【第7回 甲南大学書評対決】 菅広文著 『京大中年』

10月26日(木)に開催された第7回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

書道部甲墨会チーム 文学部1年  中田 優月さんからのおすすめ本です。

書名 :京大中年
著者 : 菅広文
出版社: 幻冬舎
出版年:2023年

中田さんの紹介してくれた本は、お笑いコンビのロザンの菅さんが相方の宇治原さんとの歩みを書かれた本です。

 

以下、中田さんからの書評です。

 

みなさんは教科書の「はじめに」の部分を読んだことがありますか?初回の授業のときにチラッと見るくらいで、実際に意識して読んだことがある人は少ないと思います。

この本は「20歳の宇治原さんへ」や「30代の教科書」のように、各章がこれまで経験してきたことを振り返り、その頃の自分たちに語りかけているような内容になっています。ロザンのお2人をテレビで見たことがある人は2人の仲の良さや、雰囲気が本からも伝わってくると思います。一方あまり知らないという方でも、菅さんの宇治原さんへの信頼感と2人の人生を知ることができます。京大卒でインテリ枠での活躍が目立つ宇治原さんは、クイズ番組などで見たことがある人も多いと思います。学生時代のお2人は特に面白い経験をしています。菅さんの宇治原さんに対する扱い方や、今までに起きた出来事が書かれており笑える部分もあります。

手紙のような文章で読みやすいので、まずはパラパラと中身を見てもらえると嬉しいです。

 

第7回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中! | 甲南大学図書館ブログ (konan-u.ac.jp)も合わせてご覧ください!

セレクト文庫、大充実中!

「KONAN未来サポーターズ募金」にお寄せいただいた資金で、セレクト文庫コーナーが大充実しました!

一生に一度は読んでおきたい名作や、題名だけはふわっとしっている傑作。
いつかの誰かの寂しさへ、そっと優しく寄り添うような、いっそ景気よく破壊するような。
とにもかくにも個性豊かに、色んなジャンルから、幅広くお出ましです。

これらの名作作品、もちろんこれまでも所蔵していたのですが、「もっといろいろ読んでみたいのに、図書館の本は物理的に重い……」というお声がありました。
文庫本なら一挙に解決!です。

図書館職員が総出で、はりきって、おすすめの文庫本を選びました。
ご寄付を受けた本の目印は、表紙できらんきらん✨に輝くシールです。

気になってはいたけれど、ちょっと敬遠してしまっていた作品も、自動貸出機でさっと貸し出し、学生デザインのブックカバーに包んで、カバンにさらりと滑りこませ、通学の際は優雅に取り出して読むのも素敵です。

一気に棚が潤い、図書館としては嬉しさもひとしおです。
どれほどの精鋭揃いであるか、少しご紹介いたします。
豪華絢爛な顔ぶれを、ぜひご覧になってください。

こちらが、棚の一部です。ざっくり。ほんの一部!
全体像はぜひ、ご自身の目でお確かめくださいね。
ご存知の本やご存知でない本が見当たるでしょうか?
名高いレンガ本も、文庫本のおかげでレンガ🧱になっていません。

名探偵の中の名探偵🔍も、シリーズ全巻でお目見えです。
先月ちょうどNHKの「100分de名著」で取り上げられていましたね。
多数ある訳から、延原訳の新潮社版が選ばれました。表紙もおしゃれですよ!
初めての方はもちろん、シャーロッキアンの方も、再読にいかがでしょう。

国内外で人気の、芥川賞作家である村田沙耶香さんの作品も、たくさん入りました。
イギリスではBBCの「The best books of the year so far 2020」にも選出されるほどです。
そして12月9日には甲南大学へご来校され、公開インタビューが開催されます!🎊
読むことで、予習・復習に備えてもよさそうです。イベントの詳細は下記リンクへどうぞ。
12/9【文芸イベント】外側に紡ぐ物語 ― 村田沙耶香さんに聞く小説の世界

繰り返しになりますが、今回ご照会したのは、ほんの一部です。
どんな本が並んでいるのか、確認するにはやはり、直接に棚を見るのが一番です!
実はご夫婦である作家さんたちの作品が、あちらとこちらに置いてあるとか。
きちんと並んだ文庫本たちの中に、頭一つ抜け出た、背の高いものがちらほらあるとか。
そうした情報は端末の検索結果では伝わらず、実際お越しにならなければ、分かりません。

「セレクト文庫のセレクトに異議あり!」という方は、ぜひおすすめを教えてくださいね。
図書館では学生の皆さんからの購入希望を受付けています。リクエスト方法はこちら
皆さん渾身のおすすめ本で、どんどん図書館の蔵書を豊かに!

