[藤棚ONLINE]文学部・友田義行先生推薦『世界は分けてもわからない』

図書館報『藤棚ONLINE』
文学部・友田義行先生より

 世界は分けてもわからない、というタイトルがもう秀逸です。世界はひとつながりの全体ですが、大きすぎて私たちには捉えきれません。そこで細分化し、分析する、つまり分けることで、私たちは「分かった」と思い込む。けれどもそれでは世界という全体は「分からない」のではないか。分子や原子や電子をとらえることで「分かる」ことも多々ありますが、一方で、花がもつ美しさや香りが見失われてしまうこともある。

 大学での研究活動も、多くは「分からない」ことを「分かる」ようにするために行われます。そのために対象を緻密に観察し、詳細かつ正確な議論を構築することが求められる。でも、時には空を見上げて胸を開き、全体としてはどうなんだろうと、頭や視点をリセットすることも必要だなあと思うのです。

 本書では、「電車に乗っているときふと顔を上げると、向かいの人もこちらを見ていて視線がぶつかり合うことが多いのはなぜか」とか、「幼児が人間の絵を描くと、頭からちょくせつ手足が生えている絵になりがちなのはなぜか」といった話題から、「脳死は人の死であるとか、胎児はどこからが人間なのかとか、なぜ人の生命を前後から縮めるような議論が繰り返されるのか」といった問題まで、様々な現象を対象としながら、全体としては上述のような思考法で世界を理解しようとする議論が重ねられています。その先に、著者が一貫して提唱している生命観である、「動的平衡」という概念が見えてきます。

 研究分野を問わず、「考え方・ものの見方」を学べる好著です。

法学部 笹倉 香奈先生へのインタビュー

法学部2生 Oさんが、法学部 笹倉 香奈先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

 

 

Q1.えん罪について初めて学ぶ学生におすすめの本はありますか。

 

A.これまで誤判・えん罪について研究したり、えん罪事件を救済するためのプロジェクト(一般財団法人イノセンス・プロジェクト・ジャパン(IPJ))を立ち上げたりしてきました。えん罪の実態を広く世間に知ってほしいと考えています。この観点から個人的に特におすすめしたいのは、IPJの活動がモデルになっている『シリウスの反証』という大門剛明先生の著作です。

 

 

Q2.人生で影響を受けた本はありますか。

 

A.山崎豊子先生の『白い巨塔』です。医学とは何か、研究者はどうあるべきかを問いかけてくれる作品です。医師の誤診が民事訴訟へと発展し、法廷の場面も描かれているので、法学部の皆さんにもぜひおすすめしたい一冊です。

 

 

Q3.研究活動で本をご利用されますか。

 

A.もちろんです。論文を書く際には必ず本は読みます。現在は、ウェブを通じて海外の文献なども簡単に入手できるので、とても便利です。他方、昔は本を時間をかけて自分の足で探すしかなかったのですが、それもまた楽しかったなあと思いだします。

 

 

Q4.尊敬している作家はいますか。

 

A.たくさんいますが、一人挙げるとすれば、松本清張先生です。ミステリー作家として素晴らしい作品を次々に生み出しただけでなく、『日本の黒い霧』など、刑事司法やえん罪の問題についてのノンフィクション作品も執筆され、本格的な研究論文のような内容の本を書かれています。その他、ずっと愛読しているのは、谷崎潤一郎先生、有吉佐和子先生などです。

 

 

Q5.本を読むことでどのようなことが得られると思われますか。

 

A.読むことでさらに想像力を巡らせることができる、自分で考え、脳を活性化するきっかけを与えてくれるものだと思います。

 

 

【まとめ】

 

今回のインタビューでは、ここに記載しきれないほど多くの本を紹介していただき、ぜひ読んでみたいと感じました。また、「本は受動的なものではない」というお話が印象に残りました。

最後になりますが、お忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました。

 

 

