるそうで、非常にたくさんの本を読んでこられていることが窺えます。先生が実際に学生の時に読まれた本や、甲南生にも親しみを感じられるのではないかという本を紹介してくれました。

学生への思いやりが表れている3冊ですね✨

※プレゼンされた本の紹介は下に続きます!ぜひスクロールしてご覧ください!

 

書評対決後にぱしゃり📸

 

 紹介された本は、4/27~5/26の売り上げで勝敗が決まります!結果は5/31に発表されます。ぜひこの機会に手に取ってみてはいかがでしょうか?

 書評対決は今後も年2回開催予定です。「おもしろい本」を探しにぜひチェックしてみてください!

【第6回 甲南大学書評対決】 マンジット・クマール著 『量子革命 : アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突』

4月27日(木)に開催された第6回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

理工学部機能分子化学科教授 山本雅博 先生からのおすすめ本です。

書名 :量子革命 : アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突
著者 : マンジット・クマール
出版社: 新潮社
出版年:2013年

2022年にノーベル物理学賞で「量子のもつれ」が選ばれたりと、量子という言葉が世間を賑わせています。1926年にシュレディンガーが波動方程式を提唱し大革命が起きました。

それまでの学問をすべて「古典」という分野に押し込んでしまったほどの革命が、実はいろんな実験結果の理論との細かな矛盾にあったことをこの本は詳しく書いています。お金儲けから始まり、その普遍化によって電子・原子・分子の力学を完全に書き換えた大革命に繋がっていったことが興味深いです。

山本先生は大学2年生のときに量子力学を履修し試験に臨まれたそうですが、シュレディンガーの波動式方程式を記せという最初の問題がわからなかったため、完全白紙の答案を提出された過去もおありだとか!それが、現在では研究で量子力学の第一原理計算という数値計算を生業とされているのですから、人生はわからないものですね!

【第6回 甲南大学書評対決】 朝永 振一郎著 『物理学とは何だろうか 上・下』

4月27日(木)に開催された第6回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

理工学部機能分子化学科教授 山本雅博 先生からのおすすめ本です。

書名 :物理学とは何だろうか 
著者 : 朝永 振一郎
出版社: 岩波書店
出版年:1979年

タイトルには明記されていませんが、物理学のなかの一分野である熱力学についてとてもわかりやすく解説されています。熱力学は完成されている学問です。アインシュタインの1905年の奇跡の論文も、実は熱力学をベースとしています。

熱力学の第一法則、仕事、熱、内部エネルギー、熱力学の第二法則、エンタルピー、エントロピー、化学ポテンシャル等の概念は一度は聞いたことがあるかもしれませんが、最も理解しづらい分野です。先生は学生の時にこの本をおすすめされたので読んでみるとさらにわからなくなった、という思い出があるそうです。

東大のある先生が、教員も熱力学をわかっているわけではなく、授業で教え始めてわかると言われているのも納得ができます。熱力学を教えており、さらに某先生が自分の遺書として本を残したいと言われて熱力学の教科書を書いたときに最も参考にした本がこの本です。石炭採掘の際の熱機関による排水ポンプの効率をどのようにあげたらいいのかというお金儲けの話から発展して、その熱機関の最大効率はどう決まるか、さらには熱力学がサイエンスのすべての世界を説明する普遍的な学問体系となったことはこの本で教えらました。

文系の方に「シェイクスピア読んだことある?」と聞くくらい理系の方には必読の本です!理系の方は(もちろん文系の方も)ぜひ手に取って読んでみてはいかがでしょうか。