深まる秋のお散歩気分で、本棚へのちょっとした探検に、図書館へどうぞおいでください。
まだ黄葉には遠いですけれど、金色のちひさき本が、きらきら🌟お待ちしています。

田野大輔(文学部)『〈悪の凡庸さ〉を問い直す』

 

 

<教員自著紹介>

ハンナ・アーレントがホロコーストの計画者アドルフ・アイヒマンに見出した「悪の凡庸さ」は、職務に忠実なだけの凡庸な役人、上からの命令を伝達する「歯車」のような偏ったイメージで人口に膾炙している。近年の研究の成果をふまえると、アイヒマンらホロコースト加害者たちの「悪」はどう理解すべきなのか。

本書は、この問題をめぐる歴史研究者とアーレント研究者の討論の記録である。

〈悪の凡庸さ〉を問い直す
田野大輔, 小野寺拓也編著 ; 香月恵里 [ほか] 著, 東京 : 大月書店 , 2023.9

■ 請求記号 234.074//2110
■ 配架場所  図書館   1F 教員著作
■ 著者所属  田野大輔(文学部)

帯谷博明(文学部)『コミュニティを変えるアクションリサーチ : 参加型調査の実践手法』

 

 

<教員自著紹介>

近年、日本でも大学教員や学生・院生が地域課題の解決をめざす各種プロジェクトに関わる機会が増えています。

本書は、アメリカの大学で長年、地域の協働プロジェクトに携わってきた社会学者R.ストッカー氏が、コミュニティの住民が主役となって「パワー/知識/アクション」の正のスパイラルを生み出すためのアクションリサーチ法について、豊富な実践例を交えながら親しみやすい語り口で解説したものです。

コミュニティを変えるアクションリサーチ : 参加型調査の実践手法 』
■ ランディ・ストッカー著 ; 帯谷博明, 水垣源太郎, 寺岡伸悟訳, 京都 : ミネルヴァ書房 , 2023.1

■ 請求記号 318//2207
■ 配架場所  図書館   1F 教員著作
■ 著者所属  帯谷博明(文学部)

鈴木哲法(マネジメント創造学部)『それぞれの人生てつがく』

 

 

<教員自著紹介>

多難な現代です。どう生きるか。カウンセラー、精神科医、映画監督、画家、作家、詩人、金メダリスト、農業、福祉、法曹などさまざまな分野の著名な方、市井で地道に取り組む方々に深くインタビューしました。

しなやかな生き方、滋味あふれるメッセージの数々。岐路に立つ大学生や大学院生の青春期をはじめ、中高年期の幅広い世代の方々に、自らを重ね、進み行く道のともしびの一つにしていただければ、と願っています。

それぞれの人生てつがく 』
■  鈴木哲法著, 京都 : 京都新聞出版センター , 2023.9

■ 請求記号 281/SU
■ 配架場所  図書館   2F 中山文庫
■ 著者所属  鈴木哲法(マネジメント創造学部)

司書教諭課程 村上 幸二先生へのインタビュー

経済学部2生 Kさんが、司書教諭課程の村上 幸二先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

 

今回、司書教諭課程の先生でいらっしゃる村上幸二先生にインタビューさせていただきます。

 

①先生の好きな本は、なんでしょうか?

私は昔からリアリティのある内容が好きで、実話にもとづいた本が好みでした。小さい頃はもっぱら伝記を読んでいました。小学生のとき読んだ『太閤記』で、秀吉の下積み時代に信長の草履を懐に入れて温めておいたというエピソードが当時は特に印象的で、いろいろな意味で人としての生き方が学べて面白いと思いました。学校の先生が教えてくれないことも本から学ぶことができるのがいいですね。

これまで読んだ本で衝撃的だったのが、これも小学生の時に読んだ次の本です。

・『ソビエト帝国の崩壊―瀕死のクマが世界であがく』(小室直樹, 光文社, 1980年)

今の若い人には意外と思われるかも知れませんが、1980年代のソ連といえばオリンピックや軍事力で最強の国というイメージがありました。当時アメリカと冷戦の状態でしたが、子どもながらに強いものに対するあこがれのようなものがあったと思います。小学生の頃ですから部分的にしか分からなかったと思いますが、とにかくソ連が崩壊するということが書かれていて、自分はすごいことを知ってしまったという感覚でした。当時、友だちにこのことを言っても誰も相手にしてくれませんでしたが、それから10年後に本当にソ連は崩壊しました。ここから本に対する畏敬の念を感じるようになったと思います。なおこの本は2022年に復刊本がでました。

児童書にも実話に近いものがあります。次の本は著者の生涯を振り返って描かれた児童書です。

・『この楽しき日々』(ローラ・インガルス・ワイルダー, 岩波書店, 2000年)

この本を読もうとしたのは偶然というか、図書館でふと手に取った本です。開いたページがちょうど主人公が教師として働く初日の様子で、その瞬間に本の世界に引き込まれました。主人公と自分自身が重なる不思議な感覚にもなりました。大人が読んでも面白いと思います。小学校の教師をしていたこともあり、教師の生き方を描いた本は特に好きです。将来教師になりたいと思っている人におすすめです。

なお先ほど「偶然」と言いましたが、もしかしたら偶然ではないかも知れません。本との出会い方については実に面白い方法があるので、これはまた後ほどお話したいと思います。

次の本も教師の本で、ノンフィクションです。2001年に文庫本も出ています。

・『リターンマッチ』(後藤正治, 文藝春秋, 1994年)

この本は定時制高校のボクシング部顧問の先生のお話です。教師をしていると様々な壁に直面することが必ずありますが、そういった壁を乗り越える力を与えてくれる本です。

 

②先生が本を読むスタイルはありますか?

