音声障害の訓練を支援する技術の開発 | KONAN Action for SDGs|甲南大学|甲南大学
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知能情報学部 知能情報学科 教授 北村達也

音声障害の訓練を支援する技術の開発

音声障害の治療においては、自宅での日常的な発声訓練が極めて重要です。しかし、その効果が現れるためには数ヶ月に及ぶ継続が必要と言われていますが、単調な訓練を毎日続けるのは容易なことではありません。一方で、発声訓練を指導する医師や言語聴覚士にとっても、患者が自宅で正しい方法で訓練しているかを知る方法がないのが現状です。

 

本研究では、チューブ発声法という発声訓練法を対象にして、ゲーミフィケーション(ゲームの楽しさを学習や訓練などに活かす手法)を導入し、さらに訓練の状況をクラウドを用いて医師や言語聴覚士と共有する技術を開発しています。チューブ発声法では、ストローに声を吹き込むような発声を繰り返し行います。本研究では、声によるストローの振動を計測し、それによってスロットゲームなどで遊ぶことができるシステムを開発しました。患者は、このゲームで遊んでいるだけで、知らず知らずのうちに正しい方法で訓練を行うことができます。また、訓練の継続にも効果があります。

 

今後は、ゲームのスコアをクラウドにて管理する機能を開発する予定です。これによって、医師や言語聴覚士との情報共有が容易になります。このような機能が使えるようになれば、自宅の近くに音声治療の専門医がいないような患者でもネットワークを活用して治療に取り組むことができます。また、訓練継続の状況に応じて患者のスマートフォンに訓練を促すメッセージを自動送信する機能や他の患者とスコアを競い合う機能なども実現する計画です。これによって、訓練の継続性を高めることができると考えています。

 

本研究により、誰もが手軽にかつ楽しく音声治療を行うことができ、声の健康を保つことができる世界を実現します。

 

▼参考HP

https://researchmap.jp/ttyktmr/

研究者紹介

北村達也

知能情報学部 知能情報学科 教授

北村達也