甲南人の軌跡Ⅰ/後藤 亜希子/岡本と Buffalo(NY)で過ごした 4 年間 | 卒業生の活躍紹介サイト | 甲南大学

岡本と Buffalo(NY)で過ごした 4 年間

後藤 亜希子

Goto Akiko

全日本空輸株式会社 勤務

2008年 経営学部 EBA総合コース卒

趣味・特技

バレーボール

好きな⾔葉

ありきたりですが、「NO PAINS, NO GAINS」

学⽣時代のクラブ・サークル

バレーボールサークル biTs(ビッツ)

EBA 総合コースでの出会い、バッファロー大学への留学経験

 2005年4月、EBA総合コース(以下、EBA)に入学した私は、これから始まるキャンパスライフに少しの緊張と胸を高鳴らせ、6号館での新入生向けオリエンテーションに参加しました。総勢約35名、海外留学プログラムが組み込まれているコースだけあって、海外慣れした雰囲気を持った人や、話をしてみると強烈な個性と活力にみなぎった人たちばかりで、最初は少し戸惑いましたが、幸いすぐに仲よくなることができました。

 EBAプログラムの一貫として、2回生の夏からNY州立大学バッファロー校(以下、バッファロー大学)に留学しますが、その事前準備として基本的な英語での会話・読み書き・プレゼンテーションスキルや、バッファロー大学で専攻する経営学・経済学を学びます。英語が得意ではなかった私は、ディスカッションやプレゼン形式の授業に苦戦し、落ち込むこともよくありました。そんななか、いつも感じていたことは、同じ環境下でともに励むEBA生の努力と勤勉さです。授業以外ではいつも騒がしくて、ハメを外すことはしょっちゅうでしたが、自身の目標に向けてなすべきことはキッチリこなす切り替えと集中力に、大きな刺激とやる気を与えられました。

 バッファロー大学への留学中、同じ寮生や、バレーボールのチームメイトとも仲よくなり、毎日が本当に楽しく充実していました。ただ、もちろん楽しいことばかりではありません。留学してから半年経ち、少し慣れてきたので上級レベルのマーケティングクラスを受講することにしました。その授業の一貫で、受講生4名1組になって、ある商品を選び、その機能デザインを考え、販売するうえで誰をターゲットに、どのような手法で販売するか等々、いわゆるマーケティングプレゼンを実施するというものでした。数日にわたり、同じチームになったアメリカ人3名と打ち合わせをするも、英語での会話についていけず、発言できない私に対し、周りも少し気まずそうでした。プレゼン当日も40名ほどいるクラスメイトの前で緊張してしまった私は、結局チームの戦力になることができず、不甲斐ない自分に対する反省と悔しさで胸がいっぱいになりました。13年経った今でも鮮明に覚えている苦い思い出ですが、この経験は間違いなく今の自分の糧になっています。

  EBAとバッファロー大学での経験をとおして、「他人の個性を尊重し、視野を広げること」「目標達成に向け、小さな努力を怠らないこと」「慣れない場所でも挑戦し、自ら考え主張すること」を学びました。そして、ここまで学び多き4年間を過ごせたのは、何でも話せて、尊敬できるEBAの仲間たちがいたからこそだと思います。

私のシカゴ経験談
―日本の翼を海外から支える仕事―

 全日本空輸株式会社(以下、ANA)に入社して早や11年が経ち、成田空港での搭乗手続きカウンター業務から、シカゴ空港での現場管理業務、旅行代理店向けシステム提供会社(出資会社)への出向・営業業務など、さまざまな経験を経て、現在は海外マーケットにおける販路拡大・増収を目指し、中期流通戦略の策定・実行調整をする部署に所属しています。それぞれの業務で、楽しいこと、苦しいこと、やりがいを感じることはたくさんありましたが、そのなかでも、シカゴ空港での経験についてご紹介させていただきます。

 2011年7月、ANAシカゴ空港へ旅客スーパーバイザーとして勤務するよう内示を受け、赴任しました。当時課せられた役割は、シカゴ・オヘア空港で働くANAスタッフと業務委託先であるユナイテッド航空(以下、UA)スタッフのマネジメント、旅客サービスのインチャージ業務、ANA便到着から出発までの工程管理責任者(旅客・貨物・整備の準備状況を確認し、出発時間の最終調整・方針決定)でした。マネジメント業務をしたこともなければ、海外で働いたこともなかった私にとって、毎日が挑戦の連続でした。成田空港からの便は朝8:20にシカゴに到着し、その折り返し便が11:20に出発という流れに合わせて、早朝から空港オフィスにて到着・出発便の情報を確認し、対応方針決をめ、ANA/UAスタッフのアサイン表を作成後、ブリーフィングを実施し、その後、空港現場に向かいます。現場では無線機を利用して、到着便からのお客様の降機状況や、出発便のチェックイン進捗状況を都度確認し、また同じ無線機で繰り広げられる貨物係員や整備士の会話で各現場状況を把握します。シカゴは世界有数のハブ空港ということもあり、出発便を利用するお客様の約7割はアメリカ国内外から乗り継いで来られる方です。また“Windy City”と呼ばれるほど風が強く、夏は急な雷雨、冬は積雪に見舞われ、天候の影響を受けて各乗り継ぎ航空会社の到着が遅延することは日常茶飯事です。そんななか、あらゆる状況や要素を考慮し、前便遅延の旅客を待たず定刻出発をするか、それとも遅延させて待つべきかを判断することがもっとも難しく、緊張する瞬間でした。

