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2021/11/29
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【経済学部】ベストレクチャーインタビュー②(「公共経済(C)」・「財政(A)」)

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 経済学部では、毎年、授業改善アンケートの結果に基づきベストレクチャーを選定しています。授業での教育効果が高まる工夫やノウハウを全教員で共有し、学部全体の教育力を引き上げることを目的が目的です。
 今年度ベストレクチャーを授業した教職員のインタビュー内容をご紹介します。

 

***********ベストレクチャーインタビュー***********

 

◆60~99名のクラス 「公共経済(C)」

担当者:林 亮輔先生

 

 

1. 授業の概要を教えてください。

 私たちの生活をより豊かなものにするために、国や地方自治体は税などによって財源を調達し、インフラ整備や公的年金の運営など様々な活動を行っています。私たちの生活において政府の活動は欠かすことができない大切なものですが、公債残高の累積や社会保障費の膨張といった課題に直面しており、政府自体の持続可能性が危ぶまれています。公共経済では「なぜ政府が必要なのか?」「政府活動の財源はどのように調達すべきなのか?」などのテーマについて、経済学の視点から考える機会を提供しています。

 

2. 授業の特徴的な内容は何ですか?

 学生の反応が最も良かった授業は、「投票」について解説した回です。近年、選挙における投票率の低下が問題視されています。しかしながら、投票率が低いことは問題なのでしょうか。投票するには情報収集や投票所までの移動など様々なコストが発生します。もし、全ての有権者が同じ投票先に投票するのであれば、有権者全員が投票しても、有権者のうち1人が投票しても、選挙の結果は変わりません。このような場合、1人が投票し、残りの有権者が投票を棄権した方が、社会全体に発生するコストは小さくなります。つまり、投票を棄権するという行為は、経済学的に考えて必ずしも問題とはいえないのです。もちろん、この授業は学生に投票を棄権するよう推奨しているわけではありません。「投票(棄権)」という問題に目を向けてもらい、考える場を提供することが目的です。この授業の後、学生からは「投票について考えることができた」という感想が多数寄せられました。

 

3.  学生が理解を深めるために工夫していることは何ですか?

 受講生が多い科目では、教員から学生への一方通行の授業にならないよう工夫することが大切です。公共経済は受講生が150名を超えており、コロナ禍におけるWeb活用授業ではなおさら、授業時間内に一人一人が抱く疑問に対して答えることはできません。そこで、コミュニケーションペーパーを通じて疑問を汲み取り、疑問が解消するまで回答するよう心掛けています。コミュニケーションペーパーを通じて、授業内容に対する質問だけでなく、授業で取り扱った内容を発展させた質問も多く寄せられ、学生の皆さんが内に秘めている「学ぶ意欲」を感じることができました。

 

4. 授業の中で最も重視していることは何ですか?

 学ぶ意欲を継続させるには、学生の知的好奇心を刺激することが重要であると考えています。知的好奇心を刺激するには、学生自身が身近に感じられるトピックを取り上げることで、授業内容に関心を持ってもらうことが大切です。そして、授業で知り、学んだ内容を踏まえて、学生自身に考えてもらう場を提供することも大切だと考えています。このように、「関心を持つ」「知る」「学ぶ」「考える」というサイクルで授業を進めることで、学生の知的好奇心を刺激できるよう心掛けています。コミュニケーションペーパーを通じて、授業で取り扱った内容を発展させた質問が多数寄せられたことは、学生の知的好奇心が刺激されたことに対する証左だと感じています。

 

5. 授業を通じて身に付けてほしいことは何ですか?

 「公共経済」で取り扱う授業内容は、インフラ整備、教育、社会保障、税、選挙など、日常生活と密接に関わっているものばかりです。しかしながら、日常生活の中で「空気」と同じように当たり前に存在しているがゆえに、多くの学生が「なぜ?」といった疑問を抱かずに生活しています。当たり前のことを当たり前と思わずに「なぜ?」と考えることは、課題を発見する力や考える力を養うことにつながります。これらの力は、社会で生き抜くうえで重要な力です。「公共経済」のみならず大学での学びを通じて、これらの力を養って欲しいと思っています。

 

 


 

◇100名以上のクラス 「財政(A)」

担当者:永廣 顕先生

 

 

1. 授業の概要を教えてください

 今日の日本財政においては、少子高齢化、所得格差、債務残高の累増に対して、税制改革、社会保障制度改革、財政健全化が課題となり、財政運営の方向性が問われています。この授業では、理論、制度、歴史、政策に目配りし、日本経済において重要な役割を担っている財政の諸問題について、多角的、総合的な視点から解説しています。

 

2. 学生が理解を深めるために工夫していることは何ですか?

 財政学は特に実生活と密接に結びついた学問分野ですので、「アルバイトの給料に対する所得税課税」「20歳以上の学生の国民年金(基礎年金)の保険料負担」など、受講生の生活に直接関わっている話題を提供しています。また、受講生からの質問に対しては、個別にではなく配信動画の中で全員に向けて回答し、受講生全員で質問と回答を共有できるようにしています。

 

3. 授業を通じて身に付けてほしいことは何ですか?

 財政が私たちの生活とどのように関わっているのかを認識できるようになること、テレビ、新聞、インターネットの財政に関するニュースや記事、コラムの内容を「正確に」理解できるようになることを授業の到達目標としています。
この授業に限らず、経済学部での学びをつうじて、人間が生活するためには、すなわち生きるためには何が必要かを考える「力」を身につけて欲しいと思います。そのためには、何かを学びたい、吸収したいという意欲が必要であるのは言うまでもありません。

 

 

以 上

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