5-0.KONAN ライブラリ サーティフィケイト」カテゴリーアーカイブ

京極 夏彦 著 『巷説百物語』

 

文学部 2年生  畑田 亜美さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 :  巷説百物語
著者 :  京極 夏彦
出版社:角川書店
出版年:1999年

 百物語とは、古来暗い夜に青い紙を貼った行燈に百筋の灯心をともして語る。1つ物語を終えるごとに灯心を1つずつ引き去っていくと、座中が次第に暗くなり、青い紙の色が様変わりして恐ろし気な雰囲気となる。それでもなお語り続けると必ず怪しい出来事が起こると言われている。有名な百物語小説の1つである本書はその特性を受け継ぎながら、謎解き的な素養も持ち合わせている。

 百物語ということもあり、本書も7つの話からなる。舞台は江戸時代末期、過去の出来事による怨恨を晴らすことを望む者が小悪党たちに解決を依頼する。主なメンバーは小股潜りの又市、山猫廻しのおぎん、考者の百介、事触の治平だ。彼らは様々な依頼を見事な手腕でこなしていく。内容は現代のように犯人を捕まえるわけではない。犯人の罪の意識を高め自滅させたり、うまく立ち回り同士討ちさせたりする。その場を用意するために彼らは情報を集め、犯人のもとに取り入る。彼らは犯人の近辺に紛れ込んで仕えていたり、客として紛れていたりする。一部のメンバーがそうであれば、他方は被害者の霊や化け狐を演じて見せる。

 私は特に種明かしの場面が好きだ。作者は誰がどのような役割を担当しているかを依頼が完了するまで教えてくれない。そもそも依頼内容も教えてくれない。そのため、誰がどんな役割を担っているのか、依頼内容は何なのかを考えながら読むのが面白い。普段推理小説を読むことはほとんどないので予想には慣れていない。そのためか予想が当たったことはない。反対に、普段推理小説を読む人でも、現代小説とは異なるので当てられないかもしれない。見えそうで見えない真実を探しながら読んでいくのはもちろん楽しい。しかし、流れに任せて読んでいくのもまた楽しいだろう。読む人によって楽しみ方を変えることのできる1冊である。

(KONANライブラリ サーティフィケイト学生企画)『本に「ふれる」本。』第1回

KONAN ライブラリ サーティフィケイトの学生企画
『本に「ふれる」本。』第1回

初めまして。

 本日から、ライブラリサーティフィケイトの企画としてブログ掲載をさせて頂く法学部3年のK・Rです。1月、毎週火曜日にブログ内で連載を行っていきます。

 サーティフィケイト企画のテーマ名は、『本に「ふれる」本。』としました。これは、本をあまり読まない方でも気軽に本に触れてもらいたいという気持ちからつけさせて頂きました。お時間がありましたら、是非、読んで頂ければと思っております。

 今週のおすすめする本は、若松英輔さんによる『本を読めなくなった人のための読書論』(亜紀書房、2019)です。

 読書術や読書論といえば、速読、暗記や知識を身に付けるための工夫と想像される方が多いと思います。

 しかし、そのような想像とは違い、読書に向かい合うための一冊です。

 近年、SNSやインターネットが発達し、本に触れなくなった方や、忙しい日々の中で本が読めなくなってしまい、心苦しい思いをしている方が多いのではないでしょうか。

 この本は「本が読めないときは、無理をして読まなくてもよい」、「全部読んでもよいし、読まなくてもよいのです。大切なのは、言葉に出会い、言葉を糧にできるかどうかであって、多く読むことではありません。」と語りかけてくれます。この言葉に、私は心が軽くなったように思いました。

