このたび、自然科学研究科物理学専攻博士後期課程3年の東翔さんと須佐元教授(宇宙理論研究室)の国際共同研究がアメリカ天文学会誌(The Astrophysical Journal)に掲載されました。
東さん達の研究は宇宙最初期の星形成(初代星形成)に関するものです。初代星誕生のゆりかごとなる初期宇宙のガス雲では、初代星が生まれる過程で非常に強い乱流が誘起され、さらにその乱流によって強い磁場が発生することが数値シミュレーションによって知られていましたが、その物理的なメカニズムについては明らかになっていませんでした。誘起される乱流や磁場はその強度によってはその後の星形成過程(ガス雲の分裂過程)を大きく左右することが指摘されており、生成強度や物理的妥当性についての深い理解が待ち望まれていました。東さん達は一連の研究において、超高精度の磁気流体シミュレーションを用い、乱流や磁場の増幅をほぼ完全に説明できる解析的(数学的)モデルの構築に成功し、物理的メカニズムを解明しました。この研究により、現在ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などによって観測的に明らかにされつつある初期宇宙の星形成現象の研究が大きく進展することが期待されます。
論文タイトル:Amplification and saturation of turbulent magnetic field in collapsing primordial gas clouds
雑誌名:The Astrophysical Journal (アメリカ天文学会誌)
著者:Higashi, Sho; Susa, Hajime; Federrath, Christoph; Chiaki, Gen
論文リンク:https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ad2066
これまでの一連の研究論文:
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ac01c7
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ac9b0c
関連リンク:
甲南大学理工学部物理学科 宇宙理論研究室
http://tpweb2.phys.konan-u.ac.jp/