5-2.教員インタビュー」カテゴリーアーカイブ

文学部 大西 彩子 先生へのインタビュー

文学部  4年生 Nさんが、文学部 大西 彩子 先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.  本はよく読まれますか。

A.  本よりは、論文をよく読みます。社会心理学の分野は、本としてまとめられるまでに時間がかかることが多く、論文で最新の研究を知ることができるため、そうしています。しかし、ノーベル文学賞を受賞した『チェルノブイリの祈り』は言語データのようで面白く、おすすめです。また、2児の子育てをしていることもあり、最近では児童書を読む機会が増えました。大人になって改めて昔好きだった児童書を読むと、作者が子供たちになにを伝えようとしているのかを考えることができて、非常に面白いです。特に、岡田淳の『びりっかすの神さま』『ようこそ、おまけの時間に』などはおすすめです。

Q.  学生の頃、読まれた本の中で思い出深いものは何かありますか。

A.  大学時代は本に夢中で、ジェーン・オースティンの『高慢と偏見』や、サッカレーの『虚栄の市』などの海外の文学作品を読みました。特に、カフカやドストエフスキーが好きで、『地下室の手記』は主人公がすごく個性的なのですが、なぜか気に入って何度も読みました。

Q.  学生に向けて、研究の際に図書館利用で何かアドバイスなどあれば教えていただきたいです。

A.  論文を検索する際、PDF化されておらず、その場で見られないからとその論文の使用をすぐに諦めてしまうのはもったいないと思います。私が大学生の頃、絶版で図書館や本屋では手に入れることができなかった本を、期待せずに入った古本屋にて偶然入手できたことがあり、その本は今でも大切にしています。簡単に手に入るものより、苦労したものの方がより大切に読めるのではないでしょうか。その場で手に入らないからと諦めてしまわず、図書館の取り寄せなどをぜひ活用してほしいと思います。

Q.  先生が、ご自身の研究分野に興味を持ったきっかけは何でしょうか。

A.  中学生の頃から周りの人間関係が気になり始め、大学で自分に合うような本を探すようになりました。自分が分かっていると思っていたことが、新しい知見によって分からなくなる瞬間が好きです。色々な本や知識と出合いながら、もっと考えたいと思ったのがきっかけかもしれません。

感想  :   最近では本をあまり読まれないとのことでしたが、自身の本に対する考えや思いを真剣に語っていただき、先生の読書への思いをうかがうことができました。

海外文学作品や、児童書といったジャンルはあまり読んだことがないので、『チェルノブイリの祈り』や岡田淳の作品はぜひ読んでみようと思います。

<大西 彩子 先生おすすめの本>

スべトラーナ・アレクシエービッチ著 ; 松本妙子訳『チェルノブイリの祈り : 未来の物語』岩波書店 , 2011年

オースティン著 ; 小尾芙佐訳『高慢と偏見』光文社 , 2011年

サッカレ著 ; 平田禿木訳『虚栄の市』国民文庫刊行会 , 1925年

ドストエフスキー著 ; 安岡治子訳『地下室の手記』光文社 , 2007年

(インタビュアー:文学部 4年 N

 

文学部 稲田 清一先生へのインタビュー

文学部  4年生 Nさんが、文学部 稲田 清一先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.  週にどれぐらいのペースで本を読まれますか。また、最近読まれたものの中で、よかったものは何でしょうか。

A. 仕事以外の本ですと、決まってはいないですが、週に1冊くらいでしょうか。年間だと大体40~50冊ぐらいだと思います。ここ最近ですと、王力雄の『セレモニー』(藤原書店、2019年)が一番面白かったです。中国共産党総書記の暗殺計画に巻き込まれた一技術者を描いたSF小説です。また、劉 慈欣のSF小説『三体』も読みました。今、アメリカや日本では、一部で中国SFブームとなっていることもあり、おすすめです。

Q. 学生の頃、どのような本を読まれていましたか。

A. 陳舜臣の探偵ものや歴史小説をおもしろく読みました。『阿片戦争』や『秘本三国志』などが印象に残っています。そのほか小説だと、1970年代の文庫のブームなどもあり、筒井康隆、野坂昭如といった作家をよく読みました。小説は昔も今も変わらず好きです。

