月別アーカイブ: 2021年11月

[藤棚ONLINE]フロンティアサイエンス学部・川内敬子先生 推薦『「細胞力」を高める』

図書館報『藤棚ONLINE』
フロンティアサイエンス学部・川内敬子先生 推薦
『「細胞力」を高める : 「身心一体科学」から健康寿命を延ばす 』

跡見順子(著)
論創社, 2018

 日本は世界一の長寿国ですが、自律した生活を送れる期間である健康寿命は、平均寿命より約10年短いことがわかっています。心身ともに健康であり続けるために、健康寿命を延ばす努力が重要です。わたしたち人の身体は37兆個の細胞からできていると考えられていますが、健康寿命を考える上で、細胞を知る必要があります。本書には、身体を構成する細胞の行動原理と適応原理に基づいた身体制御についてわかりやすく読み解かれており、健康寿命を延ばすコツだけでなくその背景となるメカニズムが紹介されています。

甲南大学図書館所蔵の哲学者・九鬼周造による直筆の未公表書簡が朝日新聞と神戸新聞に取り上げられました!

甲南大学図書館には、著書『「いき」の構造』で世界的に知られる哲学者・九鬼周造のコレクションがあります。九鬼周造の旧蔵書のほか、多数の原稿やメモ類、業務書類、写真、新聞の切り抜きなどが保存されていますが、その中にこのたび新たな未公開資料が発見され、その内容を取り上げた記事が朝日新聞の2021年11月13日夕刊https://digital.asahi.com/articles/ASPCF36FFPC1PIHB02F.html?_requesturl=articles%2FASPCF36FFPC1PIHB02F.html&pn=3に掲載されました。

図書館では九鬼文庫の主要資料を公開するためにデジタル化作業を進めていましたが、その過程で調査を依頼した神戸市外国語大学 名誉教授の小浜善信先生と文学部の川口茂雄先生により、多数の未公開書簡が含まれていることが明らかになりました。

九鬼宛ての書簡には西田幾多郎、田辺元、カール・レーヴィットら同時代の哲学者からのものだけでなく、文学者・林芙美子や山口誓子、画家・児島喜久雄、出版人・岩波茂雄など著名な文化人からのものも含まれています。とりわけ、田辺とレーヴィットからの書簡は、これまで実物の所在が不明とされていた極めて貴重な資料であるとのことです。

朝日新聞の13日付の記事には、「比較的著作が少ない九鬼だが、書簡で言葉遣いや考え方に触れることで、九鬼の哲学への理解が深まるかもしれない」という川口先生のコメントが紹介されています。

川口先生の研究グループは今後さらに調査を進め、プライバシーの観点など慎重に考慮しつつ、段階的な公開や出版を検討していく予定です。

左・川口茂雄先生(文学部) 右・小浜善信先生(神戸市外国語大学名誉教授)

<追記>
神戸新聞にも掲載されました。
2021年11月23日付神戸新聞朝刊(転載許諾済)

マネジメント創造学部 上村 一樹先生へのインタビュー

マネジメント創造学部 4年生 小栗 珠実さんが、マネジメント創造学部 上村 一樹先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.どのくらいの頻度で本を読みますか?

A.仕事に関係する本は、月に20日以上読みます。仕事に関連がない本は、月に数日程度です。

 

Q.普段どのような本を読みますか?

A.専門書をよく読みます。趣味で読む本は、ノンフィクションが主です。社会・経済全体を統計・研究等で俯瞰するような本を好んで読みます。

 

Q.書店や図書館で本を買う、借りる時、どのように本を探して読んでいますか?

A.読んでいる本が引用している文献から探します。引用文献の中から、読んでいて大事な所や興味のあること、知りたいことについて書かれている文献をピックアップして、読みます。

 

Q.大学生にお勧めしたい本は何ですか?

