2.おすすめの本」カテゴリーアーカイブ

オグ・マンディーノ著 『この世で一番のメッセージ』

 

 

知能情報学部 4年生 大木 大司さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : この世で一番のメッセージ
著者 : オグ・マンディーノ著 ; 住友進訳
出版社:竹書房
出版年:2005

二年前、本書は私に読書を始めるきっかけを与えてくれた。フェイクニュースがあふれる現代にお
いて、正しい知識を身につけるには読書が最も効率的だと頭では理解していたものの、実際には本
を開くと目が疲れ、頭痛がして、読書は長続きしなかった。

本書は一見すると自己啓発書のようであり、幸せな人生を送るために何をすべきかを段階的に示し
てくれる。しかし、単なる名言集や理論の羅列ではなく、物語を通してそのメッセージを伝える点
が、従来の自己啓発書とは大きく異なっている。この構成が、読書に苦手意識を持っていた私を自
然と物語の世界へ引き込み、気がつけば一晩で読み終えていた。その体験をきっかけに、現在まで
に百冊を超える本を読むようになった。

本書の中で特に印象に残った言葉がある。「自分の足下にチャンスが転がっている事に気づかず、
他の土地に行きさえすれば上手くいくと考えている人は気の毒である」という一節だ。この言葉は、
物事がうまくいかない原因を環境のせいにしがちだった私の考え方を大きく変えた。もちろん環境
の影響は無視できないが、今いる場所でもできることは必ずあるという視点を与えてくれたのであ
る。
また、「逃してしまえば取り返すことのできない四つのこと」として挙げられた、〈口に出してしま
った言葉〉〈放たれた矢〉〈過去の人生〉〈なおざりにされたチャンス〉にも強く共感した。この四
つについては人それぞれ考えが異なるだろうが、私は深くうなずかされた。自分にとって本当に取
り返しのつかないものは何かを考えるきっかけにもなった。

本書は、私の人生を劇的に変えたわけではない。しかし、物事の捉え方や考え方といった「頭の中
の何か」を確かに変えてくれた一冊である。充実した人生を送るためのヒントと、人生を見直す小
さなきっかけを与えてくれた本として、今でも私の原点にある書籍だと感じている。
もし今ここで、これが目に止まったのであれば是非手に取って読んで欲しい。この図書館に置いて
いるかは分らないがね。

亀井俊介著 『ニューヨーク』

 

 

知能情報学部 4年生 大木 大司さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : ニューヨーク
著者 : 亀井俊介
出版社:岩波書店
出版年:2002

誰にでも、「いつか必ず訪れてみたい」場所があるだろう。私にとって、その一つがニューヨーク
である。「世界最高の都市」と称されるこの街を、一度は自分の身体で感じてみたい・・・そんな
漠然とした憧れを、私は長い間抱いてきた。

しかし、その「最高」という言葉の中身について、私は驚くほど無知だった。
高層ビル、高い物価、そして多種多様な人々。そうした断片的なイメージだけで街を理解したつも
りになり、他人の評価やメディアの言葉に流されていた自分を、今振り返ると少し恥ずかしく思う。
そんな折に出会ったのが、本書である。軽い気持ちでページをめくったはずが、読み進めるうちに、私の中にあったニューヨーク像は崩れていった。

本書のニューヨークは、決して単なる富と成功の象徴ではない。そこにあるのは、世界中から集ま
った無数の「異邦人」たちが、自らの居場所を求め、必死に生き抜こうとする姿である。
ニューヨークとは、完成された都市ではなく、常に更新され続ける存在なのだと感じた。
私が憧れていた「最高」の正体は、豪華さや洗練といった表面的なものではなかった。それはむし
ろ、「未完成」であるがゆえに変化を恐れず、街に生きる者が自分自身の可能性を信じて高みを目
指す、そのエネルギーの総体だったのである。

昨年の夏、私は東南アジアを旅し、街に満ちる圧倒的な熱気に心を揺さぶられた。しかし、本書か
ら伝わってくるニューヨークの熱は、異なる。個が強く、時に孤立しながらも、同じ空間で共存す
る厳しさ。そこでは誰もが主人公になれる可能性を持つ一方、同時に「ただの異邦人」でいられる
自由も保障されている。その矛盾を抱え込む力こそが、ニューヨークという都市の強さなのだろう。

