
このたび、知能情報学部 永田 亮 准教授を含む研究グループの研究成果が言語処理学会第31回年次大会(NLP2025)において委員特別賞を2件受賞しました。
言語処理学会は、言語にかかわるAI系の国内最大学会であり、ChatGPTに代表される大規模言語モデルなどを研究対象にしています。同学会では年一度、年次大会が開催されます。委員特別賞は、同学会年次大会において、「新規性」や「有用性」,「将来性」に関連する観点で光るものを大会委員で選出する賞であります。
2025年の第31回大会では、対象726件中の論文のうち4%にあたる32件が受賞しました。
2件の受賞論文では、【新規性】【有用性】の観点で評価されました。
受賞論文名:対象言語・対象単語を選ばない汎用的な文法化度の定量化手法
概要:本研究では、大規模言語モデルが言語を処理する際に副産物として得られる単語ベクトルを用いて、単語の性質の変化を定量化する汎用的な手法を開発しました。この手法を用いて、英語の単語にどのような変化が起こったかの分析も行いました。
本研究は、甲南大学、統計数理研究所、国立国語研究所、 産業技術総合研究所、東京大学、東京外語大学の共同研究による学際的な取り組みの成果となります。
受賞論文名:不均衡最適輸送を用いた意味変化検出
概要:本研究では、単語の意味変化を定量化する手法を開発しました。単語の意味は時間とともに変化するだけでなく、文章が書かれた分野でも大きく変わることがあります。意味変化を定量的に捉えることは言語学的に重要なだけでなく、Web上の文章の動向調査やアンケート分析など工学的な応用においても重要です。本手法では、単語の意味変化を情報科学で頻繁に取り扱われる輸送問題として定式化することで定量化精度を向上させました。また、意味が変化する過程を可視化する手法も提案しました。
本研究は、京都大学、甲南大学、理化学研究所の共同研究であり、永田准教授は、甲南大学及び理化学研究所客員研究員として本研究に従事しました。
(参考)
言語処理学会第31回年次大会表彰一覧(NLP2025) https://www.anlp.jp/nlp2025/award.html
この度の受賞、誠におめでとうございます。