☆先生からのおすすめ本☆

■『シリウスの反証
大門剛明著
■ 東京 : KADOKAWA , 2021.10
■ 請求記号 913/D
■ 配架場所 図書館 . 2F中山一般

 

 

『白い巨塔〈第1巻〉』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

■『白い巨塔
山崎豊子著
■ 東京 : 新潮社 , 1965.7
■ 請求記号 913.6//184
■ 配架場所 図書館 . 3F書庫一般

 

■『日本の黒い霧
松本清張著
■ 東京 : 文芸春秋新社 , 1962.5
■ 請求記号 915.9/(t)/29
■ 配架場所 図書館 . 3F書庫一般

 

 

(インタビュアー: 法学部2生 Oさん

25冊多読チャレンジ 達成者インタビュー

2026年5月12日に『多読チャレンジ』25冊を達成されました!

匿名 経済学部 経済学科 1年次生

 多読チャレンジを始めてから1か月ほどで25冊を達成されました。多読学習を習慣化するということを目標にレベルの低い本から読み進めているとのことです。これからも自分のペースを大切に楽しみながらコツコツ続けてほしいです。
 以下は、ご本人のアンケートによるものです。


Q1 『多読チャレンジ』に挑戦しようと思ったきっかけは何ですか?

  日常生活で日本語で記載された情報は入ってくるのに、英語に言語が切り替わるだけで
  読めないことに疑問を感じ、これから世界的な交流や書物は英語で話され、書かれて
  いるのに拒むような現状が残念に思い挑戦しようと思いました。

Q2 25冊を達成した感想をお聞かせください。

  思ったよりすぐに達成できました。最初の段階は効果の実感ができるということよりも
  習慣化させることを重視したので、すぐに読める本で組んでみました。
  スモールステップとはいえ、多様なジャンルを読めて楽しめました。

Q3 チャレンジする本はどのように選びましたか?

  SSSに記載されている手順に沿って進めたいと思い、レベル0の本を主に選びました。

Q4 『多読チャレンジ』のこれからの目標などがあれば、お書きください。

  経済雑誌の海外版「TIME」などを読んで情報を取れるようになりたいです。

☆おすすめの本として“William Shakespear”を紹介してくれました。「こんな人だったのか」と驚きがあって面白かったそうです。有名な作品を多数残したシェイクスピアですが、意外とその素顔までは知らない人も多いかもしれません。語学学習室には様々な人物の伝記を所蔵しています。気になるものを見つけたらぜひ手に取ってみてください。

☆多読チャレンジはいつからでも始めることができます。
 卒業までに何冊読めるか挑戦してみませんか?
 興味のある方は図書館1階カウンターへお声がけください。

 

参考図書コーナーの禁帯出シールを貼り替えています①

6月3日(水)に、KONANライブラリサーティフィケイトご参加の学生4名が参考図書コーナーの禁帯出シールの貼り替え作業を行ってくれました。

 

図書館2階には参考図書コーナーがあります。
参考図書とは辞書や辞典などの「調べるための本」のことを指します。

 

図書館2階の少し低くなっている棚に並んでいます

 

参考図書コーナーに並んでいる図書は、館外に貸出ができない「禁帯出」という扱いになります。
(ご利用の際は館内にて閲覧してください)
そのほかにも館外に貸出ができない図書にはすべて【禁帯出シール】という赤いシールが貼られています。

参考図書コーナーの付近は窓が大きいため非常に日当たりがよく、日光が参考図書に当たります。
そうすると紙の特性上、日焼けをしてしまい、赤いシールはどんどん色あせてしまい真っ白になってしまいます。

 

本来は奥の赤色ですが、日に焼けて真っ白どころか透けてしまっています

 

 

これはまずい、ということで禁帯出シールの貼り換えボランティアを募集しました。

図書には一冊ずつ請求記号などが記載されている【背ラベル】、貸出をするときに読み取る【バーコードラベル】、そのほか禁帯出シールなどのラベルやシールはすべて手作業で行っています。日々新しい図書も入ってくるため中々貼り替えに時間を割くことができないのが現状です。

