2-1. 学生オススメ」カテゴリーアーカイブ

信田さよ子『カウンセリングで何ができるか』

  文学部 4年生 水口正義さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名:カウンセリングで何ができるか
著者:信田さよ子
出版社:大月書店
出版年:2007年

 現在日本には、臨床心理士という心の医者がいる。カウンセラーとも呼ばれる。その数は年々増加しており、医療の現場のみならず、企業、学校など、社会の様々な場所で人々の心の病と対峙している。この本では、彼(彼女)らの立ち位置から、具体的な治療の方法まで語られている。
 あなたは臨床心理士、あるいはカウンセラーと呼ばれる人たちにどんなイメージを持っているだろうか。人の心、精神的なものを扱うわけだから、きっと人の考えていることが読めるのだろうと思うかもしれない。しかし、そんなことはない。カウンセラーたちはクライエント(患者)によって語られる言葉の節々、一挙手一投足をつぶさに観察し、会話の中から、悩みの核にたどり着こうとしているのである。これは一般の人にできることではない。当然、現場に出るためにはトレーニングを受けなければならないし、臨床心理士の資格の試験にも通らなければならない。人によって向き不向きもある。冒頭の2章では、そんなカウンセラーとしての下積み時代となる期間や、資質について詳述される。
 中盤以降は、うつ病、DV、虐待など、あらゆる原因で心の病を抱えたクライエントと、カウンセラーがどう向き合い、治療の中でどのように解決を目指していくのかが説明される。もっとも、人の心は一人一人異なるため、万人に共通の治療法など存在しない。ただ、どんな場合にも最低限守らなければならないルール、というようなものがある。たとえば、悩んでいることの問題の解決を目指していると言いながら、ただ「~が苦しかったんですね。」と同情しているだけでは何の進展もない。気持ちが理解できたら、その後どういう行動をとれば、クライエントの問題は改善されるのか、その具体的な手立てを一緒に見つけていく過程が、実際のエピソードを元に書かれている。
 本全体としては、一貫して誰にでも分かる文体で書かれており、内容が完全には理解できなくとも、一度読んでおけば一般の人でもカウンセラーのこと、カウンセリングの基本を知ることが出来るだろう。

平田オリザ『幕が上がる』

  知能情報学部 4年生 小林雅幸さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名:幕が上がる
著者:平田オリザ
出版社:講談社
出版年:2012年

 この小説は、高校の演劇部を舞台に、初めは弱小とも言われていた部員が演劇経験のある新しい顧問の先生を迎えて指導を受けることで成長し、コンクールの全国大会を目指すという青春小説ともいえる作品です。
 著者が実際に劇作家・演出家・劇団の主宰であることから、演劇の流れや高校演劇にまつわる知識などが丁寧に描かれているので、具体的なイメージを持たせながら読み進めることが出来ます。
 主人公である演劇部部長の高橋さおりの目線で進んでいくこの物語は、いくつものターニングポイントが存在します。新任教師でかつて演劇俳優として活躍していた吉岡先生への副顧問就任のオファー、演劇強豪校の演劇部員で、その学校からの転校生の中西さんの演劇部入部、地区大会突破に向けての合宿、吉岡先生の突然の退職などです。そのどれもが、後から振り返ると物語にとって重要な出来事となっています。そして、これらの出来事は人生そのものを表しているように感じました。人は人生の中でいくつもの出会いを重ね、そして成長していきます。成長を重ねることで目標ができ、それに向かって悩みながら、失敗しながらも前進していくことで得るものがあり、自信に繋がります。しかし、人生は良いことばかりではなく、突然の別れだってあります。あまりにも突然の別れに悲しみ、立ち直れなくなりそうな時もあります。しかし、そこで立ち止まってしまえばそれまで頑張って積み重ねてきたものが崩れてしまいます。そこでさらに前進することでさらなる成長が待っています。人生はそうして様々な経験を重ねることで充実していくのだなと感じました。
 「私たちは、舞台の上でなら、どこまででも行ける。」というセリフが心に残りました。どこまででも行けるから私たちは「不安」という気持ちを抱き、だからこそ前を向いて必死になろうとするのでしょう。
 青春小説でありながら、人生において忘れてはいけないものを再確認させてくれる、そんな作品です。

