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2022/10/01
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【スポ健リレーコラム】[第15回]
体育の授業が心配!? ―障がい、病気、怪我への学修支援―

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「体育」の授業は必修です。そう聞くと、障がい、病気、怪我等で、実技への参加へ不安を抱える人もいるでしょう。甲南大学では、必修の「基礎体育学演習」という実技科目に「個別対応」という制度をおき、個々の事情に応じた授業内容を受講できるようにしています。

 甲南大学の保健体育科目の教育目標 は、「生涯にわたって、スポーツに親しみ、心身共に健康で文化的な生活を営むことができる社会の実現に寄与できる素養を身につけた人材育成を目指す」であり、「基礎体育学演習」では、体力測定、実技、健康リテラシー講義を通して一人ひとりが自身の心身と向き合う力をつけることに取り組んでいます。障がい、病気、怪我等で通常の実技への参加が困難な場合は、実技内容を変更したり、必要な配慮や支援を行ったりすることで、教育目標の達成に取り組んでいます。

 この制度が始まったのは2004年度です。2021年度までに342名が「個別対応」を受けて受講しました(図1参照)。授業での対応方法は、車椅子バドミントンやブラインドサッカーなどの「個別クラス」、「種目配慮」、トレーニングルームでの「リハビリ」、学内向けプログラムである「こうなんSMILEプロジェクト」を活用した補講等々、状況に応じて内容を決めています(図2参照)。障がいのある学生が受講する授業では、スチューデントアシスタントの活用や授業ボランティアの募集により、複数の学生が一緒に参加できるようにしています。このことは、受講生にとって効果的な授業内容というだけでなく、参加者全員にとって障がいのある人もない人も共に暮らせる社会を目指すための教育になっていると感じています。

 誰もが自分自身の体とは一生のお付き合いです。加齢と向き合う年代に向けて、自分自身の心身とうまく向き合う力をつけること、また誰もがスポーツや運動に親しむ社会環境をつくることへの意識が大切ではないでしょうか。

 

図1.個別対応が認められた理由(年次推移)

図2.個別対応の対応例

 

 

※2022年9月16日に開催されたスポーツ・健康教育研究会において、筆者は「大学体育における学修支援」について発表を行いました。その一部から抜粋しています。

 

スポーツ・健康科学教育研究センター/全学共通教育センター 鵤木 千加子

 

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