今年はなんと10名ものご応募があり、職員一同大変ありがたく感じております。

 

作業工程は以下に沿って行います。

①白くなってしまった禁帯出シールをはがす
②新しい禁帯出シールを貼る
③剝がれてしまわないようにアイロンをあてる
④元の棚に戻しにいく

 

 

①元々貼ってあったシールは劣化してしまいとても剝がしにくいです

 

②剥がしたシールの位置に合わせて新しいシールを貼ります

 

③図書の背は丸くなっているため、特に端が剥がれないようにアイロンをあてる必要があります

 

④返本作業(本を元の棚にもどす)は図書館の仕事でも非常に重要な作業の一つです

 

 

みなさん非常に集中して熱心に取り組んでくださったおかげで、随分と貼り換え作業が進みました。本当にありがとうございます!

 

KONANライブラリサーティフィケイトでは図書館司書が実際に行っている仕事を経験できるボランティアをはじめ、ライブラリサーティフィケイトに参加していないと経験できないようなイベント・ボランティアを多数行っています。
※ぜひ過去の図書館ブログをご覧ください

 

今年も様々なイベント・ボランティアを計画中です。興味があるものにはぜひご参加ください!

[藤棚ONLINE]新図書館長・村澤康友先生(経済学部)ご挨拶

図書館報『藤棚ONLINE』
新図書館長・村澤康友先生(経済学部)ご挨拶

 はじめまして.4 月より新たに図書館長に就任いたしました,経済学部教員の村澤と申します.甲南大学の教育・研究を支える基盤として,図書館は重要な役割を担っております。本学図書館が引き続き学生・教職員の皆様のお役に立てるよう,微力ながら尽力してまいります.何卒よろしくお願い申し上げます.

 「読書は豊かな人間を,議論は機転が利く人間を,執筆は正確な人間を作る」という格言があります.私の知る限り,賢くなるための唯一の方法は読書です.読書を通じて私たちは,時間や空間を超えて偉人から学ぶことができます.漫画でも娯楽小説でも構いませんので,自分を豊かにしてくれる本を見つけ,積極的に読むことをお勧めします.

 私自身を豊かにしてくれた一冊として,私からはジョン・スチュアート・ミル『自由論』をお勧めします.私は本書から,自分の自由を貫き,他人の自由を尊重することの大切さを学びました.また本書は人生の指針となる格言の宝庫です.いくつかご紹介しますので,ぜひ味わってください.

人が良いと思う生き方をほかの人に強制するよりも,それぞれの好きな生き方を互いに認め合う方が,人類にとって,はるかに有益である.

自分の頭で考えず,世間にあわせているだけの人の正しい意見よりも,ちゃんと研究し準備をして,自分の頭で考え抜いた人の間違った意見のほうが,真理への貢献度は大きい.

どんなに正しい意見でも,十分に,たびたび,そして大胆に議論されることがないならば,人はそれを生きた真理としてではなく,死んだドグマ(教条)として抱いているにすぎない.

自分が言いたいことしか知らない人は,ほとんど無知に等しい.

意見の衝突は,熱を上げている当事者には良い効果をもたらさないが,もっと冷静でどちらの側にもつかない傍観者には益をもたらす.

人生の設計を自分で選ぶのではなく,世間や自分の周辺の人々に選んでもらうのであれば,猿のような模倣能力のほかには何の能力も必要ない.

人が一生をかけて完成させ,磨き上げるべき作品のなかで,一番重要な作品はまさしくその人の,人間そのものである.

無気力で無感動な人よりも,エネルギッシュな人のほうがかならず世の中に多くの益をもたらす.

たしかに,天才はごく少数しかおらず,そして,つねに少数のままだろう.しかし,天才が現れるためには,天才が育つ土壌を保持しておかなければならない.

改革の精神は,かならずしも自由の精神ではない.なぜなら,それは気の進まないひとびとにも改革を強いる場合がありうるからだ.

