2-1. 学生オススメ」カテゴリーアーカイブ

重松 清著 『きみの友だち 』

知能情報学部   4年生  団野 和貴さんからのおすすめ本です。

書名 :  きみの友だち
著者 : 重松 清著
出版社:新潮社
出版年:2005年

「友達100人出来るかな」春になるとよく耳にする童謡である.小さい頃に私も,友達がたくさん出来ることを願って口ずさんでいたように思う,本当に100人も作れるだろうか.100人も友達が必要だろうか.

この小説で言う「きみの友だち」とは,交通事故に遭い松葉杖生活を余儀なくされ,周りに当たり散らし孤立していった恵美,病気がちで入退院を繰り返していた大人しい由香.彼女達を取り巻くクラスメートの事である.

友達は100人必要か.離れていても心の中で一生忘れない友達が本当の友達,だという人は100人も必要ない.しかし,みんなを敵に回したくない,同化していたいと思う人は,友達が100人必要になってくる.どちらが正解という訳ではなく,どちらも正解と言えるだろう.

この本を読んで,「友だち」の定義,存在について,ぜひ考えてほしい.私は,「いなくても寂しく感じないのが友達」だと思う.私は,友だちとは,お互いに気心が知れていつも一緒にいるから,いないと寂しいものだと思っていた.しかし,それだと単に群がっているだけで,大切な時間を共有しているわけでもなく,それぞれがバラバラなのだと感じた.だから,友だちは100人も作る必要はないと感じる.

藤原 和博著 『本を読む人だけが手にするもの』

知能情報学部   4年生  団野 和貴さんからのおすすめ本です。

書名 :  本を読む人だけが手にするもの
著者 : 藤原 和博著
出版社:筑摩書房
出版年:2020年

「やっぱり本を読むべきということか」と自分の中で裏付けができた本.しかし,筆者の「乱読」についての考えは,私が持っていない考えでした.筆者はたびたび「乱読」という言葉を使っています.「いい本に会うためには会い続けるしかない,そして会えば会うほど色々な考えを知り,興味のない分野にも手を出せるようになるということ.最初は無駄でもいいから,読み続けてみることが大事なのだと.それから考えていけば,自ずと本当の意味で本を読めるようになるということ」以上が,この本のメッセージだと思います.本を読んでみたい人,読もうかどうか迷っている人,ぜひ読んでみてください.世界が変わるはずです.

以下,筆者の主張を列挙しておきます.少しでも,この本の世界観を垣間見てください.

●  自分の不得手な分野,目からウロコが落ちるような内容,これまでまったく興味が湧かなかったことに目を向けるべきだ.

●  それまでは敬遠していた本にも手を伸ばすようになった.難しそうな本やなかなか手が伸びなかった哲学的な本も、拾い読みとはいえ眺めるようにした。なんとか1年で100冊くらい読む習慣ができた.多読,乱読というスタイルだったが,本の世界から多くの蓄積を得ることができてきた.

●  プレゼンに必要な表現力もまた、読書によって養われる。つなげる力が高まることで想像力が豊かになる.プレゼンの機会が圧倒的に多いテレビやゲーム業界の逸材がみな乱読家であるのは,よく知られた事実である.

●  本には,人それぞれに読むのにいいタイミングがある。だからこそ,こだわりを捨てて乱読すべきなのだ.

さあ,この本から読書を始めよう.

鈴木 祐著 『最高の体調』

知能情報学部   4年生  団野 和貴さんからのおすすめ本です。

書名 :  最高の体調
著者 : 鈴木 祐著
出版社:クロスメディア・パブリッシング
出版年:2018年

 

これだけ文明が発達したにも関わらず,現代の日本人は幸福からほど遠い場所にいます.皆さんは,「昔に比べて豊かになっているはずではないか」という疑問が湧くのではないでしょうか.例を挙げるなら,200年前の江戸時代ではあり得なかった,遠くにいる人とリアルタイムのやりとり. でも,なぜか便利になっても豊かにならない生活.毎日何かに追われて,考える余裕もない生活.

そんな健康面の悩みを解決するために,この本は「文明病」ということを皮切りに健康になるための方法が書かれています.根拠は全て進化論に基づいています.「旧石器時代に戻れ!」というわけではなく,進化のミスマッチを直すように現代のままで工夫できることを実践するように促しています.また,心の改善も促してくれます.

この本では,筆者の膨大な裏付けがあります.きっと,調べたりまとめたり,大変だったでしょう.また,どんな魔法を使っているのか知りませんが,この本は誰にでも本当にわかりやすく書かれています.すぐに実践できるガイドもあります.

この本を薦めてくれた友人は「この本には10万円の価値がある」と言っていました.皆さんは,この本に何円の価値をつけますか.私も10万円の価値があると思います.この本を読んで,実践してみてください.そこまで難しいことは書かれていないはずです.肉体的に精神的にしんどいコロナですが,この本で健康法を手に入れて素晴らしい人生を手に入れましょう.

