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2022/11/01
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【スポ健リレーコラム】[第16回]
神戸から世界に発信
嘉納治五郎生誕地「KOBE自他共栄 CUP―学生柔道大会」

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 嘉納治五郎生誕地「KOBE 自他共栄 CUP―学生柔道大会」(主催:兵庫県学生柔道連盟等 会長・山崎俊輔)について紹介させていただきます。

 嘉納治五郎の名前や講道館柔道の創設者であるということは、日本人のほとんどの方はご存じだと思います。また世界でも柔道を志す者であれば、その名前を知らないものはいないと言っても過言ではありません。嘉納治五郎は、近代日本のスポーツの礎を築いた人物として、日本のオリンピック初参加に尽力する等、「日本の体育の父」とも呼ばれています。治五郎は万延元年(1860年)、現在の〈神戸市御影町御影本町1丁目〉の地で、父・治郎作郎 、母・ 定子の三男として誕生しています。 11歳の時、父に連れられて東京に移住するまで、幼少期をここ御影の地で過ごしています。治五郎の生家は浜東嘉納といい、酒造業や廻船業を営んでいました。

 嘉納治五郎生誕地「KOBE 自他共栄 CUP―学生柔道大会」は、阪神淡路大震災から10年を経た2005年3月に、復興記念と国内外から受けた温かい支援に対する感謝の気持ちを表そうと、第1回大会が開催されました。

 兵庫・神戸では大震災の大きな被害と混乱の中で、若者を中心に自発的なボランテイア活動が盛んに行われていました。甲南大学も大きな被害を受け、大混乱の中でありましたが、多くの学生がボランティア活動に参加していました。当時の者は、そのような状況の中で、柔道の理念でもある「自他共栄」の精神の貴さとそれを実践することの大切さを自らの体験の中で気づきました。「この精神を未来にわたり大切に育んでいかなければならない」という熱い思いが、本大会を創設した我々の大きな原動力になっています。

 第16、17、18回大会は、新型コロナ感染防止の観点から競技の部は中止されましたが、「自他共栄」の柔道の啓発・普及を目指した「自他共栄賞」、「柔道標語賞」は実施されました。「今、やれることを実現させよう」とのことで、17、18回大会は、オンラインによる「KOBE自他共栄CUP国際シンポジウム」のみが実施されました。第18回(2022年)のテーマは「柔道の国際化と嘉納治五郎師範の思想-」で、日本、ドイツ、ブータンの人達を結んで行われました。

 今後共、多くの皆さまからご理解とご支援を得ながら、本大会をより発展させ、国内外に向け「自他共栄精神」を発信し続けたいと思っています。

 現在、新型コロナウ イルス感染症のまん延やロシアによるウクライナへの侵攻などが、世界の人々の心を恐怖と混乱に落とし込んでいます。この様な時だからこそ我々柔道家は、世界の人々と協力して、未来にかけてその精神を伝えていかなければならないと思っています。

 

KOBE自他共栄CUPのプログラムと大会風景

 

スポーツ・健康科学教育研究センター/全学共通教育センター 山崎 俊輔

 

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