川上アキラ『ももクロ流:5人へ伝えたこと5人から教わったこと』

  知能情報学部 4年生 小林雅幸さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名:ももクロ流:5人へ伝えたこと5人から教わったこと
著者:川上アキラ
出版社:日経BP社
出版年:2014年

 この本は、人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」のチーフマネージャーとして活躍する著者が、グループ結成からこれまでを振り返りながら著者のマネジメント論を述べたものです。 「アイドル戦国時代」とも言われる近年、様々なアイドルグループが結成される中、「ももいろクローバーZ」が結成から5年近く(出版当時)経過しても人気アイドルグループとして成功した秘訣が、筆者のマネジメント論から読み取れます。
 筆者の特徴として、「現場主義」が挙げられます。著者はイベントの企画や演出、タレントの送迎など、とにかく現場での仕事を重視しています。それは、「タレントが最も気持ちよく仕事ができる環境を作る」ことがマネージャーにとって重要であるという著者の考えがあるからです。これはタレントマネージャーに限った話ではなく、例えば上司が部下の働く姿を間近で見ずに後で持ってきた書類だけを見て能力を判断しているのでは部下にとってモチベーションが上がらず、せっかく持っている才能を開花させることができないままになってしまう可能性があるということと同じではないでしょうか。こうして著者が常にタレントを近くで見守ってきたことで、次の仕事へのプランを立てることに役立ち、さらにはタレントとの信頼関係を築くことに成功してきたのではないでしょうか。
 そして、タレントに「場」を与え、時には無謀とも思えるようなことも含めてタレント自身に様々な経験をさせた積み重ねが、やがてタレント自身が自分をプロデュースできる力になって、結果グループが成長していくという考え方は共感しました。誰かに守られているという安心感があると、人はやがて努力をしなくなっていきます。しかし、しっかりと実になるような刺激を矢継ぎ早に与えることで、人は自分で考えるようになり気づかぬ間にそれが経験となって人を成長させ、その個人の成長がグループにとって大きな成果として帰ってくるのです。
 この本は単にアイドルグループの歴史を辿っただけの本ではなく、人が、そして組織が成長するためには自分がどう動くべきかということを、具体的なエピソードを交えて述べたれっきとしたマネジメント論の本であると私は考えます。

J.K.ローリング『ハリーポッターと秘密の部屋』

  知能情報学部 4年生 匿名さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

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 書名:ハリーポッターと秘密の部屋
著者:J.Kローリング作;松岡佑子訳

出版社:静山社 
出版年:2000年

ハリー・ポッター・シリーズの映画を見たことある人は多いと思うが、本も読んだことがあるという人はあまりいないように思えますが、そういった人にもこの本を読んでほしいと思いました。

本はとても分厚いですが、本の中身は案外文字が大きく難しい漢字も少なく、他の本に比べると読むのにはあまり苦ではないと思います。

映画を見たことがある人でも、ハリー・ポッター・シリーズの本は一度見てみると良いと思いました。

本の内容は映画と全体的の同じで、ほんの少ししか違う部分はありません、しかし映画を一度見ていても楽しめました、僕は映画を見たあとにこの本を読んだので、頭のなかで映画の場面を思い浮かべたり、字を読みながら頭のなかで、キャラクターの声が頭のなかで再生されたので、本を読みながら映画を見ているような感じがしました。

ハリーポッターは全世界で読まれていて、とても有名です、なので本をあまり読まなかったり、字が苦手と思う人や、難しい漢字が苦手だと感じる人は、この本を読んで見たらいいと思いました、他の本に比べるとこの本はとても読みやすく感じます。

主人公のハリーポッターは両親をなくし親戚の家で育てられるが、親戚からのいじめや、物置小屋での生活を強いられ、残念な暮らしをしている内容が初めの方にありますが、僕はそういった内容のものがあまり好きではないです、序盤で魔法学校に行き魔法学校での話になるので、親戚の内容はなくなりますが、そういったいじめや暴力的な内容が苦手な人は、見ていてしんどいといった場面もあるかもしれないです。

