瀬尾 まいこ著 『そして、バトンは渡された』

 

知能情報学部   4年生  祝  陽大さんからのおすすめ本です。

書名 : そして、バトンは渡された
著者 : 瀬尾 まいこ著
出版社:文藝春秋
出版年:2018年

 

この『そしてバトンは渡された』という作品は、実写化もされており本を読んだことのない私でも内容がとてもわかりやすく伝わってきました。親の死や再婚や離婚で4度も名前が変わった主人公の森宮優子が主人公となっており、親と関わりながらどう成長していくのかを描いた物語です。物語は、優子の小さい頃から、大人になり結婚するまでが描かれています。親が頻繁に変わったり死亡してしまたりする子どもとだけ聞くと、辛い境遇で育ちの悪い方向に行ってしまうのかなという先入観を持ってしまっていましたが、この物語の登場人物はみな愛で溢れていて人の優しさにちゃんと感謝できる女性に成長していきます。そのためこの作品はどこかユーモアもあり明るくて温かい気持ちで次々読み進めることができました。親と子の在り方、家族とは何か、血の繋がり以上に愛情や一緒にいた時間の大切さを感じ、家族を大切にしたいと改めて思わせてくれる作品です。

特に最後の親である、森宮との関係には温かい気持ちなりました。森宮が優子のことをとても愛しているのかが会話の中からも伝わってくるが、友人との関係にも悩みが生じだす年頃の優子自身も森宮との関係を大事にしているからこそ、踏み出せない葛藤状態にも複雑な気持ちになりました。優子の「親が違う=不幸」の像を不快に感じるのは愛がしっかり届いていたからだと感じました。私はこれまで、家族は家族だからこそ、どこか離れられないと考えていましたが、大切なのは肩書ではなく、愛情が存在しているかどうかなのだと改めて気付かされました。

最後にこの作品を読み今はもう忘れてしまっている当たり前だったあの頃の大切さ、温かさを思い出させてくれるとても素晴らしい作品だと感じました。この本を読んだ後は母親のなんてことのない料理がどこの料亭にも負けない料理になっていて素直に普段伝えられないありがとうが伝えられる様になっていました。

多読チャレンジ 25冊達成者がでました!

25冊多読チャレンジ 達成者インタビュー
澁谷 知子(しぶたに ともこ) さん
文学部人間科学科 3年次生

 2021年12月23日に『多読チャレンジ』25冊を達成されました。
  2021年12月21日から開始し、3日間での達成です!!

 『多読チャレンジ』へのきっかけは、就活での英語の試験対策を考えていたときに、エントランスに掲示されている達成者の表彰状を見かけたことです。挑戦するなら楽しく!と、授業終わりに図書館へ通い、イメージしやすい絵本を中心に読み進めて1日10冊、最長5時間読んだ日もあったようです。

 レビュー棚に置かれていた“Little King December”(LV.4)がとても気に入り、この本をスラスラと読めるようになりたい!とおっしゃっていました。
 高校生のときから韓国語にも興味があり、本格的に勉強をしておられるそうです。

 以下は、ご本人のアンケートによるものです。

Q.『多読チャレンジ』達成の感想を教えてください。または、『多読チャレンジ』達成の為に工夫した事を教えてください。

A.少し読んでみて面白くないと思った本はすぐ読むのをやめました。ほとんど絵本だったのですが、絵があると分からない単語でも意味を推測できたため、読み続けることができました。レベル0の本は単語数も少なく、内容も分かりやすかったので読むのが楽しかったのですが、単語数が多い本になると推測も難しくなり、内容が分からないのが悔しいという気持ちのほうが大きかったです。何度も出てくる単語はさすがに気になってしまったので、調べました。しかし、ほとんど調べず読んだため、効果があるのか疑問に思いました。

Q.『多読チャレンジ』を終えて実感した効果を教えてください。

A.少しですが最初に比べ読むのが速くなったように感じました。最初はできるだけ文字数が少ない本を選んでいましたが、途中から文字数が多くても面白そうだから読んでみようと思うようになり、時間は気にしなくなりました。

Q.現在チャレンジ中の『多読チャレンジャー』へメッセージをお願いします。

A. 単語が分からなくても辞書は引かないで良いというのを最後まで忘れずに続けてみてほしいです。英語が苦手な人でもとりあえず簡単なものから読んでみることをおすすめします。

アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳 『スマホ脳』

知能情報学部   4年生  Tさんからのおすすめ本です。

書名 : スマホ脳
著者 : アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳
出版社:新潮社
出版年:2020年