 当時、私が常に心がけていたことは、スーパーバイザーとして現場を指揮しつつも、長く現場業務に従事するANA/UAスタッフへの感謝と敬意を忘れず、日々コミュニケーションを図ることでした。文化の違いから現地スタッフの言動やサービスは日本人が期待するものとは異なる場合もありますが、それを頭ごなしに指摘するのではなく、よい所を見つけて称賛し、同僚内で共有する“Good Job Card”制度を採り入れました。これによりチームの雰囲気やまとまりが向上し、結果として、顧客サービスの品質向上につながったと感じています。お客様から直接「ありがとう」の一言をいただくのはとても嬉しいですが、現地スタッフのサービスや気遣いに対していただく感謝の言葉は、私にとって何よりも嬉しく、やりがいを感じさせるものでした。

 任期を終え、シカゴでの思い出にふけりつつ、日本行きの便に乗って滑走路に向かう途中、機内の窓から見下ろすと、そこにはお世話になったANA/UAスタッフ社員が「ありがとう」と日本語で書かれた看板を持って手を振っている姿が見え、胸がいっぱいになりました。楽しみ、時には悩んだ日々もありましたが、改めて現地スタッフの温かい支援に感謝するとともに、あれから6年経ち、マーケティング部門に携わっている今でも「現場目線」を忘れず、業務に向き合っています。

 

これからの社会を担う甲南大学在校生へのメッセージ

 在校生のみなさんは、それぞれ充実したキャンパスライフを過ごしていることと思います。4年間は長いようであっという間、一度しかありません。出会いを大切にし、いろいろなことに挑戦してください。大学3回生になれば就職活動(以下、就活)が始まると思いますが、ここでは私自身の経験から、大学時代にやっていてよかったこと、就活生・社会人として必要だと思う要素を3つご紹介します。

 1つめは、目の前のことに必死に取り組み、共有できる友だちをつくることです。部活・勉強・サークル・バイト等、今目の前にあることにひたむきに努力して取り組むこと、喜び・楽しみ・苦労を共有できる友だちをつくることが大切です。それらの思い出や友だちは、社会人になってからもきっとみなさんの支えになると思います。

 2つめ、話す力、聞く力、発信する力を養うことです。社会に出ると会社の上司、先輩、後輩、取引先、業務委託先、お客様等、さまざまな人とかかわりを持つことが増えるため、コミュニケーション能力が非常に重要になります。自分の考えを正確かつ論理的に相手に伝えること、相手の気持ちに立って話すこと、話し手の真意を理解すること、立場や表情から意図を読み取ることは、簡単なようで、とても難しいことです。就活時だけではなく、社会人として必要な要素であり、また企業が採用したい人材像としてよく掲げられる「リーダーシップ力」にも通ずる能力だと思います。

 私もそうですが、日本人は人前での自己主張が苦手なタイプが多いと思います。たとえば、大学の講義中や就活セミナーに参加した際に質問が浮かんでも、他人の目が気になり発言できないということはないでしょうか?自分の考えを発信・質問することで、物ごとの本質を捉え、正しい判断やアクションに繋げることができます。私自身、バッファロー大学での苦い経験から、就活セミナーに参加する度に何かひとつ質問するよう決めていました。勇気を持って、一歩踏み出すことで自信にもつながると思います。

 3つめは、挑戦し続けることです。極端にいえば、失敗を恐れず「とりあえずやってみよう」という姿勢を持つか持たないかで、人生は大きく変わります。挑戦する人は、そうでない人より失敗する機会が多くなりますが、逆にいえば、「何がダメだったのか」を考え、欠点を克服する機会が多くなります。私の座右の銘でもありますが、「成長に失敗はつきもの」です。興味、探究心を持っていろいろなことに挑戦してください。

 これら3つのことは、自分が少し意識さえすれば、誰でも実行可能だと思います。ただ、それを物ごとの大小にかかわらず、「継続すること」は何より難しいです。私も大学生のときにこれらすべてが実行できていたかというと、そうではありませんが、みなさんが今後社会人になられた際にきっと必要になり、役立つことだと思いますので、是非参考にしてみてください。今後のみなさんのご活躍を心よりお祈りしています!

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