『ものと人間の文化史 187 地図』(2021年刊)の紹介

この本は「ものと人間の文化史」シリーズ(法政大学出版局)の一冊として書きました。このシリーズは前から好きだったので、そこに並べてよかったです。ちなみに、シリーズ98冊目の『丸木船』(2001年刊)は出口先生によるものです。ここで扱う地図は、具体的な場所に関わる事業を実行するために作成されたもので、主に近世までの事例を対象としています。いわばそうした「働く地図」に注目したのは、それが人や社会が土地や空間といかに関わってきたのかを示す資料と考えたからです。ぜひ、みなさんも手に取って読んでみて下さい。(教員・鳴海邦匡)

『大学的神戸ガイド』の紹介

甲南大学で進めるプレミアプロジェクトの一環として、『大学的神戸ガイド』(2021、昭和堂)という本を出版しました。この本には歴史文化学科の全教員が参加し、六甲山の成り立ち、中世の錯綜した地域史、海と山を結ぶ近世の街道、港町神戸における文化的交流など、それぞれの専門的立場から私達にとって身近な神戸のことをアカデミックに紹介しています。本学図書館や歴史文化学科図書室にもこの本は置いていますので、ぜひ、手に取って読んでみて下さい。そして、読んだ感想や気が付いたことを、執筆した教員に伝えてほしいと思います。(佐藤泰弘)

イタリアでの在外研究(佐藤公美)

 2018年3月末から1年間、イタリアでの在外研究で二つの研究に取り組んできました。前半はアルプス南麓のトレンティーノ=アルト・アディジェ州の古文書館で古文書を読み込む日々で、中心は15世紀メラーノ(またはメラン)の一群の公証人登記簿とその関連史料。後半は中部イタリアのマルケ州フェルモ市を中心に14世紀の教会国家での反乱を研究し、様々な史料に出会う幸運にも恵まれました。いずれも日々史料に触れる喜びの中に「古文書館員なくして歴史家なし」と繰り返し思う日々。地道な史料保存と活用に取り組みつつ、研究者達への助力を惜しまない古文書館員の方々へに感謝し、きっとよい研究成果でお返しできたらと思っています。(佐藤公美)
  ※写真:フェルモ市の丘から海の見える眼下の丘陵地をのぞむ風景

歴史文化研究センターの設置と歴らぼ古文書班

甲南大学は、2017年5月1日に東大阪市と受託契約を結び、東大阪市域の古文書について整理・調査を行い、その結果を市民への普及を行うこととなりました。このプロジェクトを進めるため、5月1日付で「歴史文化研究センター」を東谷研究室内に設置しました。学外の研究者の参加も得て、調査成果を報告書としてまとめることを予定しています。市民への普及活動の一つとして、古文書の内容を解説したパネルを作成いたしました。作成の中心となるのは、文学部歴史文化学科の学生活動である「歴らぼ」古文書班の学生たちです。前期には、古文書を一文字一文字読み解き、内容を理解する作業を進めました。夏休みには、関係各所のフィールドワークを行うとともに、パネル原稿の作成に取りかかりました。パネルは、東大阪市市制施行50周年の企画として行われた「プレパネル展」でお披露目しました(2017年9月20日(水)~27日(水)、於東大阪市総合庁舎)。学生の成果を多くの人に見てもらいました。(東谷 智)

「歴史文化研究センター」について

甲南大学は、2017年5月1日に東大阪市と受託契約を結び、東大阪市域の古文書について整理・調査を行い、その結果を市民への普及を行うこととなりました。このプロジェクトを進めるため、5月1日付で「歴史文化研究センター」を東谷研究室内に設置しました。学外の研究者の参加も得て、調査成果を報告書としてまとめることを予定しています。市民への普及活動の一つとして、古文書の内容を解説したパネルを作成いたしました。

作成の中心となるのは、文学部歴史文化学科の学生活動である「歴らぼ」古文書班の学生たちです。前期には、古文書を一文字一文字読み解き、内容を理解する作業を進めました。夏休みには、関係各所のフィールドワークを行うとともに、パネル原稿の作成に取りかかりました。パネルは、東大阪市市制施行50の企画として行われた「プレパネル展」でお披露目しました(2017年9月20日(水)~27日(水)、於東大阪市総合庁舎)。学生の成果を多くの人に見てもらいました。(東谷 智)

