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2020/09/24
新型コロナウイルス

2020年度前期 コロナ禍におけるオンライン授業の実践報告(経済学部)

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経済学部より、コロナ禍において前期中に実施した、オンライン授業の実践報告が届きましたのでご紹介します。

 

経済学部の専門教育科目として2014年度に新規開設され、今年度で7年目となる「プロジェクトゼミ」は、その授業科目名に端的に示されているように、典型的なPBL(Project-Based Learning)型の授業です。

 

今年度の開講予定日は4月7日でしたが、同日、兵庫県を含む7都府県に緊急事態宣言が発出されました。実際の開講日は4月21日となり、結果的には、全15回の授業のすべてについて、Zoomを用いたオンラインで行うこととなりました。

 

「プロジェクトゼミ」の最大の特長は、甲南大学の卒業生である現役の企業経営者が講師として研究課題を提示し、履修生が、一般の人々も参加する「公開プレゼンテーション」の場で研究成果を報告することです。

今年度の講師はコクヨ株式会社代表取締役社長の黒田英邦氏(1998年、経営学部卒)であり、5月中旬に来学して授業に参加していただき、研究課題を対面でご提示いただく予定でした。しかしながら、感染の収束が見通せない状況のなか、来学していただくことは見送らざるをえませんでした。

 

黒田社長には、6月9日の第8回授業にオンラインで参加していただき、「2030年にコクヨの株価を倍にするための課題解決策及び戦略立案」という課題をご提示いただくとともに、履修生からの質問に対して熱心に回答していただきました。

 

感染拡大を防止する観点から、例年行ってきたような「公開プレゼンテーション」の実施も見送らざるをえなかったため、研究成果の発表は、7月14日の授業時間内にオンライン・プレゼンテーションによって行いました。

 

黒田社長から研究課題が提示されるまでの期間の授業では、研究の土台となる方法論に関するショート・レクチャーと個人ワークが中心でしたが、〈My KONAN〉を活用することによって、履修生に対するフィードバックを行うとともに、それを全体で共有することを確実に行いました。

黒田社長から研究課題が提示されてからオンライン・プレゼンテーションまでの期間の授業では、Zoomのブレイクアウトルーム機能を用いて、進捗の報告と共有ならびに改善策の検討のためのグループワークを繰り返し行いました。また、履修生は、授業時間外にもZoomやLINEなどを用いて、協働して課題に取り組みました。

 

いま授業を振りかえったときに、担当教員として報告しておきたいことは、次の3点です。

 

(1)    授業の到達目標と学習成果の測定方法が明確に定められており、そのことに応じて、授業が適切に構造化されている(適切な教材や課題が適切なタイミングで学生に提示される)ことが、「対面授業なのか、オンライン授業なのか」ということ以上に重要である。

 

(2)    授業で提供される価値は、「対面授業なのか、オンライン授業なのか」ということのみによって決まるわけではない。たとえば、「フィードバックが一切ない対面授業に比べれば、適切なフィードバックがあるオンライン授業の方が学生にとっての価値は高い」といったことがあるからである。

 

(3)    オンライン授業でも、アクティブラーニングは十分に実現可能である。グループ討議などは、即時性という観点からは、むろん、対面授業よりもオンライン授業で行うことの方が困難であるが、そのぶん、学生にとっては、技能を向上させるための恰好のトレーニングの機会となる。

 

(経済学部教授 寺尾建)

 

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