NPOにおけるボランティアの参加型運営に関する研究 | KONAN Action for SDGs|甲南大学|甲南大学
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全学教育推進機構 全学共通教育センター 特任准教授 岡村こず恵

NPOにおけるボランティアの参加型運営に関する研究

   

 国政選挙の10~20歳代の投票率は約3~4割と他の年代と比較して依然低調である。また、さまざまな社会問題を取り扱うボランティア活動の10~20歳代の行動者率は約2割とこの20年で大きな変化がなく、コロナ禍で活動が制限された2021年には1割に落ち込んだ。さらに、ボランティアを目的とする団体や特定非営利活動法人(NPO法人)に所属してボランティア活動に参加する人は、町内会などの半数にも満たないとの指摘がある。一方で、社会的問題の解決への若者の関心の高さを示す調査結果もあり、各地で実施される「ソーシャル」な活動に関するイベントや教育プログラム等は盛況が伝えられている。こうした状況は、ボランティア活動やNPO(民間非営利活動団体)は、社会的問題の解決に関心をもっている若者の社会的受け皿に充分なり得ていないことを推測させる。

      

 そこで、社会参加の一つの回路であるNPOでのボランティア参加の意味や参加形態の歴史的変遷をたどり、あらためて参加の現代的意味やその促進方法を明らかにすることは、人々の社会課題への関わりを促すうえで重要な示唆を与えるだろう。特に、団体の意思決定への参加のあり方を明らかにすることは、単に団体の手足となって参加するだけでなく、参加する一人ひとりの意志を表明し行動するという、より関与度の高い参加の促進につながることが期待される。

   

 具体的には、NPOのボランティアとしての運営への参加の回路を市民参加の一つの手法ととらえ、ボランティアの参加を促しながら運営するあり方をNPOの参加型運営と位置付ける。そのうえで、現在、参加型運営の長年の実績がある団体や、若者の参加実績のある団体へのインタビュー調査やアンケート調査によって、NPOでのボランティア参加の現代的意味をあらためて問い直すとともに、参加を促進する手法や組織文化等を明らかにする。

   

 NPOを、人々を動員する政治的な道具にするのではなく、一人ひとりの基本的人権を擁護し、より平和で公正な社会を実現するための活動の場としての参加の可能性を明らかにする。

研究者紹介

岡村こず恵

全学教育推進機構 全学共通教育センター 特任准教授

岡村こず恵