 

・あらすじ
平均で一日四時間、若者の二割は七時間も使うスマホ。だがスティーブ・ジョブズを筆頭に、IT業界のトップはわが子にスマートフォンなどを与えないという。なぜか?睡眠障害、うつ、記憶力や集中力、学力の低下、依存―最新研究が明らかにするのはスマホの便利さに溺れているうちにあなたの脳が確実に蝕まれていくからだという。教育大国スウェーデンを震撼させ、社会現象となった世界的ベストセラー。

・著者について
アンデシュ・ハンセン(Anders Hansen) 精神科医。ノーベル賞選定で知られる名門カロリンスカ医科大学を卒業後、ストックホルム商科大学にて経営学修士(MBA)を取得。現在は王家が名誉院長を務めるストックホルムのソフィアヘメット病院に勤務しながら執筆活動を行う傍ら、有名テレビ番組でナビゲーターを務めるなど精力的にメディア活動を続ける。

・勉強になったポイント
①スマホのアプリは、最新の脳科学研究に基づき、脳に快楽物質を放出する〈報酬系〉の仕組みを利用して開発されている。
スマホのアプリに脳科学研究に基づいて作られるとは知らなかった。自分のスマホにも多くのアプリケーションをインストールしていて気づけばゲームなどをしていることがあり、なるほどと感じた。スマートフォン依存症もその積み重ねからなると分かった。

②スマホを傍らに置くだけで学習効果、記憶力、集中力は低下する。
何か勉強しているとき横にスマートフォンをおいていると、通知でスマートフォンが光るたびに目線がスマートフォンの方に移ってしまいなかなか進まない時などがありこの内容にはとても共感できました。

③現代人のスマホのスクリーンタイムは1日平均4時間に達する。
この内容を目にしたとき、自分のスマートフォンのスクリーンタイムは平均何時間くらいなのかが気になり見てみることにしました。そこには、平均の二倍を超える一日平均12時間という驚愕の数字が叩き出されていた。この数値を見るとスマートフォンを使用することを控えようと思った。

最後に
電車の車内に乗っていても、8、9割はスマホを使用していて今では欠かせない存在になっているスマートフォンですが、スマートフォンに使われるのではなくスマートフォンをうまく活用していかなければいけない。

原田 ひ香著 『三千円の使いかた』

知能情報学部   4年生  Tさんからのおすすめ本です。

書名 : 三千円の使いかた(☜単行本は所蔵あります)
著者 : 原田 ひ香 著
出版社:中央公論新社
出版年:2021年

 

御厨家を中心とした、様々な世代における人生とお金に関するエピソード(フィクション)。貯金ができない一人暮らしの美帆や、73歳にして一千万円と今後のお金の不安を抱えた琴子、お金のことを全く考えてこなかった安生など。それぞれに転機が訪れる(又は起こす)中で、お金のことも考えながら人生を見つめ直していく話です。

この本をまず見つけたとき、自分なら三千円があれば何に使うのかと考えさせられた、千円とかでもなく中途半端な額で何に使えばいいかわからなく手に取り読んでみることにしました。独身OL、子育て世代、更年期、老後、それぞれのお金の悩みがリアリティをもって明るく描かれていました。琴子の節約は目的ではなく幸せになる手段、そして街絵のどこからでもまた始められる準備が必要、という言葉はずっしり来ました。御厨家はオカネに対する価値観が合い、自立しつつ助け合える家族で良かった。これから三千円を何かに支払うとき、私の人生これでいいのかな?と考えるようになるかもしれません。

大学生になって初めてアルバイトを始め自分で稼いだお金の中でどのように使用していくかよく服や靴などを買うことが多く家に何かを買って帰ると、お母さんから「あんた、また何か買ったの?」とよく言われ「自分で働いてもらったからいいでしょ」と言うこともあったが、節約することも覚えなさいと教えられていたと身に染みて感じるようになりました。自分のことを生まれてから社会人になるまでの学費などを払ってもらえてるのは節約をして自分に必要なものなどを見極めお金の管理などをしていたからだとわかりました。お金は人生の中で切っても切り離せないものなので、本書によりのめりこむことができました。これから社会人になり一人暮らしを始めるうえで気にしながら生活していこうと思える本に出合えてよかったです。

 