人が自主的に選択したものは,それが本人にとって望ましいもの,あるいは少なくとも我慢できるものだったことを示す.そして,人がもっとも幸福になれるのは,全体として,その幸福の追求手段をその人が自分で選択できるときである.

人は一般に自分の自由よりも自分の権力を守りたがる.

斉藤悦則訳 (光文社古典新訳文庫 ) より

 現代社会を生きる上で,「自由」の意義を正しく理解することはきわめて重要です.自由主義が経済にもたらす利益を論じたミルトン・フリードマンの『選択の自由』と,自由であることに耐えられない人間の弱さを指摘したエーリヒ・フロムの『自由からの逃走』を併せて読むことで,その理解はいっそう深まるでしょう.

 それから漫画も立派な読書の一つです.現代では世界中の若者が日本の漫画を読んでおり,国際交流においても重要な教養の一つとなっています.私の秘かな願いは,甲南大学図書館に日本の漫画の名作を所蔵することです(私の一押しは『進撃の巨人』です).図書館に置いてほしい漫画がありましたら,ぜひご意見をお寄 せください.


【図書館事務室より】
 藤棚ONLINE2026年度第1号は、今年度新たに図書館長に就任されました経済学部教授・村澤康友先生よりご挨拶いただきました。先生からご紹介いただいた「自由」に関する本、とても大切なことだと思いますので、ぜひ読んでみてください。
 図書館では、HPだけでなくX(Twitter)やこのブログでも情報発信していますので、定期的にチェックしてみてくださいね。学生の皆さんのご利用をお待ちしています。

エントランス展示「電子図書館、ますます増えています」

 みなさんは、電子書籍をよく使いますか? 電子書籍は2010年頃から普及し始め、今では漫画やライトノベルはスマホで読むという方も多いと思います。手軽には読みにくい学術書籍は、まだ紙での発行が多いですが、確実に電子書籍も増えています。

 甲南大学図書館でも、10年ほど前から電子書籍の導入を開始しました。開館時間に制限されず、いつでもどこでも図書館につながることができて、とても便利です! 外国語の授業でも活用されていますので、一度は利用した方も多いのではないでしょうか。

 ただ、電子書籍は書架に本が並んでいないために、たくさんある本の存在に気付いていないかたも多いのではないかと思います。 おススメの本が自動的に流れてくる電子書籍のサイトとは異なり、大学図書館は読む本を自分で探して選ばなくてはなりません。それが大事なことなのですが、そこがちょっと難しいですよね。

 そこで、今回の エントランス展示では、大学図書館の電子書籍を分かりやすくご紹介します。甲南大学図書館のホームページには、学生の皆さんにオススメの本や雑誌、データベースなどにアクセスしやすい「電子図書館」も設置しています。 ますます充実している「電子図書館」をもっと活用してみませんか。

 加えて、 近年急速に活用が進んでいるデジタルアーカイブもご紹介しています。日本の絶版本、古い学術雑誌、古典籍が利用できる「国立国会図書館デジタルコレクション」をはじめ、世界中の図書館・博物館・大学などの学術機関が、貴重な資料や芸術品をデジタルアーカイブで無料公開しています。もちろん甲南大学図書館も、「甲南大学デジタルアーカイブ 」を設置しており、阪神淡路大震災の被災資料コレクション『学園が震えた日』や、旧制甲南高等学校時代の学校新聞、哲学者・九鬼周造の手書き原稿など、本学固有の貴重資料を公開しています。

 いろいろな電子書籍のサイトが群雄割拠している時代に、どのサイトを選び、どんな本を読むのか。どのデータベースから、どんな情報を得るのか。電子書籍と紙の本のどちらが学びやすいか。図書館で借りるか自分で買うか。自分の成長とやりたいことに合わせて使いこなせるようになって、電子書籍の世界の覇者になりましょう!

エントランス展示『電子図書館、ますます増えています』
2026年5月8日(金)~