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2023/07/01
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【スポ健リレーコラム】[第24回]
暑熱環境下での熱中症対策Ⅱ

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 昨年8月のコラム「アイススラリーの勧め」に引き続き、暑熱環境下での熱中症対策の情報です。皆さんも熱中症対策の情報を目にする機会は多く、熱中症になる人は減少していると思われているかもしれませんが、やはり毎年熱中症で体調を崩す学生が少なからずいるようです。中でも熱射病は生命の危険が伴いますので注意が必要です。また、熱中症は体力の有無に関係なく、体調や睡眠不足、水分摂取、食生活なども大きく影響します。昨年のコラムに加えて暑熱環境下での熱中症対策について紹介します。

 

 暑熱環境下での水分補給の重要性については聞いたことがあると思いますが、では実際どれくらいの量を摂取すれば良いのでしょうか。例えば暑熱環境下で運動する場合、一度に大量の水分を摂取するのではなく、運動前、運動中、運動後とこまめに水分補給をします。多くの場合、運動後の体重は減少します。これは体脂肪が燃えた結果ではなく、ほとんどが水分の喪失です。そして運動前後の体重減少を体重の2%以内(例えば体重が60kgの人はおよそ1.2kg程度)に抑えることで熱中症になる危険性が軽減され、パフォーマンスの低下も防ぐことができると言われています。運動前後の体重チェックについては体重計さえあれば誰でもできますので、是非取り組んでみてください。

 

 次に自分でできる熱中症チェックについてです。六甲アイランド体育施設のトイレには、トレーナーさんが尿の色についての情報を掲示しています。体内の水分が不足してくると尿の色が濃くなっていきます。また「自発的脱水」と言って、汗を大量にかき、水分だけ補給していると体内の浸透圧により尿の排出が止められ、尿量が減少します。これらの変化は自分で確かめられます。熱中症が疑われる場合、水分補給だけではなく汗と共に失われた塩分などのミネラルの補給がとても重要です。そういう意味からもスポーツドリンクなど水分と共にミネラル分をバランスよく含んだ飲み物が推奨されているのです。

 

 また、気温が高くなると清涼飲料水や冷たいものをつい摂り過ぎてしまうものです。清涼飲料水には多量の糖分が含まれている場合が多く、糖分の摂り過ぎにより食欲を減退させ、冷たいものの採り過ぎはお腹を壊しその結果水分不足(脱水)を引き起こす要因となります。また夏場の食欲減退は夏バテへと進む事も多いので要注意です。そこでお勧めなのがお味噌汁。お味噌汁は具材により、マグネシウム、カリウムなどミネラルをバランスよく摂ることができるので食欲が減退する人が多くなるこの時期特にお勧めです。足の痙攣予防などにも効果があるようです。

 

 暑熱環境下で活動する際の熱中症対策を皆さんの生活に取り入れ、厳しい暑さが続く日本の夏を元気に乗り切りましょう。

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スポーツ・健康科学教育研究センター/全学共通教育センター 桂 豊

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