本を閉じた今、かつての漠然とした憧れは、確かな知的好奇心へと変化している。「いつか」とい
う願望ではなく、「必ず」という意志へと変わった。自らの足であの街に立ち、「世界最高の都市」
の続きを、自分自身の目で確かめたい。

ダニエル・デフォー著 『ロビンソン・クルーソー』

 

 

文学部 1年生 Oさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : ロビンソン・クルーソー
著者 : デフォー著 ; 唐戸信嘉訳
出版社:光文社
出版年:2018

『ロビンソン・クルーソー』と聞いてタイトルは知っているが、実際には読んだことがなく具体的にどのような物語なのかは知らないという人も多いかもしれない。どのような物語なのか簡単に説明すると、名もなき無人島に1人打ち上げられた船乗りロビンソン・クルーソーの28年間の生活を描いた物語である。クルーソーは船に残っていた道具や物資などを活用してどうにか生き延びて行くというのがこの話の大筋だ。

この物語の大きな魅力は、詳細に描かれているクルーソーの行動や心境から様々な教訓を学ぶことができることだと思う。例えば、島に漂着してしまったクルーソーが全てが最悪の状況だと嘆き、途方に暮れるという場面がある。しかしそういった現状をいくつか書き出して整理すると、他の乗組員とは違って自分は海の藻屑とならずに生きているし、船にあった物資もいくつか残っているということに気がつく。そこからクルーソーは「最悪の状態に見えても書き出してみると意外に悪くない状況だとわかる」と希望を見出している。その他には、孤独な生活に耐えられなくなったクルーソーが船から持ち出した聖書を読み、落ち着きを得る場面がある。そしてその経験からクルーソーは「怪我や病が肉体を侵すように不安もまた心を侵す」と考えるようになり、神への信仰心から平静な心を保てるようになったのである。

ここまで見るとクルーソーはそのような過酷な状況でも生きることのできる強い人なのだろうと感じるかもしれない。だがしかしクルーソーは決してそのような人ではない。元々クルーソーは裕福な家の生まれであったが、生活を窮屈に感じて家出をし、船乗りへとなったという過去がある。そのため島に来た当初、クルーソー自身は何か物を作る経験や病気、狩りなど生き抜くために必要な知識もほとんど持っていなかった。しかしそれでもクルーソーは見よう見まねで物を作ったり、他の物を代用したりと諦めることなく果敢に挑戦している。そういった姿勢が読んでいてとても感銘を受けた。

島へ漂着して数年が経過した頃、クルーソーは海岸でとある民族が島へやってきているのを目撃するが…。世界的にも有名な本作だが、話の内容自体はそこまで複雑ではない。果たしてクルーソーは無事に島を脱出できるのか、普段あまり本を読まない人でも是非とも読んで欲しい作品だ。

有川浩著 『植物図鑑』

 

 

知能情報学部 4年生 Fさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 植物図鑑
著者 : 有川浩
出版社:角川書店
出版年:2009

『植物図鑑』は、日常の中にひそむ出会いが、ゆっくりと人の心をほどいていく過程を、穏やかな筆致で描いた物語である。物語は、主人公・さやかがアパートの前で行き倒れていた青年・いつきを拾うという印象的な場面から始まる。道ばたの植物を食べて生きているという彼は、礼儀正しく落ち着いた雰囲気を持ちながらも、私生活について多くを語らない。その距離感が、さやかだけでなく読者にも「この人はどんな過去を持っているのだろう」という関心を抱かせ、物語への入り口となっている。

二人の同居生活で描かれるのは、派手な事件ではなく、植物を採り、料理を作り、同じ時間を過ごすというごくありふれた日常である。しかし、その一つひとつが丁寧に積み重ねられることで、関係が少しずつ変化していく様子が自然に伝わってくる。特に、雑草として見過ごされがちな植物が、名前を持つ食材として登場する描写は印象深い。何気なく踏み過ごしてきたものに価値を見出す視線は、人との向き合い方とも重なっていく。

物語の中盤、二人の関係に大きな揺らぎが訪れる。その出来事によって、それまで穏やかに続いていた同居生活は一度立ち止まり、二人はそれぞれの立場や距離感を見つめ直すことになる。その揺らぎを経て、二人の関係がどのような形に変化していくのは、物語の後半で丁寧に描かれていく。

