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2022/12/09
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【理工学部/自然科学研究科】『甲南の教員が解説するNobel Prize 2022化学賞』を開催しました

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甲南大学理工学部では、理工学部所属の教員がノーベル賞受賞テーマを解説する『甲南の教員が解説するNobel Prize 』を開催しています。「ランチをしながら最新の科学の話題に親しみを持ってもらう」をコンセプトに「SaLaCoランチョンセミナー」として対面/オンラインを併用して開催しています。前回11月に実施のノーベル医学・生理賞に続いて、12月2日(金)に『甲南の教員が解説するNobel Prize 2022 ノーベル化学賞』を開催しました。

 

12月2日に行われたノーベル化学賞のセミナーでは、理工学部機能分子化学科の木本 篤志准教授より、クリックケミストリーや生体直行化学とは何か。またクリックケミストリ―に携わった3名の研究者(シャープレス、メルダル、ベルトッツィ博士)の功績を解説いただきました。

 

クリックケミストリ―のクリックとは、ベルトを締める時の「カチッ」という効果音を表しています。難しい化合物を手の込んだ合成反応を使って作るよりも、各パーツを簡単につなぎ合わせて作るというもので、シャープレス博士により概念が生み出されました。クリックケミストリーの特徴としては収率が高いこと、副生成物が出ないこと、反応条件が単純であること(酸素や水に影響されないことが理想)等が挙げられ、簡単なように聞こえますが合成化学としては夢のような反応であります。その後、メルダル博士により研究が進められ、これらの条件を満たす反応が発見されました。

 

ただしこの反応のデメリットとして銅触媒を使うため、生体内で毒になり得ます。そこでベルトッツィ博士は銅触媒を使用せずに反応させることに成功し、クリックケミストリーを生体内で安全に使用できるようになりました。

また、この反応に使用する反応物は生体内に存在せず、他の生体内物質と反応することが無いことから「生体直行化学」と言われており、創薬、生体イメージング、タンパク質修飾といった分野での活躍が期待されています。

 

このようにクリックケミストリーは夢のような反応ですが、一方で課題もあります。それは産業面、つまり我々の身近な場所での展開についてです。

今後研究が進めば、私たちの身の回りでもクリックケミストリーを利用して開発された製品が出回る日もそう遠くないかもしれません。科学の進歩から目が離せませんね!

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