Q. 学生に向けて、研究の際の文献の調べ方、図書館の利用法など教えていただきたいです。

A. 私自身は買う主義で、手元に置いておきたい本は基本的には買います。図書館だと、借りたいときに貸し出しになってしまっていることもあるのでそうしています。しかし、高価な本など入手が難しいものもあるので、そこは効率の問題ではないでしょうか。レファレンスは卒業論文の指導の際、よく学生に行くことを勧めています。レファレンスに質問をすることで見つかる答えがありますし、何より自身が何を知りたいのかわかっていないと人にうまく質問することができません。自分の理解のためにも、レファレンスは積極的に使っていくべきだと思います。

また学生の皆さんにぜひ勧めたいのは、相互利用で本を取り寄せられることです。甲南大学の図書館に無いからと借りるのを諦めるのはもったいないです。

Q. アジア史、中国史に触れる際、おすすめの本は何かありますか。

A. 小説ですと、先ほども紹介した『セレモニー』がいいと思います。小説以外ですと、上田信著『海と帝国:明清時代』がいいのではないでしょうか。歴史を学ぶうえで、国単位で歴史を見ることはやめたほうがいいと思うのですが、この本はその視点がよくあらわれた概説書だと思います。

感想  :   稲田先生はすでに一度インタビューを受けていらっしゃったということで、新しい質問項目を考えるのが難しかったです。しかし、先生の本に対する考えを聞くことができたのはとてもいい経験となりました。劉 慈欣の『三体』は私も買ったのにまだ読めていない本だったので、これを機に読んでみようと思います。

<稲田 清一先生おすすめの本>

劉慈欣著 ; 大森望, 光吉さくら, ワン・チャイ訳『三体』早川書房 , 2019年

陳舜臣著『阿片戦争』講談社 , 1987年

陳舜臣著『秘本三国志』講談社 , 1986年

上田信著『海と帝国 : 明清時代』講談社 , 2005年

(インタビュアー:文学部 4年 N

 

法学部 中井 伊都子先生へのインタビュー

法学部  3年生  清水 優也さんが、法学部 中井 伊都子先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.  本はよく読まれますか。

A.  本はとてもよく読みます。特に歴史ものが好きです。司馬遼太郎や、最近ではクリスチャン・ジャックなど、その人の視点で歴史や時の流れを追っていくような作品が好きです。

Q.  学生時代に読んでいた本を教えて下さい。

A.  学生時代から歴史小説が好きでした。気に入った作家が見つかればその作家の本をすべて読まないと気が済まない質です。その時々に話題になるような単発のものも読みましたが、長い歴史の本が好きなため、あまり心に残らなかったですね。

Q.  先生は国際法、その中で特に国際人権法を研究されています。国際法というものに興味を持ったきっかけを教えて下さい。

A.  大学生のとき、恩師に「国際社会を見る目を養い、より深く知っていくためには、歴史か法律を自分のものの見方の枠組みとしてしっかり持ちなさい」と教わり、大学院に進むにあたって、国際法を専攻しました。その中で国際人権法を選んだ理由は、人権によって国家主権に揺らぎを与えられる可能性を感じたからです。絶対的なものであるはずの国家主権と「人権」の関係に惹きつけられました。

Q.  国際法を研究していて、やりがいを感じるときを教えて下さい。

A.  自分の研究のよって社会貢献ができたときです。行政が日本の国内法でカバーできない問題や分野について対策を講じる際に、国際的な基準や法律についてお話をする機会などがあります。大阪市のヘイトスピーチ条例の作成に携わったことなどがその一例です。自分の研究者としての営みが、条例作成というかたちで社会に役立っているところに喜びを感じます。

Q.  国際法に関心がある人に薦める本を教えて下さい。

A.  国際法に関心がある方が、必ずしも国際法の本を読めばいいとは思いません。国際法に興味があるならば、まず国際社会について知ることが重要です。なので、どんな本でもいいので、自分と違う考えや宗教、経済体制に関心を持ち、それらを国際社会に向けて広げていってほしいです。

