
3月は何かと、心や体にストレスがかかる季節だ。2023年3月13日から、コロナウィルス対策におけるマスクの着用義務は個人の意思に委ねられたものの、細菌、ウィルス、花粉、黄砂、PM2.5などなど、まだ簡単に外せる季節ではなさそうだ。
さて、そのような空気中に漂う様々な外敵から私たちを守っているのがIgA(アイ・ジー・エー)、正式にはImmunoglobulin A(免疫グロブリンA)だ。体内の中に異物が入らない様に、目、鼻、口などの粘膜でIgA分泌されるのだ。この第1段階の粘膜免疫であるIgAの分泌が少ないとどうなるのか。簡単に異物が体内に入り込んでしまい、発熱などを伴う全身の免疫で対応しなければならなくなる。つまり、このIgAの分泌量を増やしてあげれば、多少の過酷な環境の中でも元気でいられるという訳だ。
では、どんな時にこのIgAの分泌量が低下するのか。特に季節の変わり目や生活環境が変化する4月は、免疫が特に低下しがちだ。さらに、睡眠不足などが重なると、IgA分泌量が低下し、一気に体調を崩してしまう。実際に、上気道感染症(風邪)に感染すると、発症までの間に、IgA値がどんどん減少してしまうのだ(図1)。
新学期のストレスから体を守り、IgA値を高めるにはどうすればよいのか。健康の3原則、栄養、睡眠、運動について、以下の点について気を付けよう。
□3食の食事を摂取し、免疫の材料となるタンパク質をしっかりと摂ろう。
野菜、ビタミン類の摂取も忘れずに。
□体のコンディション作りで最も大切な睡眠。良質な睡眠をとるためにも、朝型の生活をこころがけ、昼間に太陽の光を浴びるなどの工夫をしよう。
□積極的に適度な運動を実施しよう。1日60分程度の軽運動と、週2回30分以上、息の上がる運動をすると効果的。
特に、この時期は生活習慣や運動習慣が乱れがち。ストレスのかかる時期だからこそ、あまり気にしていない免疫の向上を意識し、元気な体で新学期を迎えよう!
(スポーツ・健康科学教育研究センター/全学共通教育センター 曽我部 晋哉)