 KONANライブラリサーティフィケイトにエントリーしている、私が言っても説得力が欠けてしまいますが、本を無理に読む必要はないと感じました。

 このような無理は「読む」という行為を苦行に変えてしまっています。本は楽しんで読むものです。

 なので、ゆっくりと自分のペースで、自分なりの読み方で、本とふれあってみてはどうでしょうか。

 少しずつ自分と本を慣らしていく、準備体操のような一冊としてこの本をおすすめします。

 次回は、「ちょっと変わった本とのふれあい方」を教えてくれる一冊をご紹介します。

 また、次週お会いしましょう。

 法学部法学科3年 K・R

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【紹介した本】

本を読めなくなった人のための読書論』、若松英輔、亜紀書房、2019

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図書館に所蔵している本は、連載期間中、図書館入館ゲート前の特設コーナーで展示しています。
貸し出しもできますので、お手に取ってご覧ください。(本が貸出中の場合は、MyLibraryから予約できます。)

2020年度 KONANライブラリサーティフィケイト取得申請受付中です!

KONANライブラリサーティフィケイトにエントリーされている皆さまへ

2020年度のKONANライブラリサーティフィケイトの取得申請期間は、2021年1月4日(月)から1月30日(土)までです。
今年度、取得申請をされる方は、図書館2階ヘルプデスクにお越しください。
申請手続きについて、詳しくはこちらをご確認ください。

登学しての申請が難しい方は、今年度は郵送での申請も受け付けますので、お問い合わせフォームからご一報ください。
図書館から折り返しご提出いただきたい書類等のご連絡をします。

要件を満たしているかわからない、進め方がわからない、とお悩みの場合も、ご遠慮なくお問い合わせください。
あきらめずに、もうすこし、頑張れ!

 

※KONANライブラリサーティフィケイトとは、読書習慣及び情報探索力・表現力・行動力・企画力などを身につけた学生を評価する制度です。

稲盛 和夫 著 『生き方』

経済学部  4年生 Sさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 :  生き方
著者 :  稲盛 和夫
出版社:サンマーク出版
出版年:2014年

人は生きているうえでどうしても他人に嫉妬してしまったり、己の利益を優先して行動してしまったりする。このようなことがなく心に余裕を持つにはどうすればよいのだろうか。

この本は京セラやKDDIを創設した稲盛和夫氏の考え方や心がけていることについて書かれた人生哲学の本である。仕事に対しての心の持ちようや困難に直面した時の考え方が、稲盛氏の実体験を通して書かれているので非常に説得力がある。

その中でも「同じような能力を持ち、同じ程度の努力をして、一方は成功するが、一方は失敗に終わる。この違いはどこから来るのか。―中略― 願望の大きさ、高さ、深さ、熱さの差からきているのです。」という言葉がとても印象に残った。確かに、私も就職活動を通してここで働きたいと強く思ったところとそうでないところでは結果が異なった。こうなりたい、そうでありたいと強く切望することでその願いをかなえるために自分自身の行動が変わってくる。能力だけではなく思いの強さも結果に影響するのだ。

また、稲盛氏は仕事への意欲がなくなった場合にどうすればよいのかも説いている。稲盛氏いわく、どんな仕事であってもそれに全力で打ち込んでやり遂げれば、大きな達成感と自信が生まれ、また次の目標へ挑戦する意欲が生まれてくる。そうなれば、どんな努力も苦にならなくなり、すばらしい成果を上げることができるそうだ。

この本はよく読んでみると当たり前のことではないかと感じることが多々ある。例えば、一生懸命働くことや感謝の心を忘れないことである。しかし、これらの当たり前を現代の人々は忘れているからこそ心に響き納得させられるのだろう。特に2020年は新型コロナウイルスの影響で例年と異なる部分が多く、リモートワークやオンライン授業、マスクの常時着用など変化に対応しなければならない1年であった。今までできていたことができなくなり、不満やストレスを感じる今だからこそ自分の考え方や生き方を見つめなおす良いきっかけになるのではないかと思う。

法学部 平野 淳一先生へのインタビュー

法学部 3年生 Kさんが、法学部  平野 淳一先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.  政治学に興味をもったきっかけ

