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2021/11/01
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【スポ健リレーコラム】[第4回]
水澤教授による
「知っていそうで知らないyoga(ヨーガ、ヨガ)」

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知っていそうで知らない「yoga(ヨーガ、ヨガ)」

 

 今回のテーマは、知っていそうで知らない「yoga(ヨーガ、ヨガ)」について、です。ヨーガというとアクロバティックに体をひねったり、呼吸法をしたり、じっと座って瞑想したりすること、と思われがちですが、それはヨーガの一部分です。※yogaはヨーガでもヨガでも、どちらでも構いません。もともとのサンスクリット語の発音に近いのがヨーガとされます。

 

 yoga(ヨーガ、ヨガ)の語源はサンスクリット語のyuj(ユジ)とされています。これは牛や馬を荷車につなぐ、あるいは牛や馬どうしをつなぐの頚木(くびき)のことです。ここから、「繋ぐ」「結ぶ」「統合する」といった意味をもつyogaという言葉ができたと考えられています。

 

 では、何と何をつなぐのか?「心」と「体」です。

 

 ヨーガでは、「心」は放っておくと牛や馬のようにどこかに行ってしまうものと捉えます。過ぎてしまった過去のことをいつまでも悔やんだり、起こってもいない未来のことを心配したりしてしまう、ということです。

 

 この、ふらふらとあちこちに飛んで行ってしまう「心」を、「意識」によって自分の「体」という具体的で現実にあるものとをつなぎ止め、心身ともに穏やかで落ち着いた状態にするための様々な方法の総称がyoga(ヨーガ)です。

 

 図は、現在広く行われているヨーガのベースとなっている「ヨーガ・スートラ」(4~5世紀頃)に著されているヨーガの八支則と呼ばれるものです。最終的にサマーディ(三昧)な状態に至るための七つの段階・方法と、サマーディを含めて八支則と呼ばれます。

 

ヨーガの八支則(図)

 

 

  • ヤマ(禁戎):道徳的な戒め。

 

  1. アヒムサ(非暴力、不殺生):生きとし生けるすべてのものに対して、暴力を振るわない、殺さないということ。この暴力には言葉の暴力、態度の暴力も含まれます。また、忘れてはならないのは、自分自身に対してもアヒムサであることです。ヨーガのポーズで無理をして体を傷めてしまうのは、自分自身に対する暴力です。
  2. サティヤ(正直):嘘をつかないということ。誠実であること。また、自分の信条に忠実に生きること。ヨーガのポーズをとるときに自分の体調(真実)を無視して無理なポーズを取ろうとするのも、自分の体に対して嘘をついていると考えます。
  3. アスティーヤ(不盗):盗まないということ。他人の持っているものをうらやんだり、ましてや奪ったりしないということ。
  4. ブラフマチャリヤ(梵行):本能に任せた過剰な性行為を慎み、情欲を満たそうとする心を節制すること。性行為が本能にもとづく非常に強いエネルギーを必要とするものであることから、そのエネルギーをコントロールすることが重要であると考えます。
  5. アパリグラハ(不貪):むさぼらない。単なる欲望や願望とは区別して、本当に必要なものを手にするように心がける、ということ。

 

  • ニヤマ(勧戎):守るべき規律、積極的に行うことを心がける考え方や行為。

 

  1. シャウチャ(清浄):身体や周りの環境を清潔に保つこと。飲食物や考え方も清らかであること。
  2. サントーシャ(知足):満足すること。今、自分が持っているものの価値を認め、それを受け入れ、満ち足りるための心得。ただし、自分を向上させるための努力をしないということではありません。
  3. タパス(苦行):「焼く、熱する」という動詞が語源です。何事に対しても、強い決意と情熱をもって取り組む姿勢。
  4. スヴァディヤーヤ(読誦):研究、自己学習とも訳されます。常に内省を忘れず、自分が取り組むことに対して研究し、学習を怠らないこと。また幅広い知識を持つよう心掛けること。
  5. イーシュヴァラプラニダーナ(自在神祈念):全知の神の存在を受け入れること。この場合の神はGodではなく、大自然とか、あるいは自分自身の中にもある「大いなるもの」と考えるとよいかもしれません。「人事を尽くして天命を待つ」といったところでしょうか。

 

  • アーサナ(坐法):いわゆるポーズのこと。
    日常的には行わない姿勢をとり、呼吸を整えようとすることで、「肉体」と「呼吸」という現実かつ具体である「体」に対する意識を高め、集中する感覚をつかむためのものです。また、長時間座って瞑想するための体力をつける、という目的もあります。
     
  • プラーナヤーマ(調気法):呼吸法
    様々な呼吸法を用いて、生体エネルギーであるプラーナ(気)を整える方法です。
     
  • プラティヤハーラ(制感):感覚を対象から切り離すこと。
    匂いを感じてもそれが何かを探らない、目は開いているけれど視覚情報に惑わされない、耳から入ってくる音や声に惑わされない、ということです。
     
  • ダーラナー(凝念):集中すること。
    呼吸のみに意識を集中することが多いです。
     
  • ディヤーナ(静慮):瞑想のこと。
    一点に集中し、心がそこにとどまります。
     
  • サマーディ(三昧):
    純粋に瞑想に没しきった恍惚の状態とも言われます。あちこちに飛んでいく心の動きはなくなり、穏やかな状態です。
      


     

読んでみて、どうでしたか?
普段の生活の中で、ちょっと深呼吸してみようとか、〇〇のことを勉強するとか、ストレッチをして体の伸びを感じることも、「ヨーガ」といえるかもしれませんね。

 

 共通教育センターではプレミアプロジェクトの一つ、KONANスポーツ元気プロジェクト「こうなんSMILEプロジェクト」の一環として、全学生及び教職員を対象に「こうなんSMILE Yoga & Pilates」を行っています。ここでは、ヨーガのアーサナと、ピラティスというエクササイズを組み合わせて体を動かします。

 
 2021年度後期は、授業のある期間の毎週金曜17:30~、iCommons4階のiStudioで行っています。Zoomでの参加も可能ですので、ぜひご参加ください。
お問い合わせ、お申し込みは共通教育センター事務室(3号館1階北側)まで。

 

(スポーツ・健康科学教育研究センター / 共通教育センター 水澤 克子)

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