甲南人の軌跡Ⅲ/阪部剛規/二度目の甲南大生からのメッセージ | 卒業生の活躍紹介サイト | 甲南大学

二度目の甲南大生からの メッセージ

阪部 剛規

Sakabe Takenori

株式会社イモラボ 代表取締役社長/ 甲南大学履修証明 プログラム履修生 (リカレント教育履修生)

1994年経営学部卒

趣味・特技

トレイルランニング

好きな⾔葉

浜までは海女も蓑着る 時雨かな

学⽣時代のクラブ・サークル

greenfield

「2回」の学生生活の思い出

 大学入学時は生まれ育った和歌山から初めて神戸での一人暮らしが始まり、少しの不安はありましたが、すぐに大学の雰囲気、岡本の街の雰囲気が好きになり、ワクワクしながら大学生活をスタートしたことを思い出します。
 入学前の経営学部のオリエンテーションでお世話になったチューターさんにすすめられるがままに、「greenfield」というアウトドアサークルに入部しました。そのサークルで普段はジョギングやトレッキング、いろいろなスポーツを楽しみ、夏休みにはイベントとして、隠岐の島、礼文島、西表島などに行き、キャンプを楽しみました。当時、iCommonsの建っている場所に学生会館があり、そこに部室がありました。部室に行けば必ず先輩や後輩がいるという嬉しさと、自分の居場所があるという安心感を持つことができ、居心地の良い空間で多くの時間を過ごしました。
 アルバイトはありきたりのものではなく人と違った経験をしようと思い、当時国道2号線沿いにあった「マック体操教室」で、幼稚園児や小学生を相手に鉄棒や跳び箱を教える先生を4年間続けました。子どもたちを安全に楽しく、できなかったことをできるように指導することに、やりがいを感じました。保護者の方との会話も大人への第一歩として大変勉強になりました。
 残念ながら、勉強を頑張ったという記憶はほとんどなく、卒業できるぎりぎりの成績でしたが、甲南大学と岡本の街を満喫しながら、「ここが好き」という感覚がますます大きくなっていく日々を過ごしました。

 実は私には2度目の甲南大学での学生生活の思い出があります。2021年4月からスタートした甲南大学のリカレント教育「人生100年時代の学びプログラム」を受講したからです。もう一度学生に戻っての学びは新鮮で楽しく、今までの自分の経験と教えていただく理論や知識が繋がり、深く理解できるという学びを経験することができました。私は「ネクストキャリアをどう生きるか」というコースを選択し、年齢もキャリアもライフスタイルもまったく違うクラスメイトとともに、残りの長い人生をどのように組み立てていくかを学び合い、発表し合い、切磋琢磨しました。現役学生の皆さんと同じ授業で学ぶ機会もあり、現役学生とリカレント履修生が意見をぶつけ合い1つの答えを作り出すという経験もしました。2度の甲南大生としての思い出を持ち、不思議な感覚を味わうとともに幸せを感じています。

