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浜崎達也著『小説LIAR GAME The Final Stage』

法学部1年 長谷柊磨さん(「基礎演習(濱谷)」リサーチペーパーより)

(1)登場人物
・神崎直 神崎直は、友人からも「バカ正直のナオ」とあだ名されるほど人を信じやすい性格である。直は人を騙すくらいなら、人を信じて騙されてもいいと思っている究極のお人好しでもある。
・秋山深一 秋山深一は天才詐欺師で異様に頭が回り、観察力もある。また、秋山は詐欺師であるので疑い深い人間である。なので、人を簡単に信じる人間ではない。しかし、秋山は直とライアーゲームで勝ち進んでいき、少しずつ直の正直さを評価していき、最終的に直を信じることとなった。
・仙道アラタ
・福永ユウジ
・西田二郎
・坂巻マイ
・江藤光一
・武田ユキナ
・百瀬ノリカ
・久慈サトシ
・五十嵐衛
・ヨコヤノリヒコ

(2)ルール説明
 このゲームでは金・銀・の3つのリンゴを使い、どれか1つ選び投票箱にいれるというのが主なルール。投票箱は投票室の中にあり必ず1人はいらなくてはならない。投票室の中にあるレバーを引くとリンゴが出てくるので暖炉で暖めた焼印をリンゴについているネームプレートにつける。投票は13回繰り返され投票時間は1時間。制限時間内に投票室に入らなければペナルティとして1億円引かれる。どのリンゴを選んでもよいが少数派は1億円引かれ、多数派は1億円加算される。全員が同じリンゴを投票すれば全員1億円引かれる。ただし、赤リンゴを全員が揃えれば全員1億円獲得できる。赤リンゴが揃わなければ赤を入れた者にマイナス1億円、金・銀に入れた者はプラス1億円となる。負債が5億円を超えれば脱落者となる。また、赤を入れた者が1人の場合、その者に特別ペナルティマイナス10億円となる。

(3)あらすじ
 この作品は神崎直の家にファイナルステージの招待状が届くところから始まる。神崎直はセミファイナルで棄権したのだが、ファイナルステージでは秋山が出場し、かつ人を信じることがカギとなると言われる。それを聞いた直は出場することを決意する。直は秋山を放っておけず「エデンの園ゲーム」に加わる。11人のプレイヤーが集まったことでゲームディーラーから受け、50億円を賭けた騙し合いのゲームが始まる。
 当然のように直は赤を揃えることをプレイヤーたちに説得し皆賛成するが、結果はほとんど金・銀であった。その後直はチームを組むが、すでに坂巻もチームが多数派となっており少数派の直チームは勝ち目がないように見えた。しかし、秋山は少数派でも勝てる言い、坂巻チームに「俺には投票が見えている」と動揺させる。その後坂巻チームから裏切り者が現れ、1度チーム戦の戦いは終わる。
 また赤を揃えようとするも裏切り者が2人現れ、秋山は直から借りたリップクリームを使って裏切り者を暴く。裏切り者の1人が西田ということが分かったが、もう1人が分からないのでその1人を「X」とした。
 赤リンゴを揃えるため、直が皆の焼印を集め代表して投票するが結果は金1・赤10であった。直も他のプレイヤーも混乱する中、秋山は謎を解く。投票室に前もって隠しておいた金リンゴを直が投票する前に投票するというものだった。1人が一気に投票しても仕方ないことを知り、それぞれ投票する形に戻る。
 赤リンゴを投票したと宣言した武田都ともに直は赤リンゴを投票するが、投票後騙されていたことを知り10億円の負債を抱え脱落となる直を、秋山がかばいゲームから退く。最後に直の耳元に囁き会場を退出した。
 秋山はある部屋に案内されヨコヤという人物に会う。ヨコヤは秋山の負債を負担する代わりに賞金の50億円をもらうというものだった。秋山は要求をのみゲームに復活する。
 武田は皆の前で自分が「X」であると主張したが、秋山から助言されていた武田が「X」でないことを証明し、所持金の多かった武田は「X」に嵌められマイナス10億円となってしまう。だが直が武田に寄り添いお互い信頼し合うようになる。
 秋山は投票室に入り金リンゴを全て燃やし、選択しを銀・赤のみにした。赤を揃えるよう土下座までして皆を説得するが赤は揃わず、秋山が裏切り行為を働き、直は皆を説得しようと必死になる。しかし、これは秋山の作戦であり、金リンゴを燃やしたふりをして直の鞄に隠し「X」以外のプレイヤーに金リンゴを配り金を投票してもらった。秋山は「X」が誰なのかわかっていたのでそのプレイヤーには金リンゴを配らず、「X」は銀リンゴを投票し、「X」は1億円引かれた。そして「X」は仙道であるということが明るみになった。
 仙道は焦り出し、金リンゴがもうないこと知った瞬間投票室に飛び込み銀リンゴを手に取り投票した。他のプレイヤーは銀リンゴを入れるしかなくなったと思われたが、結果は銀10・赤1という結果だった。仙道が赤リンゴを投票したことになっていた。これも秋山の作戦で、赤リンゴは燃やすと樹脂が溶け銀リンゴで作られていた。その偽銀リンゴを秋山は銀リンゴのレーンに紛れさせ、仙道は自発的にそれを投票した。さらに、投票は色で識別されておらずリンゴの中にICチップが埋め込まれていた。結果的に仙道は秋山に騙されており2億円の負債を抱えた。
 ラストは全員で赤を揃えるという意見が固まる中、直は仙道に銀リンゴを投票して負債を帳消しするように勧める。そうすると直が負債を抱えるが直はそれでもいいと言った。だが仙道はそこで直を信頼し赤を投票した。全員が信じあったことで赤が揃ったのっである。
 最終的に秋山が勝者となり、賞金はヨコヤに渡しゲームは終了した。

