歴たび班:京都御所と上賀茂神社

 2023年5月28日に歴史の旅企画班の見学会に参加し、京都御所と上賀茂神社に行きました。京都御所では、紫宸殿や豪華な装飾の施された門などを見学し、御所の規模の大きさを感じました。また堺町御門や蛤御門など幕末において重要な舞台となった場所に行きました。幕末に起きた禁門の変という戦争のときの弾痕が残るとする蛤御門から京都御所の中心まで実際に歩き、その距離が意外に近いと感じれたことがとてもおもしろかったです。なかでも建礼門の大きさや装飾は圧巻でした。京都御所にある門のひとつひとつに特徴があり、それらを巡りながら見比べるという作業もとても楽しく、参加して良かったと感じれる場所でした。(一回生・坂本朋磯)

 続いて上賀茂神社では、特別参拝として本殿を参拝しました。上賀茂神社の正式名称は賀茂別雷神社といいますが、その賀茂別雷神社の由来である神話を描く絵が直会殿にあり、見学することが出来ました。神話というだけあって幻想的に描かれ、より一層神社に興味を抱きました。特別参拝では本殿・権殿の正面にも行くことができます。特別な場所である権殿の造りを間近で拝見できたので、満足感に浸りました。しかし特別参拝はそれだけではなく、高倉殿に入ることができ、御神宝や孝明天皇行幸絵馬などの特別な展示物を拝見できました。様々な貴重な展示物があり、驚きや感動でいっぱいでした。今回の参拝では、上賀茂神社の知らないことを多く学べ、より考えを深めることができたのが大きな成果でした。(一回生・加島昌昇)

歴文的部活動の紹介03:人文地理学研究会

甲南大学の文化会にあたる「人文地理学研究会」では、地理情報をもとに地域の観光や成り立ちの調査を行っています。現在は1年生から3年生の部員で構成されており、標高をもとにした地形図の作成や、対象地域の産業から観光など様々な分野について部員それぞれが調べています。毎年の文化祭では地理模型の作成を行うなど、地理や観光について楽しみながら活動しており、地理や観光に興味のある方にはとてもおすすめの部活動です。昨年度は淡路島の模型を作成し、その中で特に南あわじ市の地理観光について調査しました。今年の文化祭でも地理模型を作成予定なので、ぜひ足を運んでみてください。(4回生・前田彩花)

「れきぶらまっぷ」展を開催中

現在、「れきぶらまっぷ」展をギャルリー・パンセ(5号館1階カフェパンセ前)にて開催しています。この展示は、文学部・歴史文化学科の学生有志による歴らぼ探検隊(メンバー13名)が作成した 「れきぶらまっぷ1&2」を紹介するもので、 その作成には2022年甲南大学父母の会・学生GP企画「甲南大生の為の歴史文化的ガイド@岡本界隈:歴らぼ探検隊、地図を作る」の支援を受けました。展示の期間は5月22日(月)のお昼までです。展示では作成した地図の配布も行っています。みなさんも「れきぶらまっぷ」展を見にギャルリー・パンセに来てみてはいかがでしょうか。(4回生・前田彩花)

歴たび企画班:中之島香雪美術館

2023年4月22日(土)、歴史の旅企画班の第一回巡検として、大阪の中之島香雪美術館の「修理のあとにエトセトラ」展へ行きました。初めての試みでしたが、多くの新入生が参加してくれました! 今回の展覧会は「文化財の修理」に焦点をあてた内容で、文化財を後世に守り伝えていくための取り組みを様々な展示品を通して観ることが出来ました。絹本着色の絵画の裏彩色や、一木造の仏像の修理など、その精巧な技術の数々から文化財修復の難しさと熱意を感じ取り、学ぶことの出来るとても興味深い展覧会でした。個人的に印象的だったのは木造薬師如来立像で、どこかエキゾチックな顔立ちや不規則に刻む衣文が魅力的。これほど見事な仏像ながら伝来が一切不明というのも面白いと感じました。(3回生・山田伊吹)

歴文生訪問記:台湾紀行③台湾に残る神社の跡地

1895年から1945年まで、台湾は日本の領土でした。そのため、台湾各所には日本統治時代の史跡が残されています。代表的なものとして、台北にある旧台湾総督府庁舎(現・中華民国総統府)をはじめとする建築物が挙げられますが、それ以外にも様々な史跡を発見することができます。中でも神社跡地は興味深いものでした。日本時代、台湾各地には250を超える神社が建立されたため、意外と簡単にその跡地を見つけることができるのです。2023年3月に訪問した「金瓜石神社」跡地は、1940年代に奉納された鳥居や灯籠が原型を留めていることから、著名な神社跡地として知られています。(3回生・大槻耕央)