A. 高校生の頃から日本史・世界史に関心があり、歴史の勉強をするうちに政治史に興味をもつようになりました。大学進学後は、政治史について研究しようと思っていましたが、学んでいく中で現代政治に興味をもつようになりました。

 

Q. 図書館を利用されるかについて

A. 研究で必要となる本は、研究費で購入するため、研究面で図書館の本を利用する頻度は多くないと思います。しかし、基礎演習等の教材として用いる、経済学や社会学といった専門分野以外の本を図書館で利用することがあります。また、図書館のデータベースから、選挙等に関する新聞記事を調べることがあります。

 

Q. 学生時代に読まれた本について 

A. 高校生の頃、部室で偶然見つけた『ロベスピエールとフランス革命』という本が思い出に残っています。

 ロベスピエールは、革命期の恐怖政治の中心人物ですが、この本を読んで、ロベスピエールについての見方が変わりました。政治について急進的な考え方をしていた点はありましたが、民主主義や人権について今とほぼ変わらない価値観を持っていたことが分かりました。また、この一冊からフランス革命について興味をもつようになったと思います。

 

Q. 学生にお勧めしたい本について

A. お勧めする本は『ルポ トランプ王国』です。4年前の大統領選挙では、トランプ氏が勝利しました。この際、ラストベルトと言われる中西部の工業地域で、著者が直接聞いた有権者の声をまとめたものです。アメリカの現状に関心がある方だけでなく、日本の格差問題に関心のある方に読んでほしいです。

Q. 今の学生へ一言

A. 今の学生に伝えたいことですが、怪しい儲け話に注意してほしいです。近年、ネットワークビジネスと称する怪しい儲け話の被害が広まっています。このような勧誘に引っ掛からない為にも、日頃から様々な角度から物事を見る力を養うことが重要です。読書はそうした力をつける上でとても有益ですので、是非本をたくさん読んでください。

 

感想:インタビューでは、とても和やかな雰囲気で行われ、楽しい時間を過ごすことができました。

また、学生におすすめする一冊については図書館に所蔵されているため、これを機に読んでみようと思いました。 改めて、インタビューをさせて頂いたことに感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

<平野 淳一先生おすすめの本>

J.M.トムソン 著    樋口謹一 訳 『ロベスピエールとフランス革命』 岩波新書 , 1955年

金城隆一著  『ルポ トランプ王国』岩波新書 ,  2017年

(インタビュアー:法学部  3年  K   )

(KONANライブラリサーティフィケイト学生企画)『コロナ禍であなたの支えとなった本』

KONAN ライブラリ サーティフィケイトの学生企画展示
『コロナ禍であなたの支えとなった本』

期 間:2020年 11月28日(土)~2021年1月16日(土)
場 所:図書館入館ゲート前

コロナ禍で様々な日常が奪われた中、あなたの支えとなった本を募集します!
―あなたの支えとなった本が、誰かの支えとなることを祈って―
続くコロナ禍を、ひとりではなくみんなで乗り切りませんか?

企画者:文学部 3年 友江 輝人


2020年10月24日~11月15日の間、webアンケートで「コロナ禍であなたの支えとなった本」を皆様から募集しました。

本学の学生と教職員を中心に、27冊の本が集まりました。

友江さんは、コロナ禍の中で、誰かの為に自分に何ができるを考えて、今回の企画を提案されたとのこと。
集まった本は、小説あり、古典あり、自己啓発あり、社会問題あり、もちろん学術書もありと、多様な内容です。一人一人が、それぞれにストレスフルな時代を乗り切る工夫をされているのだと、改めて感じました。

コメントを寄せてくださった皆さんのお気持ちを、次に本を読まれる方にお伝えするために、展示も丁寧に作成してくださいました。ご来館の折にはぜひご高覧ください。
また、ご来館が難しい方のために、本ブログでも結果を公表しております。

気持ちを晴れやかにしてくれる本でも、時間があるうちに力をためておく本でも、3行で眠りにつける本でも、それぞれに皆様のお役に立つと思います。
ご来館の折には、プラス1冊、本を借りてみませんか。