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2022/03/01
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【スポ健リレーコラム】[第8回]
パラスポーツからの問いかけ

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パラスポーツからの問いかけ

 

 

 「オリンピックとパラリンピックを同時開催すべき(=パラリンピックをなくす)という声があります。これについて、どう考えますか?パラリンピックに含まれない障がい者スポーツ大会や、マスターズ等のカテゴリー別の大会の存在も考慮に入れた際、あなたの考える理想的な大会のあり方の形をお聞かせください。」

 2022年1月、「基礎スポーツ健康科学」の学外講師として、パラアスリートの正垣 源(しょうがき げん)氏((株)Tポイント・ジャパンアスリート社員)にご登壇いただきました。これは、その時の受講生への問いかけです。同時開催に賛成62%、反対38%。賛否は同じでも理由が正反対であったり、割合だけでは語れない学生達の思いを聞きました。まさに、スポーツの多様性の課題を正面から考えた時間となりました。

 

「脚光を浴びなかった人たちが、脚光を浴びるようになったら、みんなのスポーツとなるのではないでしょうか。」

 (公財)兵庫県障害者スポーツ協会代表の増田氏へインタビューを行った時のことです。これは、スポーツのあり方についての問いへの回答でした。さらに、増田氏は続けて言いました。「パラリンピックを行ってから障がい者のスポーツに対して理解が進んだかと言うと、必ずしもそうとは言えないです。子ども達への教育が車椅子に乗るだけでいいのか?当事者の声を聞くのが課題解決につながるのでは。」

 

 パラリンピックの元となった国際ストーク・マンデビル大会は、脊髄損傷者のためのスポーツ大会でした。このリハビリの延長から始まったスポーツ大会は、その後競技性の高いエリートスポーツ大会としての歩みを進めました。1981年は「国際障害者年」と定められ、各国の障害者の“完全参加と平等”の行動はスポーツにも影響を及ぼしました。1989年には国際パラリンピック委員会(IPC)が設立され、2001年には国際オリンピック委員会(IOC)とIPCの協力関係が合意されました。これにより、開催都市は、オリンピックの終了後パラリンピックを開催し、組織委員会はパラリンピックも担当することになりました。こうして、障がい者による高度なパフォーマンスが脚光を浴びるようになりました。

 スポーツのあり方は様々な影響を受け変化していきます。誰も取りこぼすことのない「みんなのスポーツ」の行方が少しでも良い方向へ進むために、学生のみなさんが多様なスポーツに触れる機会を大事にしたいと思います。

 

正垣氏のオンライン授業より
正垣氏のオンライン授業より(2022年1月19日)
正垣氏のオンライン授業より02
正垣氏のオンライン授業より(2022年1月19日)

スポーツ・健康科学教育研究センター所長/共通教育センター 鵤木千加子

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