シリーズ2作目の本なので、もし一作目を見ていないなら、一作目のハリーポッターと賢者の石から見ることをおすすめします。

J.K.ローリング『ハリー・ポッターと賢者の石』

  知能情報学部 4年生 匿名さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

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書名:ハリーポッターと賢者の石
著者:J.K.ローリング作 ; 松岡佑子訳
出版社:静山社 
出版年:1999年

 

ハリー・ポッター・シリーズの第一作目の作品になります、今から約18年前に出版された本になるとは驚きです、ハリー・ポッター・シリーズは全部で7作品あり、1:ハリー・ポッターと賢者の石2:ハリー・ポッターと秘密の部屋3:ハリー・ポッターとアズカバンの囚人4:ハリー・ポッターと炎のゴブレット5:ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団6:ハリー・ポッターと謎のプリンス7:ハリー・ポッターと死の秘宝 という順番です。この本は映画化されており映画の方が有名だと思います。

一作目の賢者の石では主人公の生い立ちや仲間たちの紹介などがあり、シリーズ物では一作目はどの作品でも一番人気があり面白いと感じます。ハリーポッターは両親を殺され親戚の家で一般人として過ごしていたが、ある日一通の手紙が届き魔法学校への入学のお知らせがあり物語はそこからスタートします、ハリーポッターは魔法学校では有名で、一族の生き残りとして知られています、そこからハリーポッターを狙う事件や仲間たちの冒険を繰り広げます、ハリーポッターはクィディッチという魔法のほうきを用いたスポーツでも活躍しスポーツが万能な少年です。ハリーポッターはよく二人の友だちと行動をよくともにし、名前はロンとハーマイオニーです、ロンは少しどんくさいキャラクターで、ハーマイオニーはしっかりとした女性です、ハリーポッター以外のキャラクターもそれぞれ特徴があり、ハリー・ポッター・シリーズの見どころでもあると僕は感じています。

悪役としてマルフォイという少年が出てきます、その少年はハリーポッターと同級生であり、ハリー・ポッター・シリーズの相手役としてよく本にでてきますが、悪役っぷりがいい味を出していると感じました。この本を読んで、ハリー・ポッター・シリーズをすべて読みたくなりました。

山田宗樹『百年法(上・下)』

  知能情報学部 3年生 匿名さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名:百年法(上・下)
著者:山田宗樹
出版社:角川書店
出版年:2012年

 私が、「百年法上・下」に出会ったきっかけは書店の売れ筋ランキング上位にあったことである。店員の紹介文が「一気読みしてしまう!」というもので、長文が苦手な私でも読めるかなと思いこの本を手に取った。

  1945年日本は太平洋戦争に負け、米国の支配下のもとに共和国となり、GHQにより人不老化ワクチンが導入される。しかし人が不老化する事で政治や経済、医療、世代交代が出来ない等の問題が起きる。それらの問題を解決するため政府は、生存制限法、通称百年法「HAVIを受ける者は、処置後百年を経て、生存権を始め あらゆる権利を放棄することに同意せねばならない」という法律を施行。百年法制定後の近未来の社会では、今度は百年法による問題が起きる。結果、百年法の凍結の是非を決めるため国民投票という形で重い決断が国民一人一人に委ねられるというものである。

  印象に残っている場面は、HAVIを受けた者はSMOCにかかり実は16年ももたないという事実が発覚した場面である。SMOCの危機に晒される未来を知りながらHAVIを受けるかという人々の葛藤が見ものだと感じた。

  「不老不死なんてありえない」と思いながらも「こういう世界があったら」と思うような作品であった。永遠の時間をゆったりと暮らしていくことは幸せだろうなと考えたが、実はそんなこともないのだと実感した。一人一人の人生に限りがあるからこそ、限りある人生に喜びや幸せ、楽しみを求めることができる、そして苦しいことがあっても乗り越えることができるのではないかと思った。100年後に来る死を受け入れ永遠の若さを手に入れるか、老いていく肉体を受け入れ命の終わりを意識しながら精一杯生きるか。私自身もその問いについて考えながら読むことが出来てとても興味深い作品であった。

 また、政治や国民投票などに関心を持つ人々が少なくなってきている現代社会に通じる作品でもあるなと思った。自分の人生がかかった国民投票なら投票率は上がることが作品から見受けられたので、関心を持ってもらえるような政治づくりが大切だなとも思った作品だった。