親子関係支援を通して子どもの健康な発達を促進する | KONAN Action for SDGs|甲南大学|甲南大学
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文学部 人間科学科 教授 北川恵

親子関係支援を通して子どもの健康な発達を促進する

 安全と安心は誰もが最優先で求めることである。自分ひとりでは手に負えない危機的場面で、信頼できる他者に保護や慰めを求めるアタッチメント欲求は、人の生涯にわたる基本的欲求である。対処能力が限られている子ども時代は、養育者にアタッチメントを満たしてもらう必要性が高く、それに応えてもらい、安全・安心に満ちたアタッチメント関係を育むことがその後の健全な心身の発達の基盤になることが、発達心理学の縦断研究によって示されている。

   

 このような知見に基づいて、アタッチメントの質を高めるための親子関係支援が開発されてきた。Circle of Security Parenting program(Cooper, Hoffman, & Powell, 2009)はその一つであり、介入効果が実証されている。養育者を対象に、子どものアタッチメント欲求への理解と応答性を高めることを目標として、心理教育を行うと同時に、養育者の気持ちを支える対話を行う内容を全8回で行う。北川ら(2013)はその日本語版を作成し(「安心感の輪」子育てプログラム)、日本での実践、効果研究、ファシリテーターの養成や研修などを行ってきた。

   

 より多くの子どもと養育者のもとに親子関係支援を提供することで、養育者にとっての質のよい心理教育、子どもにとっての健康な発達を促進したい。

   

Cooper, G., Hoffman, K., & Powell, B. (2009). Circle of Security Parenting: A relationship-based parenting program. Facilitator DVD Manual 5.0. Spokane, WA: Circle of Security International. (北川恵・安藤智子・松浦ひろみ・岩本紗耶佳(2013)「安心感の輪」子育てプログラム.認定講師用DVDマニュアル.日本語版1.0)

研究者紹介

北川恵

文学部 人間科学科 教授

北川恵