次々に新しい本を読むよりも、実は同じ本の同じ箇所を繰り返し読むことが好きで、数えきれないほど読んでいる本もあります。

 

③大学生におすすめしたい本はありますか?

ずばり学術書をおすすめします。といっても安心してください。おすすめなのはその「まえがき」です。学術書の前書きには、著者が人生をかけて研究してきた、その人生が凝縮されています。内容が難しい学術書であっても、その前書きはまた別です。自分にとって敷居が高いと思う内容の本であっても、前書きが面白いものが多くあります。学術書の前書きは、ひとつの小説と言えるかもしれません。これを読むと、人生のヒントが見つかることだってあります。なお、学術書によっては「あとがき」の方が充実しているものもあります。

 

④村上幸二先生オリジナルの本の探し方は、ありますか?

とっておきの探し方があります! まず図書館などで書架に並んでいる本を眺めます。本屋さんでもやり方は同じです。とにかく心を無にして本を眺めるだけでいいのです。そうすると本の方が自分を呼んでいる感覚になるんです。まるでおすすめの本を教えてくれるような感覚です。その本を手に取ってみて、心を無にして本をパラパラっとめくります。必ずしも最初から読むとは限りません。それも本の方が、読み始めるべきページを教えてくれるような感覚です。そこから本を読み始めます。実際こうして感動する本に出合うことが多くあります。本の方が自分を呼んでくれるということで、この探し方はおすすめです。

 

⑤司書教諭の資格は取っておいた方が良いですか? 先生が考える司書教諭の魅力を教えてください。

司書教諭は本を通して、子どもたちと触れあうことができます。例えば思春期の中高生は、小学生の時と比べると先生との距離が離れてしまいがちです。しかし本の魅力は変わりません。本の内容についての共通話題もありますが、面白い本を紹介したり本の購入リクエストに応えたりした時の心の通い合いといったものもあります。本を通しての子どもたちとの関わりは大切ですね。司書教諭の資格を持っていれば必ず司書教諭になれるという保証はありませんが、資格がなければ司書教諭になることはできませんので、もちろん取っておいた方がいいです。

 

⑥先生が司書教諭をしていて良かったと感じたことは、どんな出来事ですか?

小学校に司書教諭として勤務していた時、図書委員の指導を担当していました。ある日、図書委員の一人が、絵本の内容を劇にして発表したいと提案してきました。私はできるだけ子どもたち主体の企画を生かそうと、隣の幼稚園に依頼して劇の発表会をすることになりました。使用した絵本は『そらまめくんのベッド』(なかや みわ, 福音館書店, 1999年)です。セリフはそれぞれの役の者が言うのですが、それだけではなく実際に衣裳を着て、ベッドも段ボールで作って劇に臨みました。結果は大成功です。私は細かいことは口出しせず、ほとんど子どもたち自身にまかせて要所だけアドバイスをする形をとりました。こちらが指示をしなくても、子どもたちは積極的に企画に向けて準備をしました。衣裳も自分たちで作ってきたのです。このときの経験で、子どもが好きなことを自由にさせることは子どもの可能性を広げるのだと感じました。司書教諭をしていたからこそ実感できたことです。

 

村上幸二先生、インタビューありがとうございます。

 

【感想】

私は、③おすすめの本、④村上幸二先生オリジナルの本の探し方が心に残りました。

③おすすめの本は、なんと学術書の前書き!ということで、他の先生で同じことをおっしゃる方はいないと思います。私も学術書の前書き読もうと心に決めました。まずは私が履修している授業の先生や、私のゼミの先生の学術書の前書きを読んでみようと思います。学術書の中身は難しくて分からないかもしれませんが、前書きは、ドラマを見ているようで楽しく読めるかもしれません。初めての試みですが、読んでみたいと思います。

④村上幸二先生オリジナルの本の探し方「本が自分を呼んでくれる」というのは、素敵な探し方だと思いました。リラックスした状態で、岡本駅前の本屋さんや甲南大学図書館にふらっと入る。そして本が自分を呼んでいると思ったら、その本を手に取ってみようと思いました。この探し方は今まで読んでこなかったジャンルを読むきっかけになるかもしれません。楽しみです。早速、今日から実践してみたいと思います。

他の先生にはない、村上幸二先生独自の考え方があり、インタビューをしていて楽しかったです。

村上幸二先生、ありがとうございます。

 

(インタビュアー: 経済学部2生 Kさん