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2022/02/01
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【スポ健リレーコラム】[第7回]
生涯スポーツ -今の自分と向き合う- 

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生涯スポーツ

 

-今の自分と向き合う-

 

 

 私は中学校入学時から現在(44歳)に至るまで体操競技を行なっています。本学の体操競技部の学生を指導している側、隙間時間を見つけては自身の練習を継続しています。本稿では、私の体操競技人生における競技との向き合いかたの変化、とりわけ試合に向けた練習に焦点を絞って紹介したいと思います。

 

 私が初めて試合に出場したのは、中学2年生の秋であり、そこから幾度となく試合に出場しました。その中でも一番身体が良く動き、力が漲るような状態で試合をできたのは23〜25歳頃でした。当時の試合前は失敗を想定した練習を試みるなど、今では考えられないような練習を行なっていました。試合前の練習は楽ではありませんでしたが、常に、その中に楽しさを感じることができていました。それから20年近くが過ぎた今日、私の身体は昔のようには動いてくれません。練習をすると身体のあちこちが痛くなり、回復には時間がかかります。

 

 今日、試合に向けての練習においては、「今年はどんな演技ができるだろうか」というところからスタートします。しかし、どれだけ計画を立てても、実際に動き始めると「意外にもこの技を使えそうだ!」、「あれ、この技ってこんなにしんどかったの?」といったような、試行錯誤が行われます。結局のところ、動きながら演技構成が決められます。演技構成決定後、若い頃は、演技を全て行う練習を何度も行いました。しかし、今はそのような練習は行っていません。1日に1回、演技の練習を行えば良い方です。このように、試合前の練習への取り組みかたについて、若い頃と今を比べたら、自分の衰えに気づくばかりです。しかし、私は今、動けることに楽しさを見出すことができています。若い頃には気づかなかったような「コツ」に出会うこともありますし、体への負担が少ない技を新しく習得することもあります。取り組んでいるスポーツは同じであっても、その取り組みかたは常に変化し続けています。

 

 スポーツへの取り組みかたは様々です。特に、生涯スポーツの領域になると、そのスポーツを行う人の数だけ取り組みかたがあるといっても過言ではありません。私の様に達成スポーツに取り組んでいる場合は、「今の能力でできることに、最大限の努力で取り組めば」十分であると感じています。いつまで行えるのか分かりませんが、「継続したい、楽しい」と思える間は、練習を継続し、試合に出場し続けたいと思います。いつの日か、体操競技部の卒業生と一緒に、マスターズ競技会に出場できる日を夢見て。

 

(共通教育センター、スポーツ・健康科学教育研究センター兼任研究員
スポーツ運動学、体操競技・器械運動指導論、生涯スポーツ論 吉本 忠弘)

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