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2023/02/15
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【経済学部】ベストレクチャーインタビュー①(「英語で読む経済I (1クラス)」、「中級マクロ経済学」)

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 経済学部では、毎年、授業改善アンケートの結果に基づきベストレクチャーを選定しています。授業での教育効果が高まる工夫やノウハウを全教員で共有し、学部全体の教育力を引き上げることを目的が目的です。
 今年度ベストレクチャーを授業した教職員のインタビュー内容をご紹介します。

 

***********ベストレクチャーインタビュー***********

 

◆20名未満のクラス 「英語で読む経済I (1クラス)」

担当者:今泉英将 先生

 

 

1. 授業の概要を教えてください。

 「英語で読む経済Ⅰ」では文字通り、経済にまつわる現象や事柄について英語を読んで理解することを目指します。学生には指定された文章を読み、授業でその内容について発表してもらいました。授業期間前半は、高校までに学習した文法について、問題を解きながら確認します。すべての英文法を扱うことは時間の都合上できないため、とりわけ英字新聞でよく使われる英語表現をピックアップして学習してもらいました。また、英字新聞の見出し(Headline)には特有のルールが存在するため、そういった文法なども同時に学びます。後半には、実際の英字新聞を用いて精読を行い、最終的には、毎年総務省統計局が発行している「Statistical Handbook of Japan」という刊行物のトピックを抜粋し、英文を読みこなす力を養いました。

 

 

2. 授業の特徴的な内容は何ですか?

 「Statistical Handbook of Japan」は統計資料のため、学生には無味乾燥なものと映ってしまいがちです。そこで最新の英字新聞の記事、とりわけコロナウイルスや環境問題といった身近なトピックの文章を読んでもらいました。また、各講義にそれぞれ動画を用意し授業後にオンラインにアップロードしました。その結果、授業に欠席した学生はオンライン上で講義を受けることができ、また出席した学生はその日の授業の復習として講義動画を見ることができるため、学生には総じて好評でした。

 

 

3.  学生が理解を深めるために工夫していることは何ですか?

 自分が役立つと感じたICT(情報通信技術)教育のテクノロジーをたくさん利用することです。毎回オリジナルの自作プリントを配布し、そのプリントを中心に講義を行いました。黒板を使う代わりに自作したプリントにiPadで直接書き込む様子をプロジェクターに映して講義を行うことで、板書を映す 時間を削減し、話をきちんと聞いてもらえるような環境づくりに努めました。

 

 

4. 授業の中で最も重視していることは何ですか?

 「もし大学生に戻ることができたら受けてみたい授業」を目指し、内容が充実した、わかりやすい授業を心がけています。毎回の授業では,なるべくたくさんの情報や知識を伝えるようにしています。とはいえ英語という科目をたった15回の講義で終えることは到底無理なことなので、例えば試験範囲とは無関係なものと断って時事英語にまつわる自作のオリジナル単語帳を配布したりしました。リーディングの授業は英語を日本語に訳すことを中心におこないますが、ただ上手な訳を伝えるのではなく、どのようなプロセスで訳したのか、英文構造の解釈について一文ずつ徹底して解説しました。

 

 

5. 授業を通じて身に付けてほしいことは何ですか?

コロナウイルスをはじめとした国際的ニュースは公用語である「英語」で伝えられます。学生には英語のスキルを身に着けてもらうことで、日本語に翻訳されたものでなく、英語による「生の」情報を利用できるようになってもらいたいです。欲を言えば、統計資料を読みこなし、経済学自体にも興味を持ってもらえたらとても嬉しいです。

 

 

 


 

◇20名~59名 「中級マクロ経済学」

担当者:寺尾 建 先生

 

 

1. 授業の概要を教えてください

 「中級マクロ経済学」では、「一国規模の経済において、時間を通じた資源配分(生産と消費の組み合わせのパターン)がどのような仕組みによって決定されるのか」という問題の考え方について学びます。これは、経済学の専門領域(「財政」「金融」「公共経済」「労働経済」「産業経済」「国際経済」など)における問題を本格的に考察する際に、共通して基礎となる考え方です。

 

 

2. 授業の特徴的な内容は何ですか?

 「マクロ経済学」では、「日本経済」「アメリカ経済」「中国経済」といった一国規模のスケールの大きな経済の「全体」について考えます。そのような「全体」は、直接手に取ることはできませんし、直接見ることもできません。実際、たとえば、みなさんも一度は耳にしたことがあるはずの「GDP(国内総生産)」は、一国内において1年間に行われたすべての生産活動を対象とするものですので、直接指し示すことはできず、考えることによってしか掴むことができません。

 「マクロ経済学」が対象とするのは、考えることによってしか掴むことができない「全体」です。このことから,「マクロ経済学」は、それを学ぶ者に対して、思考力と想像力を駆使することを最初から強いるところがあります。しかし、そのことは、逆にいえば、「マクロ経済学」は、「考えることだけによって、いったいどれくらいのことが分かるのか」を最初から教えてくれるのだということです。

 

 

3. 学生が理解を深めるために工夫していることは何ですか?

毎回の講義においては、「問いを先に提示して、その後に解説する」ということを徹底しており、問いを提示する際には、次の4つのことを条件としています。

 

  1. 知識(定義)/理解(例示)/応用(適用)/分析(関係性)/総合(結合)など、問われることのタイプが異なる問題を複数提示する。
  2. 知識・理解をそのまま尋ねる(知っているか否かで解答できるか否かが決まる)問題は提示しない。
  3. 一度に尋ねるのは、1つの事項だけにする。
  4. 集中力の涵養を図るとともに、与えられた時間内で考えをまとめ、それを文章化する技術の向上を図るために、授業中に問いを提示する際には、問いの難易度に応じた解答時間(30秒/1分間/2分間/3分間など)を必ず設定する。

 

4. 授業の中で最も重視していることは何ですか?

 授業において最も重視していることは、「知的な営為に対して敬意を抱く態度」と「自らの知性を向上させる方法」を学生が身につけることの2つであり、「マクロ経済学」を学ぶことは、そのための手段として位置づけています。学生のみなさんは、人生のいろいろな場面において活用できる汎用性の高い思考法が経済学のなかに多く含まれていることを知ると、とても驚くようです。しかしながら、経済学は「世のなかの仕組みと人々の行動」について考える学問ですので、そのことからすれば、実は、驚くべきことではありません。

 

 

5. 授業を通じて身に付けてほしいことは何ですか?

 授業を通じて学生に身につけてほしいと考えている力は、「分析力」です。それは、「同じものであるように見えるが、実は本質が異なることを見抜ける」といった力であり、また、「異なるものであるように見えるが、実は本質は同じであることを見抜ける」といった力ですが、要するに、「ほんとうのこと」とそうでないことを区別できる力です。授業担当者として、授業を通じて学生のみなさんが成長したと思う場面は、「自分が思っていたのと違ったが、それは、ただたんに自分が思っていたのが間違っていただけだった」という主旨の反応を学生のみなさんから引き出せたときです。

 

以 上

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