Q.  最後に、甲南大学の学生にメッセージをお願いします。

A.  自分と違うものを怖がらないでください。自分と違う考え方、宗教、性的指向、人種などを恐れるのは、知識がないことが原因です。知識を得て、結局は同じ「人間」なんだという感覚を持つことで、人と人の交流が始まります。人と人との交流は国と国との交流に繋っていき、やがてどのように国家が共存していくかということに繋がります。大袈裟ではなく、小さな心がけが大きな歩みにつながるのだと思うのです。なので、自分と違うものを恐れないで、そして恐れないために十分な知識を得てください。

感想  : 「視点」というものを大事にされているように感じました。視点を増やすことで、相手を慮ることができたり、正しい判断ができる。その視点を増やすためには、知識を得なければならない。この考えは、なぜ人は学ぶのかという問いに対する、一つの答えではないかと思いました。

そして、インタビューを通じて、研究分野だけでなく歴史や経済といった多様なものを吸収しようとする姿勢がひしひしと伝わり、改めて尊敬の念を抱きました。

(インタビュアー:法学部 3年  清水 優也

 

文学部 A先生へのインタビュー

文学部  4生 H さんが、文学部 A 先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.  これまで特に力を入れて取り組まれた業務はありますか?

A. 大学図書館員だったときは利用教育と情報リテラシー教育に力を入れていた。図書館員全員で4月から5月にかけて1限から5限まで、新入生3,000人全員に対して行っていた。

Q. 利用教育を行って、手ごたえを感じましたか?

A. レポートや論文をこれから書くという人には役に立てたと思う。それだけではなくて、図書館には専門書だけではなく、小説や視聴覚資料、電子資料などもたくさんあるということを新入生の段階で知ってもらうきっかけにもなった。

Q. 情報化により剽窃がよく問題として取り上げられるようになりましたが、どのようにお考えですか?

A. 意図せずやってしまったことでも、とんでもないことになる。よくWikipediaを使う人がいるが、見るのは構わないが、レポートや論文の根拠としては責任の所在がない。著作権法や研究倫理については授業で積極的に伝えたい。

Q. 図書館はどのように対処できるでしょうか?

A. これからの図書館は、利用教育の際に、情報倫理や研究倫理を含めた1つ上のレベルを目指さなければならない。

Q.甲南生の図書館利用についてどう思いますか?

A.自習をしている人が多いが、図書館を利用するというのは図書館を単に場所として利用するということではなく、「図書館資料を利用・活用する」ということ。

Q. 図書館学の受講者、司書を目指している人に向けて一言お願いします

A. 資格を生かして、図書館で是非働いてほしい。人の役に立つだけでなく、自分も向上できる素晴らしい仕事。もし司書にならなくても、利用者として図書館を活用して欲しい。図書館で資料情報を自由に見られるのはもはや当たり前になっているが、そうではない時代も過去にはあった。情報を自由に入手できることは民主主義社会の基盤であり、その素晴らしさを図書館で実感して欲しい。

感想:授業内だけではなかなか知る機会がない先生の研究内容や、思いを知る場となり、大変貴重な時間になりました。司書を目指す方は、司書の方にインタビューをして、より詳しく学んで欲しいです。そうでない方も、是非所属する学部の先生にこのような機会を設けて頂き、自分の学ぶ分野により深く興味を持つきっかけになればと思います。ご協力頂きました皆さまにこの場をお借りしてお礼申し上げます、有難うございました。

(インタビュアー:文学部 4年 H )

 

知能情報学部 S先生へのインタビュー

知能情報学部  4生 I さんが、知能情報学部 S 先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q. どんな本を読まれる事が多いですか?

