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2023/02/01
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【スポ健リレーコラム】[第19回]
2022カタールW杯の話
― 日本独自の選手育成システム:大学スポーツⅡ ―

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 2022カタールW杯は中東では初めての開催となり、アルゼンチンが36年ぶりに優勝しました。私は「カタール」と聞いて、どこかで聞いたような響きだと思い、過去を振り返ってみたところ、2003年―2004年私が関西学生選抜の監督をしていた時、日韓W 杯で日本代表の監督を務めたトルシエ氏がカタール代表を率いて日本は淡路島に遠征に来ており、練習試合の依頼を受けたことを思い出しました。もちろん、選抜選手にとってレベルに関係なく一国の代表選手と試合をすることは滅多にないチャンスですから、喜んで引き受けました。我が関西選抜は、当時はまだまだ海外経験が少ない選手達も多く、前半こそバタバタしながら0−0でしたが、後半は外国人とのプレーにも慣れ落ち着きを取り戻し、記憶では確か2点を取って勝利しました。試合終了後トルシエ監督には、「素晴らしいチームだ」と褒め称えられましたが、明らかに選手達のレベルが違っていましたのであまり嬉しくなかったことを覚えています。

 20年程前にその程度のサッカーのレベルだったカタールは、2008年にはプロサッカーリーグであるカタール・リーグを立ち上げ、オイルマネーを注ぎ込んで有名な海外選手を集めてリーグを盛り上げました。そして今回、およそ20年後に素晴らしいスタジアムを多数建設しW杯を招致、開催国として初出場したのです。日本も1983年に初のプロサッカーリーグであるJリーグを立ち上げ、1998年フランスW杯初出場、2002年日韓W杯を共同開催し両国共に開催国として出場、このあと連続で出場を決めています。スポーツというものの持っているパワー、エネルギーは計り知れないものだとあらためて実感しています。今回W杯を開催し大成功したカタールという国は、私が知っていた20年程前のカタールとは全く異なる輝いた国に見えました。不思議なものです。

 さて、今回のW杯日本代表ですが、26名の中に大学出身の選手が9名選ばれており、彼らの活躍もあり、我が日本代表は強豪国ドイツ、スペインに勝利し見事予選リーグをブロック1位で勝ち上がりました。決勝トーナメントでは、P K戦で惜敗という結果となりましたが、ヨーロッパなどの海外のチームに所属し実績を上げている若い選手達の躍動に今後の日本サッカーの可能性を感じた方は少なからずいらっしゃったのではないかと思います。写真は、2022全日本大学サッカー選手権大会の公式プログラムの表紙で、9名の大学出身者の懐かしい写真が掲載されました。「大学サッカーから世界へ」とあります。日本のオリンピアンのおよそ半数以上が大学生または大学出身者ということを考えると「大学スポーツから世界へ」と言っても過言ではないのではないでしょうか。

 

2022 全日本大学選手権大会公式プログラムの表紙

 

 

スポーツ・健康科学教育研究センター/全学共通教育センター 桂 豊

 

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