吉川孝(文学部)『ブルーフィルムの哲学 : 「見てはいけない映画」を見る』

 

 

<教員自著紹介>

「ブルーフィルム」はむき出しの性器や性行為を描く映画で、刑法第175条で「公的に陳列(=上映)」することなどが禁じられています。このような違法な映画は、数多くの作家や映画人たちを魅了しました。

本書は、ボーヴォワールの現象学の手法を用いて、過去の文学や映画作品に残された経験の描写を手がかりに、失われた映画の世界を描き出す哲学の試みです。

ブルーフィルムの哲学 : 「見てはいけない映画」を見る
■ 吉川孝著, 東京 : NHK出版 , 2023.11

■ 請求記号 778.04//2087
■ 配架場所  図書館   1F 教員著作
■ 著者所属 吉川孝(文学部)

KONANプレミア・プロジェクト「文学、あります」第一回『外側に紡ぐ物語 ―村田沙耶香さんに聞く小説の世界―』を開催しました

 2023年12月23日(土)に、2016年に『コンビニ人間』で芥川賞を受賞され、現在翻訳を通して30カ国以上で読まれている作家の村田沙耶香さんをお招きして、文芸イベント『外側に紡ぐ物語』を開催いたしました。

聴衆が詰めかけた会場の様子

 本イベントは、甲南大学の教員と甲南中学・高校の教員有志からなるチーム「文学、あります」と甲南大学図書館職員スタッフの教職協働によるKONANプレミア・プロジェクトの一環で、毎年文学の場で活躍している方をお招きしてイベントを開催し、大学や学問の中に囲い込まれがちな「文学」を、学生や一般の人に開いて、そういう「場」を共有していこうという文化貢献を目的としています。

公開インタビュー

 本イベントの前身となる、コロナ禍前の2019年に開催された、イスラエルの作家エトガル・ケレットさんと日本の作家西加奈子さんをお招きした文芸イベント『おもしろさの向こう側』で中心となったのはケレットさんと西さんの対談でしたが、その際に聴衆として参加してくださったのが両者と親交のある村田沙耶香さんでした。コロナ禍が収まり、新たに本プロジェクトを発進するにあたり、19年の続きとするためにも、ぜひ村田さんにご登壇いただきたいというのが企画チームの願いであり、村田さんがその想いに応えてくださったことから実現した特別なイベントが、この「外側に紡ぐ物語」です。

 甲南中学・高校教員の藪上先生の司会、紹介に引き続き登壇された村田さんは、文学部教授・秋元孝文を聞き手とし、さまざまな質問に公開インタビューの形で応えてくださりました。小説の執筆スタイルから『コンビニ人間』にまつわる話、常識や社会通念の「外側」を書くスタイルについてなど、話題は多岐に渡り、会場に詰めかけた200人の聴衆は村田さんの真摯な言葉に固唾を飲んで耳を傾けました。詳細な内容は参加した人だけの特権なのでここには記しませんが、「小説という臓器」など、村田さんならではの発想が随所に見られる特別な時間となりました。

質問に答える村田沙耶香さん

 公開インタビューの中盤では甲南大学の学生による質問コーナーもあり、また公開インタビューの後には会場とのQ&Aセッションで、会場から寄せられた多数の質問に時間の許す限り答えていただきました。

学生有志によるインタビューセクション

 イベント終了ののちにはサイン会、事前授業に参加した有志学生との茶話会まで村田さんにはご対応いただき、聴衆や学生にとっても、世界文学の第一線で活躍される作家と直接言葉を交わす貴重な体験となったことと思います。

事前授業に参加した学生との茶話会

 チーム「文学、あります」としてもこのような華々しい形で第一回イベントを開催できたのは大変喜ばしく、ご登壇を快諾し惜しみなくご自身の執筆について語ってくださった村田沙耶香さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

 本チームは、このプロジェクトをできるだけ息の長いものにして、「文学、あるよねえ」という思いを学生や地域の皆さんと共有できる場を毎年設けることができればと願っております。甲南大学がそういう大学らしい「文化」的な発信ができる場として育ち、認知され、地域社会の豊かさを醸成していく存在となることに少しでも貢献できればと思います。今後とも当プロジェクトへのご参加を通じて皆様にご支援いただければ幸いです。

(文責:文学部英語英米文学科教授 秋元孝文)

※本イベントは、2024年1月末までアーカイブ配信しています。
こちらからアクセスください。

[藤棚ONLINE]マネジメント創造学部・高砂孝緒先生『そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。 』

図書館報『藤棚ONLINE』
マネジメント創造学部・高砂孝緒先生推薦『そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。 仕事の「直感」「場当たり的」「劣化コピー」「根性論」を終わらせる』

 みなさんは経済学という学問にどのような印象を持っているでしょうか。中には「実生活には何の役にも立たないのではないか」と感じている方もいるかもしれません。そこで今回紹介する書籍は、『そのビジネス課題、最新の経済学で「すでに解決」しています。 仕事の「直感」「場当たり的」「劣化コピー」「根性論」を終わらせる 』です。

