2019年度卒業論文・中尾健人(中辻ゼミ):地理資料からさぐる東灘区の土地利用の変化

現在、GISを活用した生活構造に関する研究が以前より活発になっており、GISの機能の一つであるジオリファレンスを用い、地図の重ね合わせによる土地利用変化を見ていった。対象地域として兵庫県神戸市東灘区を設定し、その景観の変化を調べた。第2章では昭和13年大水害により被害を受けた住吉川東岸の景観変化について、第3章では住吉系水車の分布と分析から仮製図・地形図の精度を検証し、第4章では保久良神社界隈の森林と六甲山はげ山の関連性を調べるため、GISに加えて神社関係者の方への聞き取り調査もあわせておこなった。その結果、第2章では久原邸及びその周辺には甚大とまではいかないがやはり相当の被害を受けていたこと、第3章では現状の地図と水車分布図を重ねて水車の位置をまとめ、第4章では保久良神社界隈の森林が戦後の頃ははげ山ではなかったことが分かった。これにより東灘区における景観変化の実体をより明らかにすることができた。

住吉川周辺に存在した水車の分布
(明治18年版2万分の1仮製図・明治43年版2万分の1地形図・大正12年版1万分の1地形図で確認された水車をGISにより平成17年版2万5000分の1上に表示した。)