甲南人の軌跡Ⅲ/福田一夫/些細なきっかけ、偶然の出会い | 卒業生の活躍紹介サイト | 甲南大学

些細なきっかけ、偶然の出会い

福田 一夫

Fukuda Kazuo

株式会社エフエム大阪 編成局編成制作部 大阪マルチメディア放送 常務取締役

1983年経済学部卒

趣味・特技

音楽鑑賞、 スポーツ観戦、 ドローン飛行操縦

好きな⾔葉

コミュニケーション力

学⽣時代のクラブ・サークル

偶然による就職

 今思い返してみても、あの日、なぜ私は大学に行ったのか、まったく憶えていません。

 4年生の11月になったころでした。10月のうちに企業から内定をいただいて就職活動を終えていた私がその時久しぶりに登校した際、たまたま正門のところで友人に出会いました。その友人が誰だったかということもまったく憶えていません。お茶でも飲みに行くかと言ったところ、その友人がその前に就職指導部に行くと言ったので、それに付き合いました。

 友人が就職指導部の方と話をしている間、何をするでもなく求人欄を眺めていました。その時、株式会社エフエム大阪(FM大阪=FMラジオ局です)の求人を見つけました。11月なのにこれから募集ということでした。私はすでに別の会社に内定をもらっていましたので、普通であればスルーするところです。でもその時、なぜか「面白そうだな」と思ってしまいました。そして「ダメもと」で受けてみたら、なんと内定をいただいてしまいました。大学時代に放送関係のクラブ活動をしていたわけではありませんし、アナウンスの勉強をしていたわけでもありません。特にマスコミに興味があったわけでもありません。本当に不思議な出来事だったと今でも思っています。

 この相当に偶然な出来事によってFM大阪に入社した私は、それ以来の40年間をマスメディアの世界で過ごし、現在も関連会社の役員兼務として勤務しています。結果として、本当に自分に合った仕事であったと思っています。
 また、実はここ数年、縁あって甲南大学と仕事で関わらせてもらっています。あの時のあの偶然が、ある種運命的なことであったのかもしれません。FM大阪に勤めたからこそ、卒業後に仕事で甲南大学と関わりを持つようになったというか、卒業後にも甲南大学と関わりを持てるように、何か見えざる手が働き、私をFM大阪に入社させたのかとも思えてしまうのです。

偶然による仕事での母校との出会い

 FM 大阪に入社後、番組制作から始まってさまざまな部署で仕事に従事しました。そして自分のサラリーマン人生の終盤に差しかかったところで、これもかなりの偶然で、甲南大学との新たな出会いがあり現在に至っています。

 今から5、6年前のことです。「福田さん、甲南大学でしたよね。」と、取引先の方から、甲南学園総務部の谷向次長を紹介されました。しかも谷向さんは、学生時代にFM 大阪でアルバイトされていたとのこと。アルバイトされていた時期は、私は東京支社に勤務しておりましたので、当時はすれ違いだったのですが、紹介してくれた方そっちのけで大いに盛り上がりました。

 そしてこれも偶然なのですが、その直後、FM 大阪が加盟するFM 局のネットワークであるJFN(Japan FM Network)の企画で、学生さんが自分の大学をPR するCM のコピーを作るコンテストがありました。応募を増やすために、「ダメもと」で、甲南大学のご協力を谷向次長にお願いしたところ、全学共通教育センターの武田先生をご紹介いただき、武田先生の授業で取り扱っていただけることになりました。武田先生の授業には何度かお邪魔させていただき、企画のコンセプト等を説明する機会をいただきました。

 この件、もし谷向次長との出会いがなければ、母校とはいえ、甲南大学にコンテストへの参加をお願いしようなどとは考えなかったでしょう。それをきっかけに毎年、JFN ラジオCM コンテストには多数の学生さんに応募いただいています。一昨年からは、マネジメント創造学部の青木先生のクラスでもご参加いただくようになりました。

 甲南大学の学生さんによる作品は、2022年を含め3年連続で近畿地区の優秀賞を受賞しています。受賞作品は、実際にそのコピーに沿ってCM を制作しオンエアされますので、学生さんにはFM 大阪のスタジオに来ていただき、CM の収録、編集に立ち会っていただいています。自分の後輩の学生さんが作ったCM コピーをもとに、実際にオンエアする母校のCM 素材を制作するわけですから、甲南大学OB として本当に嬉しく、誇らしい気持ちになります。また、その収録現場は、学生さんから普段の学生生活についてのお話を聞いたり、私が学生当時の昔話をしたりといった楽しい時間でもあります。

 このように相当な偶然でFM 大阪に入社することになり、サラリーマン生活の最後に関わっている仕事の1つが、母校の方々(学生さんだけでなく、先生方、職員の方)と関係したものだというのは、何度も言うようですが運命的なものを感じます。先日は別の番組企画で、取材のお願いもさせていただきました。甲南大学とのお付き合いがまた深まりました。本当に不思議な気持ちです。

「面白そう」、「興味あり」、「ダメもと」で、何かが起こるかも。

 還暦を過ぎて、自分の人生を振り返る機会ができて思うことは、日々の暮らしの中で起こるちょっとした出来事の中で、ほんの少しではあっても積極的に選択したものが、結果として今の自分自身を作り上げたんだなぁということです。

 これは決して、人生は常にチャレンジだなどと大げさなこと言っているわけではありません。今回は、在学中のある1日に偶然起こったことによって就職が決まり、そしてその会社に定年まで勤めることになり、その中で仕事として甲南大学に関わることになった話をさせていただきました。当たり前のことですが、この他にも、今回のような、さまざまな場面で起こったいくつもの些細なエピソードで私の人生はできています。些細なきっかけで始めたことや、ある人との出会いが、今こうなっているというエピソードは数え切れません。そしてこれからも、もう少し続いていくと思います。

 日々の暮らしの中での些細なこと、ちょっとした選択のうち、その時、「面白そう」、「興味あり」、と感じたことに「ダメもと」でも素直に従ったことは、自分自身にとっては一歩か半歩か、ほんのわずかでも前に進んだということですから、それがひとつひとつ積み上がって自分自身の人生を作っていくということなのでしょう。

 これは私に限った話ではありません。学生の皆さんにはこれから大きな未来が広がっています。皆さんもそれぞれ、毎日のごく些細な出来事が、将来の自分に何かをもたらしてくれるかもしれません。大それたことを考える必要はありません。時には一番前の席で講義を受けてみる、興味があることを先生に質問してみる、また、勉強だけでなく、今までやったことがないアルバイトをしてみる、気になるアーティストのライブに行ってみる、お店に入ってみる、さらには友人からの誘いに付き合うといった、もっと些細なことも含めて、それがきっかけで、何年後どころか何十年後に、思いもよらない何かが起こるかもしれません。そう考えると面白いですよね。


発行日:2023年3月30日

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