2022年度卒業論文・岸本真結子(髙田ゼミ):1960~70年代におけるファッション感覚の変化と女性の自立-『anan』と『装苑』の分析から-

1960~70年代は自分で作る仕立服から売っている既製服への転換の時期であり、その転換の時期に創刊した『anan』、第二次世界大戦前から続く『装苑』の2誌を取り上げ、それぞれの異なる特徴や役割について考察した。『anan』は、当時当たり前であった仕立服を一切排除し、既製服のみの紹介を行った。また既製服だけでなく、強気な文言で女性の自立を支持する姿勢や女性のひとり旅の推奨などによって、当時の女性が求めた自立・解放に大きく貢献した。『装苑』は服を作るために必要な情報を掲載した。しかしその仕立服も既製服のような新しいデザインや形が多く取り上げられ、新しい存在を無視することなく、読者に寄り添う形で紹介していた。女性の社会性や環境を大きく変える流れを作り出した転換期は、まさにファッション史における重大なターニングポイントである。

『anan』創刊号表紙(1970年3月20日号)