(4)作者について
 甲斐谷忍さんは鹿児島県出身で鹿児島大学工学部を卒業。卒業後はサラリーマンに就職し、富山県高岡市に配属されていた時にヤングマガジン月例賞に投稿し、初投稿作が佳作受賞をした。そして、1994年に「週刊少年ジャンプ」で開始した「翠山ポリスギャング」で連載デビューをした。甲斐谷さんは大の競馬好きで、ライアーゲームの登場人物の名前は、実在の競馬関係者に由来するものがおおくいる。また「LIAR GAME」を作成する際に、甲斐谷さんは大学で電子工学を専門としており、大学時代はパソコンゲームのプログラム作りにはまっていたため、「LIAR GAME」のゲームを作るのが得意であった。また、甲斐谷さんは集中連載をあまりしない漫画家であったが、読者からたくさんの好評を受け集中連載をすることとなった。

(5)感想
 秋山の策略の巧妙さにおいてはかなり関心した。1つ1つ策略が明かされる毎に過去の小さな行動が最終的に結果に結びつくところは非常に面白味を感じた。仮にどういうことか分からなくなっても後から過去の場面の回想シーンが分かりやすく説明されているので、過程と結果が結びつきやすいのでとても読みやすいと感じた。次に、嘘まみれのゲームで正直者の直が秋山と共に必死でゲームを展開していくところは、すごくカッコイイと感じた。自分が騙されていく中で徐々に成長していき、今度は直が相手プレイヤーを騙すというのは読んでいてなんだか心地が良く、最後には全員を信じるという結果に私は直の魅力にかなりひかれていった。
 キャラクターの個性も様々なのでプレイヤーを騙してあざむす場面や悔しがって怒り狂う場面も人間の本性が表れており、これらの点も重要な見どころであると思った。
 最後に、嘘をつき相手の心理を揺さぶりのし上がっていく点がこの作品の醍醐味となっている。私はこの作品で新たな発見をたくさん得た。どう相手を騙し、どう勝ち進んでいくのかを自分で考えてみながらこの作品を読むと、より一層面白味が増すと私は思う。また、自分が考え本の内容と照らし合わせることで「そういう発想もあるのか」などを感じ取ることができ、柔軟な思考力や物事を様々な視点から捉えるという日常生活において重要な能力も得ることができるのではないかと私は感じた。

