甲南人の軌跡Ⅱ/松山 里絵/甲南大学で学んだことを振り返って | 卒業生の活躍紹介サイト | 甲南大学

甲南大学で学んだことを振り返って

松山 里絵

Matsuyama Rie

广州市松山飲食有限公司 経営

2005年 法学部法学科卒

趣味・特技

読書、旅行、お酒、料理、語学(英語、北京語、広東語、フランス語)

好きな⾔葉

You are braver than you believe, stronger than you seem, and smarter than you think.

学⽣時代のクラブ・サークル

好きな事を見つけて海外に飛び出す
きっかけを与えてくれた大学生活

 私が過ごした大学生活は常に新しい目標に向かってチャレンジが続く、とても楽しくワクワクするものでした。高校まであまり触れる機会のなかった分野である法学を専攻したことが新鮮で、ゼミや授業を自分で選んでカリキュラムを組めたり、専攻の授業以外にも他学部の人と一緒に講義を受けたり、時には講義の中で先輩方の留学体験談を聞く機会があったりと、常に刺激を受けながら過ごしていたのを覚えています。

 1年次の夏休みには、人生で初めてひとりでイギリスに短期留学に行きました。たった2週間という短い期間でしたが、当時英語がまったく話せなかった私にとって勇気を出して参加した留学プログラムでした。現地では同世代のスペイン人やポルトガル人と一緒にホームステイをしました。ヨーロッパとアジアの文化の違いについて肌で感じ、また英語で上手くコミュニケーションが取れなかった悔しい経験を沢山したことにより語学をもっと学びたいという目標ができ、2年次からは、法学部の必修科目以外にも英語の授業に積極的に出席しました。

 大学の講義の中で最も印象に残っている授業は、国際政治学と、中級と上級の英語のクラスです。国際政治の講義では、ボスニア紛争や難民受け入れの問題について等、それまで遠い国のニュースだと認識していたトピックについて深く知りたいと興味を持っただけでなく、自分なりの意見や視点を持つ大切さを学びました。また先生は、レポートの提出を日本語だけでなく、英語での提出も認めてくださっていました。何でもやってみたい性質の私は、(本当に下手だったのですが…)人生で初めて英語でレポートを提出しました。レポートの出来はさておき、英語に苦手意識があってもレポートを提出できたことで自信がつきましたし、少し難易度の高い課題に取り組める学習環境にいたことで、何でも楽しみながらチャレンジできる姿勢が身につきました。

 また、中級・上級英語の講義では、インド出身の女性の先生の授業を受けたことがとても良い経験になりました。ヨーロッパ圏だけではなく、同じアジアの方の視点から語学以外にも国際性を身に付けることの重要性や、意見の述べ方等、海外で働く為のベースとなる知識を学べたことは、今でもとても役立っています。

 3年から4年にかけては、ニュージーランドへ1か月の短期留学、ゼミでのフィールドワーク、香港国際空港での海外インターンシップ、そしてかねてからの目標であったリーズ大学への交換留学を経験し、卒業後は海外を拠点とする会社で働いてみたいと思うようになりました。

楽しいチャレンジの連続

 台湾と上海それぞれの航空会社で客室乗務員として働いた後、現在は中国の広東省広州市でレストランを経営しています。

 外資系の航空会社で働いていた際に印象的だった点は、国や歴史に関係なくお互いの国の文化を尊重する土壌があるということ、また、お客様だけでなく他国のクルーからも私たち1人ひとりが、「日本人」として見られているな、と強く認識したことです。仕事に対しての責任感、礼儀作法など、海外の方から見た日本人に対してのイメージ、期待値は非常に高く、嬉しい反面プレッシャーを感じたり、考えさせられることも多々ありました。

 その後、広東省の広州市で飲食店経営にチャレンジしてみたいと思い、2年間を準備期間に当て、2013年に現在のレストランをオープンしました。現在の私のお店は6階建てで、1~4階まで約250の座席があり、5階に厨房を構える割と大きなお店です。広州は中国の中でも特に外国人の多い都市の1つです。毎日地元のお客様以外に、アフリカ、中東、ヨーロッパなど世界中からお客様がいらっしゃり、英語、北京語、広東語だけでなくアラビア語、フランス語、ロシア語までもが飛び交うとても賑やかな店です。多国籍のお客様がいらっしゃるので、メニューの豊富さだけではなく、ドリンクの温度、商品の提供の仕方やサービスについてそれぞれのお客様のリクエストに沿えるよう心がけています。日々沢山のお客様と触れ合う中、新しい発見の連続で飽きることはありません。また、初めての飲食店経営ということでマネージメント等も大変ですが、海外で何とかチームをまとめることができているのも、学生時代や航空会社での経験で培った柔軟性やコミュニケーション力のおかげだと感じています。

在学中のみなさんへ

 以上、私の大学時代の生活から現在の仕事までを簡単に紹介させていただきました。まとめて紹介させていただくと、常に目標を持って達成を続けてきた様にも見えますが、実際には失敗を何度も経てやっと実現できたことや途中で目標が変わったりしたことも多々あります。

 たとえば、私の大学生活の中で1番大きな目標であった交換留学実現までには4年もかかっていますし、航空会社への就職活動もトライアンドエラーの繰り返しの結果やっと内定をいただけました。また、留学中にどうしてもチャレンジしたい職種の就職活動があったので、面接のためにイギリスから数日だけ日本に帰国して挑戦したものの、準備不足で思った結果が出せませんでした。失敗談を話し出せばキリがありませんが、沢山失敗して経験を重ねるうちに、やりたいことがもっと明確になり、目標に近づいていることを確認しながら修正しつつ前に進んできたような感じがします。

 目の前のハードルが高すぎる様に見えても、一歩踏み込んでチャレンジしてみないと現在地からゴールまでの距離を掴むことができなかったり、またチャレンジしてみてから初めて成功のヒントを得ることも少なくありません。

 少しでも興味がわいたり、いいなと感じたり、他の人の体験談を聞いて羨ましいなと思うことがあったら、勇気を出して挑戦することがその後の大きなステップアップにつながると思います。そして、目標ができたら是非周りの人にアドバイスをお願いしたり、相談してみてください!!!私は大学在学中に目標ができると必ず友人に話したり、学部の先生に意見を伺ったり、また留学センターに相談したりして進捗具合を報告していました。発信する事で目標がより明確になり、先生方から必要な情報を紹介して貰え、親身になってアドバイスをいただき助けていただいたからです。これらは私が甲南大学で学べてよかったと感謝している理由の1つですが、さらに、この「協力者を探しだして助けてもらう」というスキルは、社会人になって、特に起業してから最も重要だと痛感した、まさに私の財産とも呼べるものです。このスキルのおかげで私は見知らぬ土地でも投資者を見つけることに成功して起業し、優秀なスタッフに助けられながら毎日楽しく働けています。

 最後に、2020年1月末から現在にかけて、広州でも新型肺炎の影響により海外と行き来することが以前ほど容易ではなくなり、経済活動も少し停滞してしまった感がありました。私もお店の営業自粛など初めて経験する問題に戸惑うことも悔しい思いをすることも沢山ありますが、これをステップアップの機会と捉え、メニュー開発やスタッフの研修、新事業の提案等、今まで以上に力を入れて仕事に臨んでいます。在学中のみなさんも、オンライン授業への切り替えや大学生活、就職活動の在り方の変化で困難な時期かもしれませんが、チャンスはいつでも身近にあります。何事にも興味を持って覗いてみてください。大学生活ほど自分で自由にプランニングできて密度の濃い時間はなかなかありません。是非楽しみながら経験値を沢山増やしてくださいね!

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