A. 経営関係の本。生徒の就活のために読んでいる。

工業関係の本。学生のために読んで、その本を薦めている。世の中に売っている物の性能を知りたいから。

商業関係の本。製品をどうやって売るかを知りたいから。

デザインの本。製品のデザインを調べるため。小説系はあまり読まない。

Q. 読書する事の利点はなんですか?

A. 読書する事に意味はない。一冊の本を読んでも得られるものは少ない。

あまり期待はせずに、2千円ぐらいで何かいい言葉があればラッキーだと思っている。

Q. 読書する事が好きになったきっかけは何ですか?

A. 困ったときに助けてくれるのが、本。

本は自分が求めていない情報が入って来て、何かに気付かされる。

見た事がないものを得られて、新たな発見や知識を得る事が出来る。

Q. 好きな作家や作品を教えてください。

A. 作品名:モモ     作家:ミヒャエル・エンデ

色々な事に気付けるような本である。

子供向きと書かれているが、大人にもおススメ。

Q. 読んでいない生徒をどう思いますか?

A. 『さかさ町』読みたくなければ絵本を読んでみればいい。

これを読んでひっかからなければ、小説を読まなくて良い。

ひっかからなければ、今の人生で良いということ。

感想:スマホでは自分が求めている知識を得る事が出来、本では自分が求めていること以上の知識を得る事が出来るという言葉が印象に残った。

<S先生おすすめの本>

ミヒャエル・エンデ作;大島かおり訳『モモ』岩波書店 , 1976年

F.エマーソン・アンドリュース作 ; ルイス・スロボドキン絵 ; 小宮由訳   『さかさ町』岩波書店 ,2015年

(インタビュアー:知能情報学部 4年 I )

 

経営学部 北居 明先生へのインタビュー

経営学部  3年生 Kさんが、経営学部 北居 明先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.本はよく読まれますか?

A.はい仕事でも趣味でもよく読みます。

Q.どんな本を読まれることが多いですか?

A.何でも読みます。仕事の本、漫画、好きな作曲家の伝記や作品集など。好きな人の解説本や好きな物語のガイドなど深掘っていくのも好きです。

Q.本はどのような方法で探しますか?

A.大きい本屋に行ってうろうろしながら気になった本を手に取って読んでいます。漫画も難しい本も同じ買い方です。書店員さんが書いたポップも参考にしています。近くの三ノ宮や西宮のジュンク堂がおすすめです。他の本屋には無いマニアックな本が置いてあるのでジュンク堂推しです。Amazonでは仕事の本を買います。昔の古い本は図書館で探します。甲南の図書館のヘビーユーザーです。

Q.先生は経営組織について研究されていますが、昔から興味を持たれていましたか?

A.大学院に入ってからです。自分が興味がある分野かどうかも大事ですが、食べていかないといけないので、どの分野がこれから流行ってくるか、人がやっていないか、自分が関心を持てるかなどを大学院の先生と相談しながらこのテーマでやっていこうと決めました。

Q.人生を変えた本はありますか?

A.カール・マルクスの『経済学批判』です。特に序文を読んで衝撃を受けました。
人間の歴史の背景のメカニズムがたった数ページに書いてあり大変衝撃的でした。

Q.おすすめの本はありますか?

A.フレデリックラルーの『ティール組織』です。少し難しい本ですが、管理職がいない給料も自分で決められるような組織について詳しく書いてありますよ。色々な会社があるんだと理解して世界を広げてほしいです。面白いですよ。
漫画は『ハクメイとミコチ』、『乙嫁語り』がおすすめです。『ハクメイとミコチ』は出てくる登場人物が全員職人のお話です。
『乙嫁語り』は16世紀中央アジアのお話でそこにおける婚姻に関するお話です。

Q.先生にとって読書とは?

A.お酒の次に楽しい時間を過ごせる手段です。仕事で本を読んで、気晴らしにも本を読んでいます。

感想
質問に詳しくわかりやすく答えていただきとても楽しかったです。
先生のこれまでの経緯について初めて知ったので驚きました。おすすめの本についての解説なども非常におもしろく、全て読んでみたいと思いました。インタビューをさせていただき、本当にありがとうございました。

<北居 明先生おすすめの本>

フレデリックラルー著『ティール組織 マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』英治出版 , 2018年

カール・マルクス著;中山元訳 『資本論:経済学批判』日経BPマーケティング ,2011年

(インタビュアー:経営学部 3年 K)