甲南人の軌跡Ⅰ/青木 崇光/受験よりも勉強した大学生活 | 卒業生の活躍紹介サイト | 甲南大学

受験よりも勉強した大学生活

青木 崇光

Aoki Takamitsu

三浦工業株式会社勤務

2006年 経済学部 EBA総合コース卒

趣味・特技

ゴルフ、釣り、 アウトドア、旅行、 映画鑑賞、読書など。

好きな⾔葉

Keep learning.

学⽣時代のクラブ・サークル

ホットドッグ

 私が学生時代に打ち込んだことは、英語の学習でした。EBA総合コースに入学した学生は、2回生の夏からアメリカへ留学することになっています。入学初日から、アメリカ人講師によるESL(English as a second language)の授業が1日2コマ、週5回みっちり行われました。初めはまったく何をいっているのかわからない状態でしたが、夏頃になると、少しずつ内容を把握できるようになっていきました。毎日宿題と格闘する私を見て、母と姉は、「受験勉強よりも勉強している」といっていたそうです。英語が聞こえるようになってから数ヵ月すると、今度は徐々に話せるようになってきました。それと同時に、TOEFLのスコアも少しずつ上昇していき、現地で専門科目の授業を受講できる点数に達しました。そして、2回生の夏、いよいよ留学へと旅立ちました。

 アメリカに到着して初めての壁は早々に訪れました。乗り換えの空港で、ホットドッグを注文しても通じないのです。ホットドッグとHot Dogの違いを痛感することになったのです。さらに、乗り継ぎの飛行機も大幅に遅れ、最終目的地のBuffaloに着いたのは夜中でした。そんな私たちを現地でサポートしてくれたのは、EBAオフィスの方々です。飛行場で夜中まで待っていてくれたり、受講システムや授業などでわからないことがあると丁寧に教えてくれたりしました。そういったサポートがあったおかげで、私の留学生活はとても楽しく、いろいろ貴重な体験をすることができました。

 私が驚いたのは、アメリカの大学にはたくさんの企画があることです。週末にナイアガラの滝へ観光するツアーがあったり、冬にはスキーゲレンデに行く企画があったり、それにビジネスディナーでの礼儀作法を教える企画もありました。留学をすることで、私はいろいろなものに触れ、言語の違い、文化の違いを感じ、苦しみながらも、毎日を楽しく過ごすことができました。この留学経験で触れた多様性と、アメリカ人のフレンドリーさは、今の私に大きな影響を与えています。

海外を舞台にして

 今、働いている会社は、実は姉が勤めている会社です。就職活動中、姉の「ボーナス結構出るよ。受けてみたら?」という一言がきっかけでした。調べてみると、海外戦略に力を入れており、アジア各国や北アメリカに子会社があり、これからもどんどん進出を加速させる方針だということでした。ここなら英語力を活かして仕事ができると思い、入社を決意しました。

 入社後2年間は、岐阜県の営業所でサービスエンジニアをして、会社の根幹となる事業の基礎知識を習得しました。その間も海外勤務希望を出し続けていたところ、本社の経理部に異動になりました。経理部では、国内の業務を担当して知識を深め、その後異動して半年後には、ロサンゼルスに出張して経理支援を行いました。その後は、インドネシア、シンガポールの子会社担当となり、出張ベースで子会社の経理担当者の指導、サポートを行う業務に従事しました。経理に異動してから5年が過ぎたころ、アメリカ子会社の合併、決算期変更の話があり、私が現地に赴任して処理を行うことになりました。

 ところが、決算・合併を目前に、現地の経理マネージャーとアシスタントマネージャーが相次いで退職してしまったのです。私は愕然としてしまいましたが、「これはよい機会だ!この会社の経理すべてを自分でやってみよう!自分がやるしかない!」と腹を決めて業務に臨みました。朝6時から夜8時過ぎまで、土曜、日曜も出勤し、約4ヵ月間。予定されていた監査、合併、決算期の変更をなんとか乗り切ることができました。この4ヵ月間の経験が、私の限界を引き上げ、少々のことでは動じない精神力を培ってくれたように思います。

 現在は、アメリカとメキシコを兼任しながら、カナダ、ブラジルにも時折出張して、経理面でのサポートを行っています。学生の頃にはこんな自分は想像もできなかったですが、希望どおり、アメリカへ赴任することができて、とてもよかったと思っています。

言語、専門知識、没頭できる趣味

 日本市場の縮小化が進行するなか、これからの社会人には、複数の言語+専門知識が求められます。といっても、複数の言語を習得するのは簡単ではありませんので、私はみなさんに海外旅行をしてもらいたいと思います。海外に行って、その国の言葉を少しでも覚え、現地でその言葉を使ってみてください。私は学生時代に、カナダ、フランス、メキシコ、タイ、イタリア、ドイツ、ギリシャに行きました。社会人になってからは、出張でインドネシアへ20回ほど行きましたが、少しずつ言葉を覚え、今ではタクシーに乗って好きなところへ行くことができるくらいには話せるようになりました。メキシコへも20回ほど行ったので、レストランでの注文ぐらいはできるようになりました。こういった、現地に行って言葉を使ってみるという体験をみなさんにもぜひしていただきたいと思います。もちろん、大学で第2外国語を履修することも大切です。私は中国語を選択しましたが、今でも挨拶やいくつかのフレーズを覚えていて、中国の方と会ったときには、中国語を使います。翻訳ソフトの進化などで、外国語の習得が必要なくなるといわれていますが、自分で話して通じたときの達成感は気持ちのよいものですし、それがコミュニケーションの楽しさだと思います。

 次に、専門知識についてですが、勉強だけではなく、何でもよいので何かに没頭して、人より知っていることを増やしてください。私は、大学時代に勉強に打ち込まなかったことを、今になって非常に残念に思っています。会社に入ってから勉強を始めた経理・会計については、日商簿記2級を取得しました。現在はアメリカに来て5年が経ち、英語にもだいぶ慣れてきたので、米国公認会計士の資格取得に向けた学習を開始しました。毎朝早めに会社へ行き、始業前に2時間ほど学習をしています。初めはなかなか大変でしたが、習慣化してしまえばそれほど辛くなくなってきました。みなさんも是非、何かを学習する習慣を身につけてみてはいかがでしょうか。

 その他、学生時代に没頭したのはゴルフです。文系の3回生、4回生のときには時間に余裕があったので、父の勧めもあってゴルフを始めました。初めはボールが全部右に飛んでいくのですが、しばらく練習するとまっすぐ飛び始め、まっすぐ飛び始めると、次第に楽しくなってきて、完全にゴルフに没頭しました。それまではガソリンスタンドでアルバイトをしていましたが、そこを辞めて、ゴルフ練習場でアルバイトを開始し、仕事が終わってから練習させてもらいました。1日に500球は打っていたと思います。4回生の終わりごろになると、バイト先のマネージャーから、「卒業したらうちでゴルフ練習生をして、プロを目指すのはどう?」といわれたこともありました。ゴルフは社会人になってからとても役に立ちました。社内のゴルフコンペで顔を覚えてもらうことができ、いろいろな人とゴルフでつながることができました。私の駐在人事が決まったときも、人事の副社長から「ゴルフ留学が決まったからね」と冗談をいわれたぐらいです(笑)。駐在中のアトランタでも、ゴルフを通じていろいろなジャンルの職業の方と知り合うことができ、退屈することはありませんでした。スポーツだけでなく、楽器や芸術でもよいので、何かに没頭した経験があると、社会人になったときに役に立つと思います。甲南生のみなさんの検討を祈ります。

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