A.デール・カーネギー「人を動かす」です。改訂を重ねた現代版より、古いほうをお勧めします。

 

Q.その本のお勧めの理由、ポイントなどを教えてください。

A.古いほうをお勧めした理由は、改訂が少ない方が、著者が伝えたいことのニュアンスが伝わりやすいと考えたからです。本書には、どんな人生にも関連する、普遍的なことが書かれており、物事を建設的に考えることを教えてくれるのでお勧めします。物事や出来事を、少し踏み込んで、深く考えることを教えてくれます。また、私自身大学生の時に読んで一番印象に残っていたこともあり、お勧めしたいと思いました。

 

Q.最近読んだ本で面白かった本などありますか?

A.マイケル・サンデル「それをお金で買いますかー市場主義の限界」です。タイトル通り、全てをお金で取引することに疑問を投げかける本で、社会についての見方が深まります。

 

Q.どういった時に本を読みますか?

A.仕事関係の本は、授業や論文などに使用する時、興味のある時に一気に読みます。仕事以外の本は、体力・時間・気力がある時に読みます。

 

Q. 専門書を読むとき、どの部分に注意して読むとかありますか?

A.既に知っていることは、文字を見た瞬間に、何言っているか分かるため、流し読みで済ませ、知らないことや理解できていないことを、時間をかけて精読します。重要な事、印象的な事などは本に付箋を貼ったりします。

 

感想 : 質問に対し丁寧にお答えいただき、またインタビュー内容以外にも趣味の本の話や、本の内容など話すことが出来、とても楽しかったです。インタビューを通してお勧めしたい本の「人を動かす」は、先生の考え方に大きな影響を与えているのだと感じ、私も読んでみようと思いました。インタビューさせていただき、ありがとうございました。

 

<上村 一樹 先生おすすめの本>

デール・カーネギー著  山口博訳 『人を動かす』 創元社 , 1999年

(インタビュアー:マネジメント創造学部 4年 小栗 珠実  )

(KONANライブラリサーティフィケイト学生企画)『新たな学問への招待状』

KONAN ライブラリ サーティフィケイトの1級学生企画
『新たな学問への招待状』ーアンケートへのご協力のお願いー 

皆さん、こんにちは!知能情報学部4年生の団野和貴と申します!
今回の企画タイトルは「新たな学問への招待状」です。
 
甲南大学は「ミディアムサイズの総合大学」で、自分以外の学部の人とも関わる機会が多いよね。
色々な学部があるから、図書館に行くと自分が知らない分野の本が置いてあるよね。
だから、新しい分野を自分で勉強することもできる!

でも、新しいことを勉強しようと決心しても、「難しい!」
「どの本を読んだらいいかわからない」ってなって、結局勉強できないって経験はないかな?
僕は何回もあります!皆もきっと感じていると思う。

この企画では、新しい分野に挑戦したいけれど、どの本から読むかわからない人にピッタリの企画です!
 
以下のアンケートフォームから、皆さんに「ある分野を始めるときに分かりやすかった・読みやすかった、みんなに勧めたい本」を聞きます。
分野というと堅苦しく聞こえるかもしれませんが、何でもいいです!
ピアノを始めるための本、料理を始めるための本、投資を始める本など…
もちろん、経済学、経営学、心理学など自分の学部に関する本でも!
「ある授業の教科書でとてもわかりやすかった!」という本でもいいです。

とにかく、何かを始めるきっかけとなるような本を教えてください!
この企画で提案いただいた本は、リストを公開して共有し、また図書館に所蔵があるものは図書館内にブースを作って展示する予定です。
 
そして、団野と甲南大学の図書館に行って、一緒に「入門書を探す作業をしてもいい」という方がいれば、ぜひ以下の連絡先へ連絡ください!
例えば、僕は知能情報学部なので、プログラミングや数学がわかりやすく書いてある本はわかるけれど、世界史やマーケティングについて書いてある本はどの本がわかりやすいか全くわかりません!
だから、その分野に詳しい人がいれば、団野と一緒に図書館を探索してその分野の本を探そうということです!
「話聞きたいだけ」という人も気軽に連絡してください。
 
この企画について、質問がある方は遠慮なく連絡してください!
大学生は時間がたくさんあるから、色々な本を読んでみよう。
そして、この企画を通じて図書館を有効活用しよう!

 ⇒ アンケートフォームはこちら!

