月別アーカイブ: 2021年10月

伊坂 幸太郎著 『砂漠』

マネジメント創造学部   2年生 Mさんからのおすすめ本です。

書名 : 砂漠
著者 : 伊坂 幸太郎 著
出版社:実業之日本社
出版年:2005年

 大学生活は人生のオアシスであり、いずれは外に広がる 「社会」という砂漠に出なければならない。冷めた性格でいつも物事を俯瞰的に見ている主人公の北村は、オアシスで安全な日々を送る中、砂漠で苦労する人々や厳しい現実を見て不安な感情を抱く。

 そんな北村はある日、大学で4人の友人に出会い非日常な事件に巻き込まれていく。ボウリング、合コン、 麻雀、超能力、通り魔など様々な事件に巻き込まれる北村だが、個性的な友人たちとこの事件を共有することで次第に成長し、「あり得ないことを実現できるかもしれない」と小さな希望を抱き始める。 読み進めていくうちに、私たち読者もまた希望を抱かずにはいられなくなる。

 この作品の見どころは北村の成長だけではない。 この作品では4人の個性的な友人が登場するが、その中でも西嶋はとびぬけて変人だ。 西嶋は自分に素直で信念のある熱い性格の持ち主で常に堂々としている。しかし、大学では少し浮いた存在だ。そんな西嶋は大学の飲み会でいきなり演説を始める。 最初は笑っていたものの次第に不満の色をあらわにし始める。

 そんな中、西嶋は一切動じず「この国の大半の人間たちはね、馬鹿を見ることを恐れて、何にもしないじゃないですか。 馬鹿を見ることを死ぬほど恐れてる、馬鹿ばっかりですよ。」「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」と強く語る。そんな西嶋の演説を冷めた目で見つめながらも北村は少し期待してしまう。 西嶋なら砂漠にオアシスを生み出せるのではないか、と。

 ここまで北村と西嶋の2人について書いたが、他にも少し軽薄な烏井、超能力者の南、不愛想な美女の東堂など魅力的な人物たちが登場し、友情や青春の良さを教えてくれる。 未熟だけど様々な経験を経て成長していく彼らからは目が離せない。

 この物語は一歩踏み出せずにいる人達に是非読んでもらいたい。この本を読めばきっと、自分には何でも叶えられるような気がして、背中を後押ししてもらえるだろう。 諦めずひたむきに努力し続ければもしかしたら私達にも砂漠に雪を降らすことができるのかもしれない。

【エントランス展示中!】知の巨人~南方熊楠~

 南方熊楠、という名前を偉人伝などで見たことがある方は多いと思いますが、ではどういった功績や逸話を残した人物なのか、ということを語れる方は意外に少ないのではと思います。

 南方熊楠の凄さを語りにくい理由の一つには、その多才さにあるかもしれません。圧倒的な記憶力、語学堪能(22か国語を理解したとも)で、植物学、民俗学、考古学、文化人類学、宗教学など幅広く探求し、かの柳田國男から「日本人の可能性の極限」と評価されています。
 8歳で『和漢三才図会』の筆写を始め、19歳で渡米、大英博物館に出入りし26歳で総合科学雑誌『Nature』に天文学の論文を寄稿。Natureへの論文掲載数は研究者歴代最多といわれる51本!しばしばレオナルド・ダ・ヴィンチと比較される、まさに知の巨人です。

 今年、2021年は南方熊楠没後80年ということで、10月のエントランス展示は「知の巨人~南方熊楠~」と題して行うことにしました。現在図書館エントランスにて展示中です。
 今回の展示にあたり、本学図書館の所蔵する関連図書を展示するとともに、南方熊楠顕彰館様(https://www.minakata.org/)にご協力いただき、許諾のもと貴重な画像も印刷展示していますので、ぜひ図書館にお立ち寄りください。
 南方熊楠顕彰館様のサイトにはまだまだ貴重な資料が掲載されていますので、興味を持った方はぜひ閲覧してみてください!