星野源著『いのちの車窓から』

法学部1年 新美拓人さん(「基礎演習(濱谷)」リサーチペーパーより)

 星野源をテレビなどで見たことのある人は明るい・陽気な人物な印象を持っていると思う。しかし、彼は過去には壮絶な人生を送ってきた。
 まず、芸能人としての活動を始める前の少年時代だ。とあることがきっかけで学校でいじめられるようになった。そこからパニック障害になり、安定剤を飲むほどだった。彼が高校生のとき、不安神経症になってしまい、学校に行けず、家から出られなくなった。この後に、クレイジーキャッツの『だまって俺についてこい』という一曲に出会い立ち直っていき、芸能活動を始める。
 しかし、彼は再び壮絶な経験をする。俳優・音楽家としても成功し始めたとき、彼は「くも膜下出血」という病気になった。重篤な状態だったが、手術は成功した。しかしその後が苦痛だったという。食べ物はもちろん水も飲めず、ずっと頭痛が続く。

「今すぐにでもベッドの頭上にある窓から飛び降りたい。早く死んでしまいたい。こんな拷問のような痛みはもうたくさんだ」

 彼はこの時の苦しみをこのように語っている。この時の経験が「地獄でなぜ悪い」という歌になっている。
 無事に退院した後、容体が悪化してきたため、再入院する。ついに完治した彼は、「SUN」・「恋」という大ヒット曲を生み出していった。
 このような経験をしてきた彼だからこそ、人間関係についての考え方などに共感が出来るのだと思う。私の紹介した「いのちの車窓から」にもそれが書かれている箇所がある。人見知りについて書かれているのだが、自分が人見知りだからかもしれないが、考えさせられる部分があった。

相手に「人見知り」というのは「自分はコミュニケーションを取る努力をしない人なので気を使ってください」と言っているようなものだ

 このフレーズがとても自分の中に残っている。「周りの目を気にして嫌われないようにする必要はない」というこの文章は、彼が言うと説得力があるのだ。
 文章だけでなく歌にも同じようなものがあると思う。私は彼の楽曲を全て聞いたわけではないが、自分が聞いたものだけでも励まされる歌が多くある。彼のメジャーな歌ももちろん元気が出るいい歌なのは間違いないが、個人的には昔の歌が一番励まされている気がする。例えば「日常」という歌である。バイトの帰りに聞いていると、「明日も頑張るか」みたいな気になれる。雰囲気は悲しい感じなのだが、「とりあえず頑張れ」と言われている感じがするのだ。
 また、この本以外にも彼は本を執筆している。
 「そして生活は続く」は、彼の初めて書いた本であり、この本もまた日常が書かれている。しかし、いのちの車窓がブレイクした後に書かれているのに対し、この本はブレイク前に書かれているため、また違うものになっている。
 「よみがえる変態」はくも膜下出血から復活するまでの3年間が書かれている本である。
 ここに挙がっている本全てにいえることなのだが、面白い・くだらないことを言っている部分と考えさせられる部分がある。これが自分が読みやすいと感じた理由だと思う。今紹介したような話の部分と彼がゲームをしているだけの一夜のような話が適度な間隔で書かれている。
 メリハリがあるため読んでいても苦痛ではなく、印象に残りやすい。「人見知り」の話が印象に残っているのもこれが理由だと思う。また、文章も難しく書かれておらず、理解しやすい。
 最後にこの本の一文を引用して終わりたいと思う。この文は彼の人生そのものを表しているようにも感じる。

「いのちの車窓は、様々な方向にある。現実は一つだけれど、どの窓から世界を見るのかで命の行き先は変わっていくだろう。」

せきしろ著『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』

法学部1年 長井大和さん(「基礎演習(濱谷)」リサーチペーパーより)

