今日の生涯スポーツでは「マスターズスポーツ」に代表されるように、高齢になっても自らの達成力向上を目指す活動が盛んになってきています。本研究は、「生涯スポーツとしての達成スポーツをどのように楽しむことができるのか」という問題意識の下で、研究代表者の専門種目である「体操競技」を事例として「生涯スポーツとしての体操競技における動感化現象」の内実解明を試みます。

　生涯スポーツにおいては、加齢に伴い、若い頃と同じように動けなくなることが避けられません。パフォーマンスの低下が原則とされながらも、人々はなぜ、生涯に渡って達成スポーツを楽しもうとするのでしょうか。そして、達成スポーツを継続する本質的なエネルギーとは何なのでしょうか。このような問いに対して、本研究では発生運動学的立場から「老いと向き合う身体知」に注目し、実際に生涯スポーツアスリートがどのような動感意識で日々のトレーニングを行なっているのかを記述、分析していきます。このような研究の成果は、今後の生涯スポーツアスリートのトレーニングに示唆を与えるものになると考えられます。