宮部 みゆき著 『ブレイブ・ストーリー』

知能情報学部   4年生  団野 和貴さんからのおすすめ本です。

書名 :  ブレイブ・スト-リ-
著者 : 宮部 みゆき著
出版社:角川書店
出版年:2003年

 

主人公のワタルは,小学5年生.父と母と3人で暮らす,ありふれた普通の人生.友だちと遊んだり喋ったりする,普通の人生.しかし,そんな人生に危機が訪れる.多感な時期に,両親の離婚危機や同級生との喧嘩.踏んだり蹴ったりのワタルは,ある日,異世界「幻界(ビジョン)」に通じる扉を発見し,女神のもとへ辿り着けたら自分の運命を変えられることを知り,旅に出る.そこで,仲間たちと出会い,剣も振ることができなかったワタルが,どんどん成長していく.

以上があらすじであるが,RPGのような世界観を感じるだろう.旅立つまでに時間がかかるが,一気にこの世界に引き込まれワタルと冒険している気分になる.本作は,物理的な強さよりも,精神的な強さに重きを置いている.子供はもちろん,大人も十分楽しめる.

「運命を変える」とはどういうことなのか.この物語を読めば,それが分かるだろう.人生は思いがけないこと,未知の要素で展開されていることが多い.では,「運命を変えたい」と願うとき,何を願うことなのだろうか.そして,「運命を変える」ことが何を手に入れることができるのだろうか.この本を読んだ後に,ぜひ考えてほしい.ワタルと読んだ後の自分を重ねることで,ワタルと一緒の強さを手に入れることができるだろう.答えは,人の数だけある。

ワタルと一緒に己と世界を見つめ直す長い旅をして,その答えを手に入れてほしい.

松村 涼哉著 『15歳のテロリスト』

知能情報学部   4年生  団野 和貴さんからのおすすめ本です。

書名 :  15歳のテロリスト
著者 : 松村 涼哉著
出版社:KADOKAWA
出版年:2019年

 

「15歳のテロリスト」このタイトルから,何が想像できるだろうか.おそらく,誰もが想像しない作品になるだろう.

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「新宿駅に爆弾を仕掛けました.全て,吹き飛んでしまえ」ある日,爆破予告が顔出しで動画共有サイトに投稿された.その後,電車のホームが爆破される.記者の安藤は,この少年(実行犯「渡辺篤人」)を知っている.「少年犯罪被害者の会」にいたからだ.しかし,なぜ過去に少年犯罪の被害家族だった少年が,罪を犯したのか.

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ここまであらすじを見ても,タイトルからは予想できなかったことがたくさんあるだろう.この物語は,誰にでも分かりやすく現代社会における問題を書いている.「少年犯罪・少年法」「加害者・被害者」「犯罪に対するメディアの報道」「第三者の行動」がこの本のキーワードになるだろう.また,この本はミステリー要素もある.誰が犯人で,動機は何かということも伏線として張っている.多くの本は犯罪にあった被害者家族の目線から,どのように立ち直るかという物語の展開になることが多い.しかし,この本は加害者の目線あるいは加害者の家族という目線でも物語を展開している.そして,被害者や加害者,その家族をメディアどのように追い詰めていくのかということもありありと書かれている.さらには,事件とは無関係の第三者が,SNSを利用して犯罪に対して被害者・加害者関係なく誹謗中傷や憶測を発言する姿は,正に現代そのものである.

私はこの本を読んで,世の中の問題は一筋縄では解決できないということをよく思い知った.犯罪が起きたとき,誰かが謝って済む問題でもないし,復讐しても終わる問題ではない.フィクションでありながら,本当に現実でこんなことが毎日起こっているのではないか,だからこそ常に考えなければならない,と強く思った.

全てを知ったとき,なぜ渡辺篤人が爆破予告を行ったのか,そしてこの事件の真の狙いが明らかになる.ぜひ,皆さんの目で物語の結末を読んでほしい.

横井軍平, 牧野武文著 『横井軍平ゲーム館 : 「世界の任天堂」を築いた発想力 』

知能情報学部  4年生  Hさんからのおすすめ本です。

書名 : 横井軍平ゲーム館 : 「世界の任天堂」を築いた発想力
著者 : 横井軍平, 牧野武文著
出版社:筑摩書房
出版年:2015年

 「任天堂」は今や誰もが名前を知っている有名なゲームメーカーだろう。しかし初めから今のようにテレビゲームを作っていたわけではない。はじめは花札といったアナログなおもちゃを作る会社であった。本書では、そんなアナログ時代の開発とデジタル時代の開発の両方を経験した横井軍平さんのインタビューから構成されている。「ウルトラハンド」、「ゲーム&ウオッチ」、「ゲームボーイ」といったヒット商品の開発経緯を知ることができ、レトロゲーム好きな人はその内容だけでも楽しむことができるだろう。しかしこの本はそれだけではとどまらない。本書には「枯れた技術の水平思考」というキーワードがしばしば登場する。先端技術ではなく、使い古された技術の使い道を変えてみることによって、まったく新しい商品が生まれるという考え方である。余っていて誰も使っていないもの、値段が安く大量に流通しているものから新しいヒット商品を作り出すストーリーは興味深い。今や毎日のように新しい技術は生まれているが、古いものに一度焦点を当てる考え方はすごく良い刺激だった。

 ゲームでもおもちゃでも、今から何か新しいものを作り出そうとしている人にはぜひ一度手にとってもらいたい本である。20年以上も前の本だが内容は現代の開発に通じるところがたくさんあり、未来のクリエイターにはぜひオススメしたい一冊である。