 ラジオ職人について説明するとラジオ番組で募集されたお題に対してリスナーがハガキに自分の考えを書きそれを投稿する人たちのことです。
 まずラジオそのものの情報を確認していきたいと思います。私が持つラジオの歴史で最も古いイメージは昭和天皇による玉音放送だと思います。実際にラジオが日本に渡ったのは1925年のことで、1923年に発生した関東大震災で情報伝達のメディアとして必要性が認識されたからです。こう考えてみるとラジオというものは現在生きている日本人全員がラジオに触れる機会があったと言えます。しかし人々は時代が進むにつれてより多くの情報をより簡単に収集することができるテレビや携帯電話に頼るようになっていきました。そうするとラジオは日常生活に必要不可欠なものではなく、一種の娯楽という面が大きくなったと考えられます。ニュースを聞くため経済状況を知るためなどではなく、音楽を聴いたり面白い話を聞いたりしたいという思いが強くなりその延長でラジオ投稿が流行ったと私は考えるます。
 ラジオはメディアの一つとしてはどのような存在なのか?これを調べるために私は実際にラジオを聞いてみました。ラジオを聞いて一番感じたことはラジオの面白さは聞き手の知識によるものが大きいということです。このことはラジオを聴くには多少頭を使わなければならないということです。例えばパーソナリティが何かを話すとそれを頭でイメージしなければならないというわけではないけれどイメージしたほうが面白いと感じます。このことはラジオではどのような情報に対しても自分の感情考えなど私情が入ってしまうということを意味しています。これは正確な情報を伝えなければいけないという面ではメディアとしてはふさわしくないと考えられます。しかし読書などと同じで娯楽としてみれば何ら問題はないと考えられます。そうした背景が影響し情報収集のためのメディアではなくハガキ投稿を行う娯楽としての面が大きくなったと思いました。
 ハガキ投稿が流行った原因としてラジオ出演者との距離が近いということが挙げられると思います。これは現代でもTwitterなどで有名人と交流できることが人気なように当時はテレビよりもより距離が近かったのでラジオは人気があったと考えます。
 またラジオを聞くことは人間が成長していくうえでメリットデメリットを持っていると思います。メリットは文章の理解力が上がるということです。また自由で面白い発想もできるようになると思います。理由はラジオを聞くには音声だけなので頭を使う必要があるので文章の理解力が上がると思い、ハガキ投稿などを行うことでお題に対する答えを探すことが発想力を鍛えると思うからです。デメリットとしては音声だけの情報ということで視覚から得る情報を得ることができないので完璧な情報を得ることができないという点です。
 ではこのように直接対面方式ではなく何かメディアを一つ挟んだうえで交流していくことの意義や価値について考えてみると、情報の一部が欠けた状態でコミュニケーションをとることでその人の本当の姿を知ることができないと考えられます。実際に私たちが現在行っているオンライン上の授業でも同じことが感じられると思いますメリットとしてはより多くの人と交流することができるということです。   
 以上のことをまとめると、ラジオは時代と共に情報源から娯楽の一部へと変化していきそれがさらに進化した姿が現在のインタネット社会を作り上げたと考えられます。またそれらの社会にはメリットデメリットが存在するが、それらとは上手に共存していくことが必要であると思う。
 またこの本の著者はこの本に出て来る主人公なのだが、この本を書いた理由は単にラジオを知ってほしいという考であると書かれていました。
 ラジオが現代にまた私たちに与えてくれるこは、娯楽としての楽しさと端的に発信される正確な情報だと思います。

東野圭吾著『ラプラスの魔女』

法学部1年 中田朱音さん(「基礎演習(濱谷)」リサーチペーパーより)

