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2023/02/15
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【経済学部】ベストレクチャーインタビュー②(「入門ミクロ経済学(Cクラス)」・「入門マクロ経済学(Bクラス)」)

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 経済学部では、毎年、授業改善アンケートの結果に基づきベストレクチャーを選定しています。授業での教育効果が高まる工夫やノウハウを全教員で共有し、学部全体の教育力を引き上げることを目的が目的です。
 今年度ベストレクチャーを授業した教職員のインタビュー内容をご紹介します。

 

***********ベストレクチャーインタビュー***********

 

◆60~99名のクラス 「入門ミクロ経済学(Cクラス)」

担当者:柘植隆宏 先生

 

 

1. 授業の概要を教えてください。

 この授業では、ミクロ経済学を初めて学ぶ学生向けに、ミクロ経済学の基礎を解説しています。消費者や企業がそれぞれ何を目的としてどのように行動するか、そして、それらの主体が自由に売買を行う市場経済というしくみはどのような特徴を持つのかを理解することを目的としています。「入門ミクロ経済学」の授業は、講義形式でミクロ経済学の理論を学ぶ講義クラスと、小人数の演習形式で講義クラスの復習や問題演習などを行なう演習クラスで構成されます。私は講義クラスを担当しました。

 

 

2. 授業の特徴的な内容は何ですか?

 「なぜ需要曲線が右下がりになるのか」と「なぜ供給曲線が右上がりになるのか」を解説した回は、多くの学生が興味を持ってくれたようです。たとえば、需要曲線が右下がりになるのは、ある財の消費量が増えていくにしたがって、その財をさらにもう1単位消費することから得られる満足がだんだんと小さくなっていくためですが、そのような状況を、2杯目のコーヒーからは1杯目ほど大きな満足が得られず、3杯目からは2杯目よりも小さな満足しか得られないといった、私たちが体験したことがあることを通して説明しました。需要曲線が右下がりであることや供給曲線が右上がりであることは最初の方の授業で勉強するのですが、そうなる理由については中盤以降の授業で本格的に勉強します。それらを理解することで、消費者と企業の行動をより深く理解できるようになったことを実感した学生が多かったようです。

 

 

3.  学生が理解を深めるために工夫していることは何ですか?

 毎回宿題を出し、次の授業の冒頭15分程度を使って解説を行いました。その中で、優れた解答を紹介し、コメントをすることで、授業が双方向的になるとともに、意欲の高い学生は、自身の解答が紹介されることを目指して、熱心に宿題に取り組んでくれました。また、知的好奇心を刺激することを目的として、私の専門分野である環境経済学の話をしたことがあります。インセンティブを利用した環境政策の事例として、炭素税、ごみ処理有料化、デポジット制度などを紹介したところ、いま学んでいるミクロ経済学の考え方が環境問題の解決に役立つことを知り、ミクロ経済学を学ぶモチベーションが高まった学生がいたようでした。ミクロ経済学のように基礎的な考え方や分析方法を学ぶ授業では、それを学ぶと何に役立つのかを説明することで、学びに対するモチベーションを高めることができると考えます。

 

 

4. 授業の中で最も重視していることは何ですか?

 ミクロ経済学を初めて勉強する学生が大半ですので、これから受ける応用分野の授業を理解するために必要な基礎知識をしっかりと身につけてもらうことを目指しています。 また、1年生が多く受講しているため、この授業を通して、大学での勉強に必要なスキルを身につけてもらえるように工夫しています。たとえば、穴埋め式のレジュメを配布し、キーワードやグラフは学生自身に記入してもらうことで、手を動かしながら授業を受ける練習をしてもらっています。また、学んだことを自分の言葉で説明できるようになってもらうことを目的として、毎回の宿題では論述形式の問題を多く出題しています。このほかにも、口頭の説明を聞き取ってメモを取る練習を行ったり、予習・復習を前提とした授業を行うことで、それらの習慣を身につけてもらうことを試みたりしています。これらの知識やスキルは、これからの勉強に役立つものであることを理解し、学生は真剣に取り組んでくれています。

 

5. 授業を通じて身に付けてほしいことは何ですか?

 学生には、大学での学びを通して、社会のさまざまな問題が発生する原因を見つけ出し、有効な対策を考えることができるようになってほしいと思っています。そのためには「論理的に思考する力」や「問題を解決する力」が必要になると思います。経済学の勉強は、これらの力を養うために大いに役立つと思います。

 

 


 

◇100名以上のクラス 「入門マクロ経済学(Bクラス)」

担当者:林 亮輔 先生

 

 

1. 授業の概要を教えてください

 「入門マクロ経済学」は1年次生対象の必修科目であり、これから経済学を学ぶ1年次生にとって欠かすことができない授業の一つです。授業では一国全体の経済活動に焦点を当て、家計・企業・政府の関りを学ぶとともに、私たちの生活に大きな影響を及ぼす「景気循環」や「経済成長」の仕組みを学ぶことで、経済に関する基礎知識の習得を目的としています。

 

 

2. 授業の特徴的な内容はなんですか?

 経済には家計・企業・政府という3人の人物が登場し、各々の登場人物が互いに関連し合っています。そのため、家計・企業・政府のどこかでインパクトが生じると、その影響は経済全体に広がっていくことになります。入門マクロ経済学では「マクロ経済の鳥観図」を用いて、家計・企業・政府が相互に関連し合っていることを解説しているのですが、学生からは鳥観図を通じて家計・企業・政府の関りを視覚的に確認できたという反応をいただきました。

 

 

3. 学生が理解を深めるために工夫していることは何ですか?

 授業の冒頭で授業内容に関連する新聞記事を学生に提示し読んでもらうことで、マクロ経済学の知識に関する現在地を知ってもらいます。そして、授業受講後に再び同じ新聞記事を読んでもらうことで、授業を受講したことによりどの程度マクロ経済学の知識が身に付いたかを確認してもらい、授業を受けたことに対する達成感を感じてもらう工夫を行っています。学生からは新聞を理解する力が身に付いたとともに、新聞を読むことに興味が湧いたという声をいただきました。

 

 

4. 授業の中で最も重視していることは何ですか?

 受講生が多い科目では、教員から学生への一方通行の授業にならないよう工夫することが大切です。入門マクロ経済学は150名程度の学生が受講していることから、授業時間内に一人一人が抱く疑問に対して答えることはできません。そこで、リアクションペーパーを通じて疑問を汲み取り、疑問が解消するまで回答するよう心掛けています。受講生に対して授業改善アンケートを行った結果、回答者の8割がリアクションペーパーを通じて質問していることが明らかになりました。学生の皆さんが内に秘めている「学ぶ意欲」を感じることができました。

 

 

5. 授業を通じて身に付けてほしいことは何ですか?

 入門マクロ経済学で取り扱う授業内容は、景気循環や経済成長など日常生活と密接に関わっているものばかりです。しかしながら多くの学生は、新聞などで報道される「景気の良し悪し」や「経済成長」を結果として捉え、「なぜ景気が悪いのか?」「なぜ経済成長率が低いのか?」といった疑問を抱くことが少ないように思います。当たり前のことを当たり前と思わずに「なぜ?」と考えることは、課題を発見する力や考える力を養うことにつながります。これらの力は、社会で生き抜くうえで重要な力です。入門マクロ経済学のみならず大学での学びを通じて、これらの力を養って欲しいと思っています。

以 上

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