西田 英一 (法学部)『語りから学ぶ法社会学: 声の現場に立ち会う』

 

<教員自著紹介>

東日本大震災での大川小学校津波訴訟,職場喫煙問題,女性と育児と仕事をめぐる問題,リンチ殺人事件の被害者遺族と加害者の関係など,民事紛争および刑事事件の当事者の語りをできるだけ加工せずナマのまま提示。

そこから人と人/人と組織/人と法の関わりの接面で何が起こっているのかをリアルに考える実践教材。当事者の語りを目の前で聞くように読んで考えることを薦めます。

■ 『語りから学ぶ法社会学: 声の現場に立ち会う
■ 西田 英一著 , 北大路書房 ,  2021.10.
■ 請求記号  321.3//2066
■ 配架場所  図書館   1F 教員著作
■ 著者所属 西田 英一 (法学部)

 

第3回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

甲南大学生協の書籍部で、第3回 甲南大学書評対決が実施中です。
今回は、甲南大学経済学会の高橋さん、西川さん、松本さんの学生チームと、スポーツ・健康科学教育センターの山﨑俊輔先生の対決です!

勝敗は、それぞれが紹介した本の売り上げ冊数で決まるのですが、10月14日に、各チームによる本のプレゼンが行われました。

一番左が山崎先生。柔道がご専門のアスリートで、ひと際大きな体格と大きなお人柄をお持ちの先生です。
先生からは、人生にエネルギーと勇気を与え、困難を打破する心を育ててくれる本をご紹介いただきました。

山﨑先生の右に立っている方が、経済学会チームの3名です。
自分の行動を見つめなおすきっかけになった本や、深く感動した本、新しい目線で社会を見るきっかけになった本が紹介されています。

プレゼンのテクニックには個人差がありましたが、好きを推すにはテクニックを上回る熱量も必要で、なかなかに接戦です☆
このブログにも紹介文を掲載しておりますが、是非、iCommons4階、学友会館北側の生協の本屋さんと、各キャンパスの書籍販売コーナーで現物を手に取ってみてください!

なお、右側のお二人は、司会を担当された、小野さんと巽さんです。
このお二人のおすすめの本も展示されていますよ!

【第3回 甲南大学書評対決】 真山仁 著 『オペレーション Z』

10月14日(木)に開催された第3回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

経済学会チーム 松本さんからのおすすめ本です。

書名 : オペレーション Z
著者 : 真山仁 著
出版社: 新潮文庫
出版年:2020年

「日本の財政赤字1000兆円」と聞いて深刻な気持 ちになる人は今の日本にどれだけいるだろう。この本を 読むまでは私もピンとこなかった。

日本の財政を簡単 に説明すると、 「1億円以上の借金があるのに、500 万の年収で1千万使うのをやめられない」 いつ財政破 綻してもおかしくない状態だ。 総理大臣の江島隆盛 は国債頼みの政治を終わらせるべく、国家予算の半 減を決断する。

今までの私は、年々増えていく国家財政の歳出の原因を公共事業や防衛費、 公務員の給与だと無意識のうちに考えていた。しかし、それら すべてを合わせても16%。 つまり、 国家予算を半減 するためには歳出の半分を占めている社会保障費と 地方交付税交付金をゼロにするしかない。

著者は 度々ドラマ化された 「ハゲタカ」シリーズなど数多くのヒッ ト作を生み出してきた真山仁。「圧倒的リアリティ」が ありつつ、同時に読者に分かりやすく伝える 「物語の力」で気づけば引き込まれている。 私は今まで「自分には政治の話は無関係」だと思っていたし、もちろん、日本の財政に ついても無関心だった。 しかし、読み終わって気づかされた。

「問われているのは、そん な私も含めた有権者1人1人なのだと」

【第3回 甲南大学書評対決】 ナポレオン・ヒル 著, 田中 孝顕訳『思考は現実化する(上・下)』

10月14日(木)に開催された第3回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

共通教育センター/スポーツ・健康科学教育センター 山崎俊輔 先生からのおすすめ本です。

書名 : 思考は現実化する
著者 : ナポレオン・ヒル 著 , 田中 孝顕 訳
出版社: きこ書房
出版年:2014年

成功者と呼ばれる人々は、恐怖や悲しみ、貧困、肉体的苦痛など、どのような状況のもとでも現状を打破するために、つねに積極的な思考や心構えを維持する努力をしています。

スポーツの世界でも同様のことが言えます。オリンピック ・パラリンピックで素晴らしい活躍をする選手の姿の陰には、多くの試練や困難を克服し逆境を跳ね返し、勝利に向かって弛まぬ努力を惜しまない姿があります。

私自身、これまで失敗の連続で、とても成功者とは言えない立場ですが、いかにして願望を実現するために考え、行動し、「成功」と現実化 いう階段を駆け上がったのか、その答えを解く共通したカギが本書で知ることができるように思います。

読み終わると多くの希望と勇気を頂き、得した気持ちになります。