『植物図鑑』を読み終えたあと、不思議と世界の見え方が変わる。これまで気にも留めなかった道ばたの草に、名前や役割があるのではないかと想像するようになる。何でもない日常の中に、目を向ければ意味や温度が宿っていることに気づかされる一冊である。物語を閉じたあと、ふと足元の草に視線を落としたくなる。その小さな変化こそが、本書のいちばんの魅力だと感じた。

黒柳徹子著 『窓ぎわのトットちゃん』

 

 

知能情報学部 4年生 Fさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 窓ぎわのトットちゃん
著者 : 黒柳徹子
出版社:講談社
出版年:1981

『窓ぎわのトットちゃん』は著者・黒柳徹子の幼少期をもとに、教育とは何か、人を理解するとはどういうことかをやさしく問いかけてくる一冊である。物語は、落ち着きがなく好奇心旺盛な少女トットちゃんが、最初に通っていた「普通の学校」を去るところから始まる。授業中に席を立ったり、窓の外に強く惹かれたりする彼女の行動は、集団の中では「困った振る舞い」とみなされ、個性として受け止められることはなかった。この導入部は、誰もが一度は経験したことのある「周囲と合わない感覚」を思い起こさせ、自然と物語の中に引き込まれる。

その後、トットちゃんが出会うのがトモエ学園である。電車の車両を使った校舎、授業の順番を自分で決められる自由な学び、障がいのある子どもも当たり前のように受け入れられる環境。そこは、これまでの学校とはまったく異なる空気をまとっている。中心にいる小林宗作校長は、子どもを型にはめるのではなく、一人ひとりの話に耳を傾け、その子の良さを信じて伸ばそうとする人物である。トットちゃんが安心して自分らしくいられるようになる過程は、読んでいて胸が温かくなる。

トモエ学園の教育が印象的なのは、「できないこと」を直そうとするのではなく、「その子が持っている力」に目を向けている点である。落ち着きのなさも、見方を変えれば豊かな感受性や探究心の表れであり、抑え込むべきものではない。トットちゃんが少しずつ自信を取り戻していく姿は、子どもだけでなく、大人の心にも静かに響いてくる。

本書は、教育論を声高に語る本ではない。それでも読み終えたあと、「もし自分が小林校長のような大人に出会っていたら」「自分は誰かの個性をきちんと見ているだろうか」と考えずにはいられなくなる。子どもの頃に読めば救われ、大人になってから読めば立ち止まって考えさせられる。そんな不思議な力を持った一冊であり、ぜひ手に取ってほしい作品である。

阪上誠著 『エンジニアの持続的成長 37のヒント』

 

 

知能情報学部 3年生 Mさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : エンジニアの持続的成長 37のヒント
著者 : 阪上誠
出版社:ビジネス教育出版社
出版年:2025

技術の進歩が激しい現代において、「成長し続けること」はエンジニアに限らず、多くの社会人にとって大きな課題である。新しい知識を学ばなければ取り残される一方で、がむしゃらに努力を続けるだけでは心身が持たない。そんなジレンマを抱える人にとって、「エンジニアの持続的成長37のヒント」は、成長との健全な向き合い方を示してくれる一冊だ。

本書は、テクノプロデザイン社で現在採用本部長を担っており、技術教育にも携わってきた阪上誠氏が、「長く成長し続けるためには何が必要か」という問いに対して、37の具体的なヒントを提示している。特徴的なのは、最新技術の解説や派手な成功談ではなく、日々の姿勢や考え方といった地に足のついた内容が中心である点だ。そのため、経験年数の浅いエンジニアだけでなく、伸び悩みを感じている中堅層にも強く響く。

本書の読みどころは、「成長=努力量」ではないという視点にある。著者は、無理な自己研鑽や長時間労働を美徳とする考え方に疑問を投げかけ、自分のペースで学び続けることの重要性を説く。特に印象的なのは、「学びを習慣化する」「アウトプット前提で学ぶ」といった実践的なアドバイスで、今日からすぐに行動に移せる点が魅力だ。

また、技術力だけでなく、コミュニケーションやチームへの貢献といった“エンジニアとしての総合力”にも言及している点も面白い。エンジニアは技術さえあればよいという考えを超え、長期的に価値を発揮できる人材像が具体的に描かれている。

この本は、「早く成長する方法」を教える本ではない。「折れずに成長し続ける方法」を教えてくれる本だ。エンジニアとしての将来に不安を感じている人や、学びに疲れを感じ始めた人にとって、本書は立ち止まって進む方向を見直す良いきっかけになるだろう。