瀬尾 まいこ著 『そして、バトンは渡された 』

知能情報学部   4年生  Mさんからのおすすめ本です。

書名 : そして、バトンは渡された
著者 : 瀬尾 まいこ著
出版社:文藝春秋
出版年:2018年

 

この本を読んだ後に感じる幸せな気持ちは嘘一つない親への感謝です。この物語の主人公は事情により苗字が4度も変わり、5人親がいます。ですが、全く悲しい物語ではありません。主人公は5人の親によって本当に、本当に愛されて育っていきます。

最初は2つの家族を軸にした物語でスタートします。1つ目の家族は、父親と泣き虫な娘のみぃたんの父子家庭です。ある日、幼稚園の帰り道、お父さんと手をつないで帰っているみぃたんは、周りの子たちがお母さんと手をつないで帰っているのも見て、お父さんに問いかけます。「なんでみぃたんにはママがいないの?」この問いかけにお父さんは初めてみぃたんにお母さんの話をします。「みぃたんのお母さんはお空にいるんだよ。」

みぃたんのお母さんは、みぃたんが、生まれて間もないころ病気で無くなっていたのです。その事実を目の当たりにしたみぃたんはママ(母親)という存在に憧れを抱きます。そんなみぃたんの前にお父さんが連れてきた女性、梨花が現れます。梨花は自由奔放に生きる魔性の女。そんな梨花とみぃたんは互いに惹かれていき、親子になります。梨花はみぃたんに最大の愛情を注ぎ育てていきます。そんな梨花が、ある日突然、いなくなってしまう。梨花はなぜ消えたのか?

2つ目の家族は、女子高校生の森宮優子ちゃんと料理上手な義理の父、森宮さんです。優子ちゃんは常に笑顔で、高校で同級生から嫌がらせを受けているときも笑顔で対応しています。そんな優子ちゃんは義理の父、森宮さんの前では素の自分を出し、血縁を超えている関係性を築いています。そんな森宮さんも優子ちゃんに隠している秘密があります。その秘密とは?

この2つの家族がつながり、やがて紐解かれていく命を懸けた嘘と秘密。題名にもある「バトン」とは私は愛情だと感じました。

最後に、私はこの作品を読み終えて、何不自由なくここまで育ててもらった両親への感謝を改めて深く考えさせるような、最高に幸せな気持ちになれるそんな物語でした。

 

東野 圭吾著 『マスカレード・ホテル』

知能情報学部   4年生  Mさんからのおすすめ本です。

書名 : マスカレード・ホテル
著者 : 東野 圭吾著
出版社:集英社
出版年:2011年

 

この本を読んでみて、文章だけでこんなに自然に目の前にホテルマンやお客さんの表情、情景が浮かぶのはとても珍しいと感じました。

ホテルに来るお客さんについてのストーリや新田さんと山岸さんの掛け合いが面白いので、事件の進展の遅さはあまり気にせず読めました。人を信じ切るホテルマンVS人を疑いきる警察官のこの交わらない2人が相棒として未然に殺人を防ぎ犯人を確保できるのか、目的も価値観も違うけれど、相手の心を読み取ろうとするところは刑事もホテルマンも同じだと気づきました。

新田さんがだんだんホテルマンになっていく姿や刑事としても成長していく過程が素晴らしいく、山岸さんは接客業の鑑だと感じ、接客業したことある身としてはそんなにお客様のこと大切にしてなかったなと仕事ぶりに感心させられました。普通は常連客じゃなければ顔なんて覚えられないのに、それなのにホテルマン失格だと自分で思っている姿勢に責任感ありすぎと思いました。

事件に関与するにつれて山岸さんがホテルマンとしての在り方について葛藤する場面が印象的でした。このホテルコルシアのお客様には気づかれない気配りや心地よく過ごしてもらうための徹底したサービスもそれにまつわるエピソードも素晴らしくて、お客様がルールブックという山岸さんのプロ根性に驚きました。このホテルコレシアに泊まりにくるお客さんは癖のある怪しい人物ばかり、盲目の女性、チンピラ、元学校の先生、ストーカー被害を訴える女性など、疑惑を持たれるような癖のある登場人物ばかりで常に緊張感があり、犯人捜しは最後の瞬間まで一気に引き込まれました。タイトルに相応しい内容で、ちりばめられた伏線が最後回収されていくところに衝撃を覚えました。張りつめられた緊迫感の中に事件とは関係ないお客様とホテルマンの会話、ホテルの日常が挟まれていて、箸休めかと思いきやそこでの会話がキーポイントだったりして、何度も読みたくなる物語でした。