本の紹介:『近代日本の海外地理情報収集と初期外邦図』

2017年2月、『近代日本の海外地理情報収集と初期外邦図』(小林茂編、大阪大学出版会)が出版されました。この本では、日清戦争までに日本軍が作製した初期外邦図の全容やその作製過程を明らかにしています。外邦図とは、第二次世界大戦以前に主に日本軍が作製した国外の地図を意味します。この本のなかで、鳴海も、2012年度の在外研究期間やその後も実施した米議会図書館や米公文書館で調べたことを書きました。現在、科研費・基盤(B)「日本における近代初期海図の集成と東アジア海域における西洋海図との相互関係」を得て、研究を進めているところです。(鳴海邦匡)

在外研究@ラオス(中辻享)

2014年度の後期にラオスに半年間滞在する機会に恵まれました。今回はこれまでに収集した空中写真を使って、ラオス北部農村の土地利用の変化を明らかにすることが目的でした。空中写真は1945年以降の7時点のものを収集しています。それを分析した上で、対象地域の人々に聞き取り調査を行い、当時の状況をあざやかに描き出そうと試みました。その結果、わかったことは1960-70年代のベトナム戦争がラオスの農村にも大きな影響を与えていたことです。当時、人々は戦火を逃げ惑ったり、無理やり軍隊にさせられたり、移住させられたり、大変な苦労をしていました。当時の人々の移住状況に関しては空中写真からも読み取ることができます。

私はこれまで十数年間同じ地域で調査を続けてきたのですが、戦争時代の状況についてはほとんど聞いていませんでした。今回の調査で、ラオス農村に対する見方が変わりました。(中辻享)

写真:ベトナム戦争時、ラオス最大の戦場となったジャール平原にて。

IMG_2612

 

 

シンポジウム「アルプスからのインターローカル・ヒストリー」開催

2015年12月20日、甲南大学岡本キャンパス5号館23号室でシンポジウム「アルプスからのインターローカル・ヒストリー―<地域>から<間地域>へ―」を開催しました。中近世のアルプスを舞台に地域と地域のつながりから歴史を見直す試みに、西洋史・日本史の研究者が参加し活発に議論しました。イタリアのミラノ・ビコッカ大学からおいでいただいたマッシモ・デッラ・ミゼリコルディアさんは、日本の山の傍でこのような議論ができて嬉しい、と神戸・岡本の感想も残していってくださいました。(佐藤公美)

歴らぼ通信

シカゴ滞在記:中町信孝

どちらかというと、アメリカはあまり好きな国ではなかった。そんな私が半年間シカゴに滞在することにしたのは、そこがアラブ史研究に関する最先端の研究拠点だったからだ。いわば仕事上の必要から、しぶしぶアメリカ暮らしに臨んだと言える。

しかし、いざ住んでみるとどうだろう。食べ物は思いのほか口に合った。街中に溢れるジャズやブルースも趣味に合った。研究上の利点は言うまでもない。シカゴっ子たちの、都会人には似つかわしくないおおらかさ、フランクさには何度も救われたし、様々な人種が入り混じって暮らす様は、自分もこの町の一員になれたような気持ちにさせてくれた。

今ではシカゴですっかり膨らんだビール腹をさすりつつ、何事も食わず嫌いはよくないと独りごちている。(中町信孝)

DSC_0297

国内研究レター@松江

9月から島根大学法文学部(島根県松江市)で国内研究を行っており、研究フィールドの一つである松江藩の研究に取り組んでいます。

松江藩を研究対象としたのは2009年からです。松江市史編集委員として『松江市史』の編集・出版を進めてきました。江戸時代で6冊の本を作る予定で、現在3冊が刊行済です。また松江市は松江城天守閣が国宝になったことで盛りあがっています。松江の歴史と文化に携わる身としてこの状況を楽しんでいます。

もう一つ、考えたいことがあります。島根県は古代から国際色豊かな地域でした。特に、世界遺産になった石見銀山は、16世紀ヨーロッパの銀需要を支える鉱山でした。銀貿易を目指したヨーロッパ勢力が日本にやってきたことにより、江戸時代の外交・貿易の体制が出来上がっていくことになります。かつて滞在したオランダから江戸時代の日本を眺めたことを思い出しつつ、世界の中の「徳川日本」に身を置いてみたいと思っています。(東谷智)

図:16世紀のヨーロッパの地図に描かれた石見銀山(Hivami)  出典:『資料で見る石見銀山の歴史』(石見銀山資料館)

img053