 「ラプラスの魔女」は竹尾徹という元警察官の男性が、ある条件付きで羽原円華という十代後半の少女を護衛するように依頼される、というシーンから始まる。その条件とは、彼女について興味を持つことや、質問することは許されない、というものであった。しかし、徹は円華を護衛していく内に、円華が不思議な力を持っているのではないか、と考え始めるようになる。
 具体的には誰もが飛ばすことに失敗した紙飛行機を完璧に飛ばす事が出来たり、川に落ちた帽子の流れを完璧に予知する事が出来たり、天気を数分刻みで予知する事が出来たり、自然現象を見事に言い当てるなど、とても普通の人間には出来ないような事だった。
 そして、世間では遠く離れた2つの温泉地で、硫化水素中毒による死亡事故が発生する。警察の依頼により、地球化学の研究者である青江修介がどちらの事故も調査するが、それぞれ捜査上に怪しいと思われる人物はいても、それらの事故は、「天候上のいくつもの偶然が高確率で重なって発生した不幸な事故」としか言いようがないものであった。
 そして青江は双方の事故現場で羽原円華を目撃したため、円華に声をかけ、そこで彼女はとある人を探しているということを知る。ここで青江と出会った円華は護衛を振り切っているため、青江の元には円華の行方を追う彼女の側近たちが近づいてくる。
 青江は不思議な力を持っている彼女と彼女が探している人物が、今回の硫化水素事故に何かしらの関わりがあるのではないかと考え、調べようと彼女に関わろうとしていく。円華にこれ以上は近くな、と忠告されたものの、円華や彼女の周辺の人物、さらには円華が探している人物についての様々な調査を進めていくうちに青江は最終的にその重大な秘密を知ってしまう。
 彼女らが抱えている秘密とはどんなものなのか、今回の硫化水素事故はどのようにして起きたのか。私個人の感想としては、初めは物語の複雑に混乱してしまったが、読めば読むほどその後の展開が気になり、一気に読みたくなる作品だと感じた。また、「硫化水素」や「未来予知」がテーマとなっている本書であるが、化学が苦手であった私でも問題なく読み進めることが出来た。衝撃の結末が待っているので、様々な人に是非読んでみてほしいと思う。

参考:【映画】ラプラスの魔女 / 三池崇史監督 ; 八津弘幸脚本 ; 東野圭吾原作

東野圭吾著『マスカレード・ホテル』

法学部1年 中 優馬さん(「基礎演習(濱谷)」リサーチペーパーより)