期 間 :2021年 11月9日(火)~2021年 12月20日(月)

対象者:誰でもOK(学外の人も可)

企画者:知能情報学部4年 団野 和貴

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(以下、図書館よりのご案内)

企画者の団野さんは、図書館の企画にもいろいろ積極的に参加してくれるチャレンジ精神旺盛な方です。
何かにチャレンジできる入門書を教え合うことで、専門以外の学問や趣味にも興味を広げる機会を作ろう、という企画です。

皆さんから紹介された本は、後日図書館にも展示します。ご参加よろしくお願いいたします。

皆さんの人生が豊かになりますように!

 

11/3文化の日、今年も兵庫県高等学校ビブリオバトル大会を開催!

 11月3日(水祝)、文化の日に兵庫県高等学校ビブリオバトル大会を開催しました。
 今年も 活字文化推進会議および読売新聞社様の後援をいただき、甲南大学独自で兵庫県大会を開催しました。ただし全国大会については、現在実施の可能性について検討中とのこと。無事開催できるといいなと祈っています。
 感染者数は少し落ち着いてきていますが、感染症対策は昨年同様に行い、来場者数の制限、キャンパス入構時の検温、全員のマスク着用、手指消毒・手洗いの徹底といった対策を講じての開催となりました。

今年も最初に笹倉館長にご挨拶いただきました。

 参加校は今年も2校増え、発表者は大幅増の33名、観戦者は感染症対策のため 発表者1名につき2名までと制限させていただき、あわせて約90名での開催となりました。Youtubeライブ限定配信も行い、当日お越しいただけなかった関係者の皆様にも発表の様子を見ていただけるよう手配しました。

 高校生たちの発表は今年も素晴らしく、接戦を繰り広げるなか、チャンプに輝いたのは『プリンス・チャーミングと呼ばれた王子たち』(クリストファー・ヒーリー著)を紹介した、 兵庫県立須磨友が丘高等学校 の 安川穂夏 さんでした!

 発表者、観戦者の皆さんのおかげをもちまして、今年も無事大盛況のうちに終えることができました。感染症対策として多数ご不便、ご面倒をおかけいたしましたが、皆さん笑顔でご協力くださり、運営側としても大変感謝しております。
 ご参加ありがとうございました!

 また、今年はKONANライブラリサーティフィケイトのエントリー学生によるボランティア以外に、予選や決勝の司会を甲南大学文化会KSWL放送部門KBCの皆さんにご協力いただきました。
 その素晴らしい司会ぶりはスタッフにも参加者の皆さんにも大好評!
 コロナ禍で課外活動も縮小せざるを得ないなか、それでも精力的に活動されている学生さんたちに元気をもらいました。
 ぜひまた来年もご協力をお願いしたいところです!ありがとうございました!

→KSWL放送部門KBCさんのツイッターはこちら。

今年も甲南大学生協書籍部様のご協力により、発表本の展示・販売コーナーを設置していただきました。発表者が増えた結果、本も増えて設営も大変に……本当にありがとうございました!

[藤棚ONLINE]マネジメント創造学部・中村聡一先生 推薦『教養としてのギリシャ・ローマ』

図書館報『藤棚ONLINE』
マネジメント創造学部・ 中村聡一 先生 推薦
『 教養としてのギリシャ・ローマ~名門コロンビア大学で学んだリベラルアーツの真髄 』

甲南大学の皆さん
はじめまして、中村聡一と申します。西宮キャンパスで教えてます。

簡単に経歴を申します。私は、元々は東京の桜田倶楽部出身のテニス選手でした。松岡修造君は一緒に汗を流した後輩です。その後アメリカに留学してから、国際会計事務所KPMGに勤務しました。FAとして数々のM&A案件に助言をしてきました。そして今は実務家教員として甲南で教えてます。テニスプロ資格はまだ保有しています。シニア世界大会を目指しています。ファイナンシャル・アドバイザーの仕事もまだ現役でやりたいと思ってます。そして、いつか、趣味の料理の本を出版するのが夢です。

そんな私が長年研究してきたリベラルアーツの本を出版しました。

『教養としてのギリシャ・ローマ~名門コロンビア大学で学んだリベラルアーツの真髄』(東洋経済新報社)