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歴文生訪問記:台湾紀行②台南の歴史と文化

2023年3月に台湾・台南を訪問しました。台南は台湾本島最古の都市であり、「台南に行ったことがなければ、台湾に行ったとは言えない」と表現されるほどに台湾文化の「源流」とも言うべき史跡が点在しています。明・清代に建立された孔廟・祀典武廟などの道教寺院はその代表格と言えるでしょう。これらの寺院は現在も台南の人々から篤い信仰を集めており、線香や冥銭などを用いた伝統的な参拝が行われています。加えて、台南の地に台湾史上初めて漢民族の政権を建てた鄭成功に関する史跡や彼を祀る寺院も、台湾文化の「源流」と言わしめる台南を象徴するものであったと感じました。(3回生・大槻耕央)

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歴文生訪問記:台湾紀行①概要

私は、2023年3月に2週間ほど台湾を訪問し、台湾各地の巡検を行いました。台北以外の地域にはほとんど訪問したことがなかったため、今回は台南・高雄・台東・九份・台中・南投などの地方都市巡りに重点を置き、それぞれの地域で気候・風土・人々に触れる機会を設けました。中でも台東・南投では台湾原住民の方々と交流する機会があり、彼らが古来より独自の文化を育み、伝えてきた様子を知ることができました。また、台南などの中華文化圏では漢民族による伝統的な風俗習慣、信仰や言語などの文化を体験し、理解を深めました。加えて、各地に残る日本統治時代の史跡を訪問し、かつての日台関係を再認識するとともに、現地で親しくなった方々への聞き取り調査も可能な範囲で実施し、台湾近現代史を生身で学習することができました。機会があれば、また訪問したいです。(3回生・大槻耕央)

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第3回甲南大学西洋史研究会開催

甲南大学のなかで西洋史を深く学びたい人たちが集う研究会を昨年から開催しています。教員だけでなく、学生も一緒になって、本学の西洋史研究を発展させようという意図です。3月24日(金)には第3回目の研究会が開催されました。吉本淳哉氏(2年生)が、「近代スペインと「自由主義」―カディス憲法を中心として―」と題する報告をし、林孝洋氏(本学非常勤講師、イタリア近代史)からヨーロッパ近代史における自由主義と憲法の理解に関するコメントをいただきました。また、阿久根晋氏(本学非常勤講師、ポルトガル近世史)にも討論に加わっていただきました。学生たちも鋭い質問を投げかけ、積極的に討論に参加し、充実した会となりました。今後とも、不定期ではありますが、研究会を継続していくつもりです(教員・髙田 実)。

2022年度卒業論文・山城理奈(佐藤ゼミ):軍書における浅井長政の評価の比較

私は、戦国時代の北近江(現在の滋賀県)を統治した浅井長政について研究しました。現代において、浅井長政は織田信長の妹である市を娶った後、信長に背いた「謀反者」として広く知られています。長政は文武に秀でており信長と互角に戦い、周囲に大きく影響を与えました。私は、成立期の異なる軍書である『信長公記』『信長記』『浅井三代記』の三冊を比較し、引用の部分や表現の異同を調べ、浅井氏の評価は著者ごとにどう異なり、どう変化していくのか考察しました。また、先行研究との評価の違いも自分なりに考察しました。比較のため史料の重要な部分はエクセルで一覧表を作り、別表として論文に添付しました。大変で時間のかかる作業でしたが、こだわったことで満足のいく論文となりました。

近藤瓶城 編『史籍集覧』第6冊,近藤出版部,大正8. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3431173 (参照 2023-03-08)

2022年度卒業論文・平松万奈(髙田ゼミ):フランス三色旗の誕生と変容-デザインとレトリックの視点から-

本論は、大きく大革命期、19世紀、第二次世界大戦期に分けて構成されており、三色旗の誕生とそれからの変容をデザインとレトリックの視点から論じている。フランス三色旗の誕生は、フランス大革命期にまで遡る。この標章はパリで生まれたが、「革命祭典」という場によって国全体に広められていき、この3色がフランスにふさわしいということで国旗に定められた。ただ実際に、「国民」全体に三色旗が定着したわけではなかった。ここで重要になったのが、国旗をめぐる人々の「衝突」である。三色旗には、対抗関係にある標章が存在しており、それが「白旗」と「赤旗」であった。本稿では、これらとの衝突の度に、三色旗が人々に記憶されていき、徐々に三色旗が定着されていったと主張する。

H.F. フィリッポトー『1848年2月25日、市庁舎前で赤旗を退けるラマルティーヌ』(1848年頃) ※サイト「Paris Musées Collections」より