甲南人の軌跡Ⅰ/谷 直樹/ひとりの甲南人として、みなさんに伝えたいこと | 卒業生の活躍紹介サイト | 甲南大学

ひとりの甲南人として、みなさんに伝えたいこと

谷 直樹

Tani Naoki

西宮ストークス(B.LEAGUE)選手

2011年 経済学部卒

趣味・特技

ゴルフ

好きな⾔葉

好きこそものの上手なれ

学⽣時代のクラブ・サークル

男子バスケットボール部

バスケ中心、でもバスケだけじゃない大学生活

 私にとって学生時代の一番の思い出は、やはりバスケットボールです。甲南大学には指定校推薦で入学したので、実は、当初バスケを続けるかどうか迷っていました。入学後は、さまざまなクラブやサークルからの勧誘を受け、違うスポーツにも興味を持ちました。アイスホッケーサークルでは、試打会で思わぬ大活躍をしたため、本気で他の種目に転向しようかと考えたぐらいです。多くの新たな出会いがあるのは、大学生活の魅力だと思います。

 そうこうするうち、結局、小中高と続けてきたバスケを大学でも続けることにしました。チームメイトには、高校時代に県選抜で一緒にプレーした選手や、引退試合で対戦した選手もいたので、同級生8名とはよいチームをつくれたと思います。ただ、練習は大変厳しかったため、正直、何度も挫けそうになりました。そんななか、1年生の秋のリーグ戦で、試合中に右膝半月板を負傷し、半年あまりバスケから離れることになりました。手術後に麻酔から覚めたときに右膝がすぐには動かなかったので、これでもうバスケができなくなるのかと思うと自然と涙が出たのですが、そのとき、改めて自分はバスケが大好きなんだと再認識しました。

 その後、怪我から復帰し、1・2年生が出場した新人戦では、ベスト4に進出しました。当時40年ぶりの快挙ということでしたので、私にとっても大きな自信になりました。しかし、残念ながら、関西リーグでは2部に降格することとなり、責任を感じました。3年生のときには、2部なら十分戦えるだろうという油断からか、なかなか結果を残すことができず、1部に昇格することは叶いませんでした。自分たちの代で1部に再昇格をと考えていたので、悔しい思いをしたのを覚えています。

 4年生のときには、成年国体のメンバーに選出されました。自分が選ばれてよいのかという気持ちもありましたが、大学で同年代と経験するバスケとはまた違ったバスケを楽しむことができました。メンバーは社会人がほとんどで、なかには、大学生で後にプロで一緒にプレーすることになる道原紀晃選手(大阪商業大学)や松崎賢人選手(拓殖大学)が居て、彼らと一緒にプレーする機会を得たことは、私にとってとてもよい思い出になりました。国体では全国3位となり、よい結果を残すことができました。シュートを打って点をとるのが自分の役割でしたが、周りがうまく自分を活かしてくださり、プレーさせてくれたことがすごく楽しかったことを覚えています。学内外を問わず、よい経験ができたことが大学時代の財産です。

 在学中に体育館の空調設備が完備され、練習環境も随分よくなりました。さらに、年に1回、バスケットボール界で有名なコーチが指導に来てくださり、清水良規さん、天日謙作さん、それに小野秀二さんといった、日本で名だたるコーチに指導してもらえたことも、当時の私にとっては大きな刺激となりました。また、クラブの合宿で、OSGや三菱電機といった実業団チームとの試合で腕試しをさせていただく機会もありました。当時、三菱電機には甲南大学バスケットボール部OBの川辺泰三さんが在籍されていて、日本のトップレベルでプレーしている先輩の姿は大変刺激になりました。

ゼミ活動も学生時代のよき思い出です。環境経済学のゼミに所属し、どうすれば六甲山に多くの人が足を運ぶようになるかを研究テーマとして、多くのことを学びました。使われていない保養所を活用すればもっと人が来るのではないかなど、ゼミ生でさまざまなアイデアを考えながら、楽しんで学ぶことができました。バスケ中心の大学生活でしたが、かといってバスケだけにならず、ゼミ活動にも積極的に参加し、今思えばバランスのよい大学生活を送ることができたように思います。

プロバスケットボール選手であるということ

 私は、現在、兵庫県唯一のプロバスケットボールクラブとして、B.LEAGUEに参戦している西宮ストークスに在籍しています。私のポジションはスモールフォワードで、主に3ポイントシュートを武器に、得点をとる役割を担っています。また、2年連続でチームキャプテンを務めています。

 プロ選手になったきっかけは、2011年に兵庫県にプロバスケットボールチームができるということを聞き、バスケットボール部のコーチから参加を勧められたことでした。当時、一般企業への内定が決まっていましたが、高校時代に一緒にプレーした選手が入団したことに刺激を受け、プロ入りを決めました。ストークスに入団してから今年で8年目となります。

 プロ選手は結果を残すことがすべてですし、応援してくださるファンのみなさんあってのプロ選手だと思っています。ですから、ファンのみなさんに満足していただくにはどうすればよいかを日々考えていますが、明確な答えが出せていないのが今の悩みです。とくに、プレーで結果を残せていないときほど、自分はチームにとって必要な存在なのかと落ち込むこともありますが、そういうときこそ、一所懸命練習し、日々努力して、よいプレーをして見返すしかないという気持ちを強く持つようにしています。結果が出ていないときこそ、応援してくれるファンのみなさんのことを考え、みなさんの期待に応えられるよう頑張ろうと思っています。

 プロバスケットボール選手は、試合会場が体育館という限られた空間でプレーするので、ファンのみなさんとも物理的な距離が非常に近く、応援の熱がひしひしと直に伝わってきます。一緒に喜び、一緒に落ち込み、自分の頑張りや活躍で多くの人を笑顔にできるところにやりがいを感じています。 私の座右の銘は、「好きこそものの上手なれ」です。大学時代に怪我をしてバスケができなくなりそうになったときに改めて気づいた「自分はバスケが好きなんだ」という気持ちを、日々忘れないようにしています。

後輩のみなさんに伝えたいこと―可能性は無限大―

 私の大学生活はバスケが中心でしたが、ゼミ活動にも積極的に取り組み、充実した大学生活でした。ただ、他方で、海外への留学など、もっといろいろな経験をしておきたかったなとも思います。人間関係もバスケ部の仲間との狭い世界を中心に過ごしていたので、もっと多くの人に出会い、交流の輪を広げておけばよかったなと、今振り返るとそう感じます。

 後輩のみなさんには、やってみたいと思ったことをできるだけたくさんやっておくことをお勧めします。人は経験した分だけ、世界が広がります。さまざまな経験を積み、多くの学びを得ながら、長い間バスケを続けてきた結果として、私はプロバスケットボール選手になることができました。私自身、プロスポーツ選手になるなんて想像もしていませんでした。人生にはどんな出会いや展開が待っているか、誰にもわかりません。自分の可能性は広げられるだけ広げる、そんな努力をしておいた方がよいと後輩のみなさんにはお伝えしておきたいと思います。

 最後に、さまざまな経験をするということのひとつとして、日本のプロバスケットボール、西宮ストークスのホームゲームをぜひ一度観戦してもらえたらと思います。プロスポーツ観戦を通じて、競技としての面白さだけでなく、会場で応援するみなさんと掴みとった勝利の感動や、音楽やファンのみなさんの声でつくり出す会場の一体感、そして選手たちが勝利という1つの目標に向かってチーム全員が全力でプレーする姿を是非見てください。応援してくださるみなさんに、少しでも元気をお届けできればと思います。


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