”リベラルアーツ”というと、耳にしたことはあるけど、具体的な内容はよくわからない。そんな皆さんのために書いた本です。私が留学したニューヨーク・マンハッタンのリベラルアーツの総本山といわれるコロンビア大学の教育内容をわかりやすく記しました。

さて、リベラルアーツというと付き物なのは”正義”という概念です。甲南・平生精神にも大いに通ずる”徳”の一つでもありましょう。

皆さんは、これがなんだかわかりますか?かなりわかりにくいのではないでしょうか。
じつは、それもそのはず。理由があるのです。

日本語では「正義」は一つの言葉でしかありません。英語ではこれが二つの異なる単語で表記されるのです。
つまり、日本語での”正義”という概念は、最初から言葉自体が曖昧なんです。だから皆さんにとって大いにわかりにくのは当たり前なんです。

英語での定義を見てみます。

まず、”Righteousness”という言葉があります。
Righteousness is the quality of being virtuous, honorable, or morally right. I t can also refer to such behavior.
Righteousness is the noun form of the adjective righteous. Being righteous mea ns doing what is right – obeying the law or adhering to morals. Both righteous  and righteousness are often used in a religious context.

英語が苦手な方も頑張って読んでみましょう。”美徳”や”道徳””法”などに照らして”正しい”ということを指し示すことがわかると思います。

次に、”Justice”という言葉が思い浮かびます。これはどういうことでしょうか。辞書を調べてみましょう。

1.the quality of being just; righteousness, equitableness, or moral rightness: to uphold the justice of a cause.
2.rightfulness or lawfulness, as of a claim or title; justness of ground or reason: to complain with justice.
3.the moral principle determining just conduct.
4.conformity to this principle, as manifested in conduct; just conduct, deal ing, or treatment: Victims of rape and sexual assault have the right to the ev idence they need to seek justice.
5.just treatment of all members of society with regard to a specified public  issue, including equitable distribution of resources and participation in dec ision-making.
6.the administering of deserved punishment or reward.

(※https://www.dictionary.com/より)

以上の6つに分けて記されてますが、共通するのは、すべてが英語”Just”や”Equitable”という言葉に関連するようです。つまり、「公平性」とか「公正さ」とかを意味するのです。

“rigteousness”は、”Justice”と比べると、より広範な”正しさ”や”美徳””善”という概念を包括します。
対して、”Justice”は、他の人たちとの関係において、”対他的な物事”についての”正しさ”を表す言葉だといえるでしょう。

そしてここが重要なんですが、日本語では、両方とも「正義」です。私たちの住む日本語世界では、区分けが明確でないのです。

このことを出発点に”リベラルアーツ”を学ぶのが良いかも知れません。同じ「正義」でも、”Righteousness”と、”Justice”と、二つの異なる単語にて表記されるのは、そもそもなんでだろう?なにか日本とは異なる歴史的な背景があるのでないか?

まずは、こんなことを問題意識に私の本を読んでもらえればと思います。

また本書には、西洋社会をかたづくってきた綺羅星のごとくの歴史的な名著をそれらの時代背景に照らしあわせて紹介しています。本書をきっかけにそのような書籍に皆さんが触れるようになれば良いなとも思います。

興味ある皆さんは、まずは、私のAmazonの著者ページをご覧くださいね。以下にリンクを貼っておきます。

http://www.amazon.co.jp/%25E4%25B8%25AD%25E6%259D%2591-%25E8%2581%25A1%25E4%25B8%2580/e/B004LS58Q8%3Fref=dbs_a_mng_rwt_scns_share

それでは、キャンパスのどこかで見かけたら気軽に声をかけてください。

<参考>

 「正義」についてのより厳格な定義を持つ西洋社会の文化的な土壌を背景にして、米国の一流大学では、それだけを考察する授業すらあるのです。
 その世界的な権威であるマイケル・サンデル氏(ハーバード大学)の授業”Justice”のリンクを以下に貼付します。

 この授業を書籍にまとめた同氏の著作は世界的なベストセラーになりました。ぜひ視聴してみてください。

※余談ですが、私の著作も発売4ヶ月の時点で、日本語版にくわえ、海外3言語での翻訳版が発売されることが決まっています。