「変化」し 続けるために 

 現在までいろいろな仕事に携わり、また役割を変えながら働いてきました。学生時代は「アルバイト」という役割で働きました。大人の入り口、社会の入り口という実感があり、働くことの楽しさを知りました。ただ、今思うと当時は責任感は足りておらず、職場のため、お客さんのためという発想が乏しかったように思います。就職活動を経て「正社員」として働いた時は、自分の役割に対する責任感は持っていたとは思うのですが、会社の将来や他の従業員のことまでは考えることができず、自分の実力は棚に上げ、会社の愚痴や不満をこぼしていました。3年間の「サラリーマン」を経て、祖父の代からの家業である鉄工所の「跡継ぎ・後継者」として働き始めました。30代半ばで「経営者」になり、責任が大きくプレッシャーに圧し潰されそうになりながらも、自分が頑張れば頑張るほど成果も上がり、やりがいも大きく、充実した仕事の日々を送りました。
 その後経営環境の変化や、自分の適性を考慮して40代半ばで鉄工所を廃業し、新たな仕事を「起業家」として始めました。起業するにあたり、学生時代大好きになった岡本という場所で、学生時代のサークルの仲間と仕事をすることを決めました。現在、「greenfield」というお店を拠点に、「岡本の街の人を健康にする」仕事をさせていただいています。
 私のビジネスキャリアは、このように変化に富んだものになりましたが、時代の流れが速く、人生100年と言われるこの時代、まだまだ変化し続けなければならない環境が続くでしょう。また、変化に対応するための学びが常に求められます。一方で、次のキャリアのための即戦力になる知識やスキルを習得することも大事ですが、人生を根本的に見直す場もまた必要なのではないかと思います。履修したリカレント教育での私の卒業発表は「自分流生涯現役を考察する」というテーマでした。いつまでも健康で、自立して、何歳になっても働き続けるにはどうすればよいか、働き方のスタイルをその時々でどのように構築するかなどを考察しました。自分の生活のために働く「カセギ」から社会や次世代のために働く「ツトメ」に少しずつ移行していく働き方なども理想的であると考えました。そういう意味で、今の仕事を良い方向に進めるとともに、2022年9月より甲南大学で開講した「ソーシャルビジネス・アントレプレナー育成プログラム」を受講し、再び学び始めました。働きながら学ぶことは、キャリアデザインを考えるためにはもちろん、ライフデザインを考えるうえでも非常に大切であると、甲南大学のおかげで実感できました。

「好き 」という気持ちに素直に

 1 年間、リカレント教育を楽しく履修したのですが、実は学生としてのみならず、現役学生の皆さんの前でゲストスピーカーとして教壇に立つという貴重な経験もさせていただきました。「ベーシック・キャリアデザイン」という授業の中で、「大学生のころの自分に向けたビデオレター」を作成して発表するというものでした。その時の内容が以下のものです。
 『今、適当に楽しんでいることや、好きと感じていることが実は全部30年後の未来に繋がっているのですよ。紆余曲折を経てですが、30年後の現在、楽しくてしょうがなかったアウトドアサークル「greenfield」の後輩数人と一緒に、大好きになった岡本で仕事をしているとは思いもよらなかったで
しょ。引き続き、自分の「楽しい」「好き」という気持ちに素直に、一瞬一瞬を大切に真剣に学生生活を楽しんでください。勉強については意欲がなく、卒業ギリギリの単位数で悩んでいると思いますが、30年後は勉強が好きになって、もう一度甲南で学び直しの大学生活を送っているのでご心配なく。さて、次の30年後は80歳、また、今この現在と繋がっているのでしょうね。ということは、今を真剣に生きないといけませんね。では、またね。』

 現役学生の皆さんに、2点だけメッセージを送りたいと思います。
 学生時代の人との繋がりや経験、それらを通して感じた思考や感情が未来の自分を作っていくと私は思います。学生の時の「好き」や「居心地の良さ」が今の私の生活や、仕事に影響しているのは前述の通りです。学生の皆さんには、まだ実感しにくいと思いますが、今が未来と同じ直線上にあることを少しでも心の片隅に置いて、今を大事に丁寧に、「好き」という感覚に素直に過ごしてください。
 もう1つは、リカレント履修生を上手に使ってくださいということです。甲南大学のリカレント教育がスタートし、私も1期生として学ばせていただいたのは前述の通りですが、学生の皆さんは多くのキャリアと経験を持ったリカレント履修生が同じキャンパス内、教室内にいるのですからぜひ、気軽に声をかけてお話ししてみてください。リカレント履修生は、現役学生に相談されることを嬉しく思う、次世代のことを考える優しい大人が大半です。

 将来的にはマルチステージの人が混じり合い、すべての学生が高め合っているような素敵な甲南大学が目に浮かびます。皆さんで良い大学を作り上げてください。期待しています。

発行日:2023年3月30日

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