 マスカレード・ホテルの紹介をしていきます。
 ホテル・コルシア東京という場所が東京で起きている次の殺人現場として予想され物語が始まり、展開していきます。次の殺人現場を予想した人が、登場人物の一人である刑事の新田浩介という人物です。映画では、木村拓哉さんが演じておられます。新田さんは、実際に犯人の確保のためにホテル・コルシア東京のフロントクラークになりすまして、潜入捜査をおこない犯人逮捕を目指していきます。
 ここで新田さんの教育係として任命されたのが、ホテル・コルシア東京で働き絶対的な信頼を置かれているホテルマンの山岸尚美という人物です。映画では、長澤まさみさんが演じておられました。山岸尚美という人物は、どんな仕事でも手を抜くことなく一生懸命な人物であります。このような行動は読者にとっても非常に勉強になるところであると考えます。人は年を取るにつれて、手を抜くことを覚えてしまいます。私自身も、今まで手を抜くことはしたことがあります。山岸尚美という人物から私は、手を抜かずに一生懸命に取り組む大切さを改めて学びました。このようなに学べることがマスカレード・ホテルの最大の魅力であります。
 もちろん刑事の新田浩介という人物からも自分が就いている職業に対してのプライドを持つことを学ぶことが出来ます。プライドを持つということは、その職業を好きでなければプライドは持てませんし、本気で目指してその職業に就けたからプライドが持てるのではないかと思います。
 これらのことは特に私たち大学生が将来目指すべきところであり、大学4年間で自分にとって適性な職業を見つけていくための必要な事柄であると私は考えます。
 法学部の学生にとって、マスカレード・ホテルという本は警察官・刑事を目指したくなると思います。少しでも目指そうとする人がいて頂けるのならば、このリサーチペーパーの一つ目は達成できたと思います。
 もう一つ達成させたいことは、先ほど述べたように本を読むことから沢山のことを学ぶことです。
 第一に、本や長い文章を読むことが苦手という人がいると思います。現に私も苦手としている部分でもあるのですが、私は今回ビブリオバトルを通じてマスカレード・ホテルという本を読み、その本を紹介するという機会を頂けました。マスカレード・ホテルという本の中では、刑事の新田浩介もホテルマンの山岸尚美も仕事内容が書かれたマニュアルのようなものを参考にして、犯人逮捕のためにそれぞれ可能性を高めていました。このような場面からどんな論文であれ読んでいけば、結果として結びつく可能性が出てくることがあると感じました。
 法学部の学生に照らし合わせてみれば裁判で分からない事柄や既に判決されたことを理解するためには、判例であったり、六法全書であったりを読むことで理解できる可能性が高まると考えました。
 このようなことを今後取り組んでいくことが積極的になれば、きっと本や論文からヒントを得ることができ、このリサーチペーパーで達成させたいもう一つの事柄である「本を読むことから沢山のことを学ぶこと」が達成できると考えています。
 最後にマスカレード・ホテルという本からは大学4年間を通じて自分の将来についての選択肢の幅が広くなるだけでなく、助言のようなものを与えてくれるのでお勧めできる本ではないかと思います。また、大学生活において様々な本や論文を読むこと・触れることの重要さを学ぶことができる本となっているため、このマスカレード・ホテルという本をきっかけにして学力の向上や自分の持つ知識を増やしていくことが出来れば良いと考えました。
 これでマスカレード・ホテルという本の紹介を終わります。

参考:【映画】マスカレード・ホテル / 鈴木雅之監督 ; 岡田道尚脚本 ; 東野圭吾原作

紺野キリフキ 著 『はじめまして、本棚荘』

 

文学部  3年生 Tさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 :  はじめまして、本棚荘
著者 :  紺野キリフキ
出版社:メディアファクトリー
出版年:2010年

もしも本棚だらけのアパートがあるのなら、読書が好きなあなたは入居したいと思うだろうか。

「昔はねえ、お家賃というのは本で払ったものですよ」と、本棚荘の大家さんは言う。このアパートは、中にも外にも本棚だらけである。そんな所へ姉の代わりに引っ越してきた、本に興味のない「わたし」。

主人公の女性は「とげ抜き師」である。とげ抜き師とはどんな職業なのだろうか。
作中では、このとげ抜き師に対して疑問を抱く人物はいない。むしろ、「とげ」を抜いてもらうために彼女の元へ訪れ、「わたし」はそのとげを抜くのである。
夜の仕事に務める女のとげ、猫遣いの男のとげ、眠り姫と呼ばれる大学生のとげ、捨てられたサラリーマンのとげ、それぞれ違う理由で携えてしまったとげや、その本棚荘の人々と関わりあうことで、「わたし」は確かに成長していくのである。

この物語の肝は、やはり詳しく説明されることのない「とげ」という存在である。しかし、読者は登場人物たちのとげを知るたびに、どこか現実味を感じて、違和感なくこの存在を受け入れることができるのである。それはきっと、読み手が心のどこかで感じた感情をゆったりと重ね合わせることで、言葉にするのは野暮であるように「とげ」の正体を理解することができるからである。
そして、紺野キリフキという作家が描き出す世界は、あまりにも現実を突飛に切り取っている。それはまさに確立した世界観であるといえるだろう。その優しくも摩訶不思議な文章はぜひ一度味わってもらいたい。

姉が返ってくることが決まり、最後は「わたし」が本棚荘から立ち去る姿が描かれる。その描写は、まるで不思議な世界に迷い込んだようである。
本を閉じれば、自分にとっての「とげ」と静かに向き合いながら、心地良さがふと残ったまま。