 この本では、実際にビジネス実装に携わっている気鋭の経済学者たちが、経済学がビジネスでどのように応用されているかを分かりやすく解説しています。また、著者たちがどれほど苦労してビジネス実装に臨んできたかも垣間見ることができます。難解な数式は一切使われておらず、経済学の初学者でも理解しやすい内容になっています。

 私は普段、西宮キャンパスで経済学の講義を担当していますが、学生たちに冒頭のような質問をすると、相変わらず「実用から少し距離のある学問」といったイメージが根強く、もどかしい気持ちになります。この本を通じて、経済学が実際にどれだけ役立つかを多くの人に知っていただければ幸いです。私自身もこの本と著者たちにならい、実践を意識した講義づくりにより一層取り組んでいくつもりです。

中村聡一(マネジメント創造学部)『教養としてのギリシャ・ローマ』中国本土版

甲南の皆さん

中村聡一と申します。簡単に自己紹介させていただきます。

私は若い頃はテニス選手でした。松岡修造くんで知られてますが、かれの出身である東京の名門である桜田倶楽部の初代No.1は私です。ウインブルドンにも出場してますし、 全日本一般男子シングルス順位1位にもなっています。

NYコロンビア大学に留学して進路がガラッとかわり、KPMGという世界最大級のコンサルティング会社に就職して、三井物産や丸紅、日立、ペプシコーラといった世界有数の会社の財務アドバイザーを務めました。”パートナー”という役職でした。

甲南では、最初のころは前職の関係でコーポレートファイナンスを教えてましたが、昨今はNYコロンビア時代に修めたリベラルアーツの方面に力を注いでいます。

わたしの前著『教養としてのギリシャ・ローマ』は、日本でベストセラーになり、韓国 、台湾、香港、マカオ、中国、シンガポールといった国々の言語に翻訳されて親しまれています。

本日は、中国本土で発売のわたしの本がようやく手元に届きましたので、その紹介です。

今年は新刊書『正義論講義』を出版しました。ありがたくもこの本も、Amazonのギリシャ史カテゴリのベストセラーになっていました。

来年から再来年にかけてまだまだ多くの書籍の計画が進行しています。ぜひご愛顧ねがいます。

「Newspaper ECO BAG」を開催しました!

 12月8日(金)に、学部学生を対象とした英字新聞でエコバッグを作成する企画「Newspaper ECO BAG」を開催しました。
 作成するエコバッグは2種類あり、どちらかを選択。重い物も持ち運べるように丈夫な作りになっています。

 まず始めはボディになる新聞選び。これで見た目が決まるので、たくさんの新聞の中から「これだ!」というものを探します。

作る過程は意外に重労働。
汗をかきつつ、力を込めて新聞を折っていきます。

完成まであと少し。
持ち手の位置を決めて慎重に貼り付けます。

 それぞれおしゃれな作品に仕上がりました。
 エコバッグだけでなく、ブックカバーも新聞紙で作成しました。しおりひも付きの本格派です。

 学部学生3名にご参加いただきました。みなさんとても手際よく、また楽しそうに作業されていたのが印象的でした。

 図書館ではイベント等の情報を図書館ホームページで随時お知らせしています。
 今年もあとわずかになりましたが、皆さま風邪などひかれないよう暖かくしてお過ごしください。

エントランス展示「万博~脈々たる歴史~」

 11月30日から、図書館エントランス展示が「万博~脈々たる歴史~」になりました。文学部の甲南映画祭〈万博映画特集〉(2023/11/30~12/16)とのタイアップ企画です。

 1851年にロンドンで初の国際博覧会が開催されて以来、 万国博覧会は各国の文化の発展に大きな影響を与えてきました。その歴史を追いながら、各時代の「未来へのメッセージ」を感じ取ってみてください。

 今回の展示には、甲南大学図書館所蔵資料以外に、文学部・友田先生のコレクションと、職員皆様の思い出の品をお借りしました。ここに改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 今回特に力を入れたのが1970年大阪万博です。公式ガイドマップを中心に、太陽の塔とお祭り広場、エキスポタワー、各国パビリオン、企業パビリオン、入場券や宝くじなど、全て当時の資料を展示しています。
 ローラーコースター「ダイダラサウルス」の搭乗券は、表しか展示できなかったのですが、裏には搭乗時間と選んだコース(絶叫度によって3コースに分かれていた)のスタンプが押されていました。 大人気で連日午前中には売り切れてしまったそうなので、かなり頑張って入手されたチケットだったのではないかと推察されます。
 北側展示ケースには、「迷子ワッペン」を展示しています。子どもが喜びそうな キラキラしたホログラムというだけでなく、 いざ迷子になってしまった時は登録している番号をコンピュータで照合し、テレビ電話で対面できたとのこと。思わず迷子になってしまいたくなるシステムです。

 担当イチオシは「マスコットの進化」です。太陽の塔からミャクミャクまで、ぜひ実物を見てその変化をご確認ください。

 2階ヘルプデスク前でも、幕末から明治時代、出会ったばかりの万博と日本に関する貴重資料の展示を行っています。図書館利用証をお持ちでない方も、ご見学での入館が可能ですので、カウンターにお申し出ください。